UFC 284 マカチェフ vs. ヴォルカノフスキー 2月12日 速報レポート

大会名:UFC 284 : マカチェフ vs. ヴォルカノフスキー

開催日:2023年2月12日(日)(日本時間)
時間 :メイン 12:00 / プレリム 08:00開始(日本時間)
会場 :豪州、パース

視聴方法
YouTube(プレリムのみ)
UFC Fight Pass
試合順(タップで開く)
第1試合/ズバイラ・ツブコフ vs. エルビス・ブレナー
第2試合/シェーン・ヤング vs. ブレイク・ビルダー
第3試合/ロマ・ルックブーンミー vs. エリス・リード
第4試合/ジャック・ジェンキンス vs. ドン・シェイニス
第5試合/ジェイミー・ムラーキー vs. フランシスコ・プラード
第6試合/シャノン・ロス vs. クレイ・ロドリゲス
第7試合/ジョシュア・クリバオ vs. メルシック・バダザリアン
第8試合/タイソン・ペドロ vs. モデスタス・ブコウスタス
第9試合/ジム・ジミー vs. アロンゾ・メニフィールド
第10試合/ジャスティン・タファ vs. パーカー・ポーター
第11試合/ジャック・デラ・マダレナ vs. ランディ・ブラウン
第12試合/ヤイール・ロドリゲス vs. ジョシュ・エメット
第13試合/イスラム・マカチェフ vs. アレクサンダー・ヴォルカノフスキー

試合速報

2023年2月12日(日)12:00のメインより速報レポート

ジミー・クルート vs. アロンゾ・メニフィールド

第9試合ライトヘビー級 3R 5分

1R

距離を詰めていくのはクルート、ワンツーとローで組み立てる。メニフィールドは低く構えてパンチで応戦。

じりじりと近づくクルートはおもむろにダブルレッグへ。意表を突かれたかメニフィールドは悪い形、低い位置で組まれてしまう。直ちにテイクダウン成功とはならなかったが、ケージレスリングを継続したクルートがメニフィールドを抱え上げてテイクダウン。惜しくもポジションは安定せず、メニフィールドが立ち上がる。しかしケージレスリングは依然と継続できる体制、クルートが再度のテイクダウントライ。メニフィールドはチョークなどでディフェンスするもテイクダウンを許す。

今度はトップポジションを手に入れたクルート、そのまま首をつかみフロントチョークを狙う。タイトにセットされていたが、メニフィールドが暴れてエスケープ。スタンディングへ。

スタンディングではパンチが交錯するが、クルートがかなりばてている。クルートはバランスを崩しメニフィールドがトップを取る。バックから四つん這いのクルートを攻めるが、クルートはどうにか立ち上がる。

近い距離で立ち上がったクルートに対し、メニフィールドが右で殴りつけるようなストレート。これが2発ヒットして崩れるクルートへメニフィールドが追撃。しかしクルートがどうにかディフェンスし、1R終了。

2R

両者まずは打撃の交換。右の拳を振るうメニフィールドへクルートが対処するパワーが少ない。ひとつがヒットしクルート再度ダウン。メニフィールドは四つん這いのクルートに対してバックトップを取る。金網際に移動したクルートがどうにかエスケープするも、1Rと同じく金網を背負わされ、メニフィールドが殴りかかる。

間もなく距離をとり打撃戦となるが、クルートが疲れながらも前に出てパンチやハイを振るう。応戦するメニフィールドにもやや疲れ。両者ともにディフェンスの精度が低下し互いに被弾。しかし攻撃力もやや低下しているか、KOにはならず。両者はもつれるように組み付く。

ケージ際で退位を入れ替えてケージリスリングの攻撃権を手に入れたのはクルート。力を振り絞るようにテイクダウンをすると、メニフィールドのバックへつき、トップから殴りつける。メニフィールドはディフェンスがままらなず、動けないがどうにか抵抗し続けている。クルートは殴りながらも何度かバックチョークをトライ。これは極まらず2Rが終了する。

3R

前に出てジャブや左フックを振るうクルートに対し、メニフィールドがジャブとストレートで応戦。被弾しながらもクルートは前に出る。クルートは大きな左フックからレベルチェンジ、テイクダウンへ。メニフィールドはケージ際でこれを防ごうとしケージをつかんでしまう。

ここでレフェリーがメニフィールドへ減点を1与える。ブレイクはなく、金網際でクルートが組み付いた状態でリスタート。とても正確なジャッジ。

クルートがケージレスリングを継続、シングルを取ってメニフィールドを180°振り回すと、ケージ中央へ向かってドライブ。テイクダウンは成功。クルートがサイドハーフにつき、トップポジションを獲得。残り2分、クルートがパスガード、2回目のトライでマウントトップを獲得。そこからサイドへポジション移行、キムラをセットする。

メニフィールドはどうにか暴れてディフェンス、ポジションはメニフィールドが四つん這い、クルートがバックトップを獲得する。残りは1分強、クルートはメニフィールドの上につき、横から顔を殴りつける。残り20秒でメニフィールドが立ち上がるも時間が少ない。そのまま試合は終了。

判定1-0(29-27,28-28-,28-28)でマジョリティ・ドロー

クルートがグラップリングを中心にスタミナ勝負に持ち込み、メニフィールドはタフな持久戦な強いられたが要所でパンチを当てて優勢を取った。しかし惜しくも減点により引き分け。エキサイティングな試合となった。

ジャスティン・タファ vs. パーカー・ポーター

第10試合ヘビー級 3R 5分

1R

サウスポーはタファ。両者足を止めてじりじりと動く。最初はやや距離を取ってローを見せたポーターだが、タファが前進をやめ後退すると前に出るポーター。中に入りながら右ストレートを出すポーターに対し、タファはパンチで応戦。

ステップインから弧を描くような大きな右を見せるポーターに、タファは待ち構えたように鋭い左。内側にコンパクトに打っているが、強くポーターの顎を捉える。そのままポーターが前のめりに倒れると、タファは追撃をせずゆっくりと歩きながらポーターを見下ろす。レフェリーが駆け寄ると試合を止めた。

1R 1分6秒 ジャスティン・タファのKO勝利。

狙いすましたように見事なKO勝利。サウスポーのストライカーらしく、相手の動きを読み切ってのカウンター。タファのホームとも言えるオーストラリア、会場観戦している観客は満足したようだ。

ジャック・デラ・マダレナ vs. ランディ・ブラウン

第11試合ウェルター級 3R 5分

1R

元気に前に出たのはブラウン、目方で頭ひとつ身長が高い。長いリーチでプレッシャーをかけるブラウン、ジャブやストレートを長い距離から振っていく。マダレナはローキックをブラウンの長い脚に伸ばすが、出せる手数に違い。ブラウンは様子を見るマダレナに対し、フロントキック、間接蹴り、左右でのスラップ。

金網の近くに背負うブラウンに対し、マダレナは機と見たか、さっと中に入ると左右を素早いフック。右がブラウンに当たるとブラウンはバランスを崩し滑るようにダウン。マダレナはすぐさま詰めると右で鉄槌を連打。当たっているがレフェリーは止めない。四つん這いになり防御体制をとるブラウンにすぐにおぶさると、マダレナは首を取りチョーク。間もなくブラウンはタップ。

1R 2分13秒 ジャック・デラ・マダレナのバックチョークによる一本勝利

嵐の前の静けさから、まさに嵐のように攻め込むとあっという間に試合を決めてしまったマダレナ。UFCで4連勝、MMA14連勝。地元の会場は前戦に引き続きホーム選手の勝利に大歓声。それにしても勝機をかぎ取り本当に試合を決めてしまうマダレナの圧倒的なパフォーマンスだった。身長差もものともしない強さで連勝記録を更新。

ヤイール・ロドリゲス vs. ジョシュ・エメット

第12試合フェザー級暫定王者決定戦 5R 5分

1R

たっぷりと間合をとるエメット、徐々に距離を詰めるような動き。ロドリゲスの蹴りを警戒してのことだろう。やはり先に攻撃を出せるのはリーチの長いロドリゲスの蹴り、ローやフロントキックを出し、サウスポーからは強烈な左ミドル。右ハイはエメットの肩越しに襲いかかる。

エメットはこの蹴りを一通り見てから中に入るために機をうかがう。徐々に距離を詰めて強く速いパンチを右左と出すエメット。ロドリゲスは近い距離でエメットのパンチに対処するが、なかなかあぶなかっしい印象。

ロドリゲス、左ミドルが冴える。ややリズムに乗ってきたかと思えたが、ロドリゲスが前に出てパンチを出すとエメットの打ち返しの右がヒット。よろめくロドリゲス、これは効いているだろう。距離を詰めたエメット、攻撃を仕掛けると両者グラウンドへもつれる。

トップを取ったのはエメット、レスリング集団アルファメールよろしくガードトップからの攻撃がよく安定的だ。残り時間が少なくなるとロドリゲスはボトムから肘を落とす。これが攻勢とも言えた。

2R

エメットが遠い距離のは同じだが、ロドリゲスがやや慎重。機を見たロドリゲス、サウスポーからおもむろに前に出てワンツースリーフォーを出す。エメットもパンチで応戦するが、今度はロドリゲスが打ち勝つ。ひるんだエメットに対し、ロドリゲスは左ミドルで追撃、これがよく当たっている。エメットの体がくの字に折れる。

足が止まったエメットに対し、ロドリゲスはクリンチの間合から肘も見せる。エメットの側頭部を捉えこれも効く。流れは一気にロドリゲスに傾いている。足の止まったエメットへ右のブラジリアンハイなどで、対処の難しい蹴りを見せるロドリゲス。エメットも肩で息をしている。

ロドリゲスはエメットへ飛び膝で攻撃を仕掛けるが、エメットはこれをキャッチしてテイクダウン。残り2分を残しエメットがガードトップを取った。しかしロドリゲスは1R同様ボトムから肘で攻勢に出ると、これに対し後手に回るエメットへ三角締めをセット。あっという間に締め上げるとエメットがタップした。

2R 4分19秒 ヤイール・ロドリゲスがトライアングルチョークで一本勝ち。

マカチェフに挑戦するヴォルカノフスキーが正規王者のフェザー級、ロドリゲスはフェザー級の暫定王者に。ブランドン・モレノに続き、メキシコ2人目の王者。

イスラム・マカチェフ vs. アレクサンダー・ヴォルカノフスキー

第13試合ライト級タイトルマッチ 5R 5分

1R

サウスポーはマカチェフ。やはり大きさが違うが、ヴォルカノフスキーにとってはいつものこと。距離を取るのがヴォルカノフスキー、じりじりと詰めるのがマカチェフという構図。両者慎重な立ち上がりだ。

あっという間の1分、ファーストアタックはマカチェフの軽いインロー。ヴォルカノフスキーのインローはマカチェフが回避。ヴォルカノフスキー、前に出てパンチを振るうが、マカチェフは冷静にバックステップ。ヴォルカノフスキーがスイッチを使い始める。両者の距離が近づき、コンタクトが増える。

前に出たヴォルカノフスキー、マカチェフの迎撃のパンチに左のストレートを合わせてヒットさせる。ややマカチェフが後退、会場が沸く。とてつもない緊張感だ。いまやプレッシャーをかけるのはヴォルカノフスキーとなっている。会場からは「ヴォルカノフスキー」コール。

再度前に出て左右のパンチを出すのはヴォルカノフスキー、いつもの丁寧なキックボクシングというよりラッシュというイメージ。これに対しマカチェフは再度左右のフックで応戦。今度はマカチェフのパンチが当たりヴォルカノフスキーが下がる。

距離を詰めるマカチェフに、両者はクリンチへ。バックについてテイクダウンを仕掛けるのはマカチェフ。ヴォルカノフスキーは必死で抵抗、スクランブルになるがやはりここはマカチェフが強い。バックポジションをとったのはマカチェフ。金網につまりパウンドは打てないが、マカチェフはフェイスロックのように腕をヴォルカノフスキーの顔面し捻る。極まりはしない。

ヴォルカノフスキーはマカチェフにバックを許しながらも会場を見渡し不適な笑顔を見せる。拳を小さくあげると会場から大歓声。

2R

引き続きサウスポーのマカチェフ。じりじりとプレッシャーをかけるマカチェフ。両者やはり1R同様慎重。沈黙をやぶったのはマカチェフの速い左。これはかわす。ヴォルカノフスキーがプレッシャーを強め、パンチで前に出る。右と左をスイッチしながら左右の強いパンチでマカチェフを翻弄、一発がマカチェフを捉えたか尻餅をつくのはマカチェフ。またもや会場から大歓声。

詰めるヴォルカノフスキーに対してマカチェフは膝をつきながら組み付き、またもやいつの間にかバックへ。素晴らしいレスリング。今度はヴォルカノフスキーがこれを早めにエスケープ。両者は距離を取った。

打撃でリスタート、マカチェフがプレッシャーをかける。殴り返そうという腹積もりか。焦れて手を出すヴォルカノフスキーに対し、マカチェフが非常に鋭い右フックのカウンター。近い距離でヴォルカノフスキーの出したローを拾って、マカチェフは鋭い左ストレート。これもヴォルカノフスキーにヒットする。マカチェフが攻勢に。

引き続きマカチェフがプレッシャーをかける。ヴォルカノフスキーは手を先に出すとカウンターが来るだろう、やや対処に困っているか。マカチェフはヴォルカノフスキーが手を出さないため、比較的容易にクリンチを手に入れる。首相撲からの膝を見せた。ヴォルカノフスキーが状況を打開しなければいけない流れになりつつある。

3R

「相手は強くないだろう!」と選手を鼓舞したヴォルカノフスキー陣営。何を見せるか。

マカチェフが手数の少ないヴォルカノフスキーへ左のハイ、ガードするも重たそうだ。ヴォルカノフスキー、前に出てスイッチしながら前手のフック。よい攻撃だが、状況打開につながるか。

両者の距離は近づき、パンチの交換へ。マカチェフがプレッシャーを強めたからだろう。打ち合いでも体格で勝るマカチェフがやや有利。近距離でヴォルカノフスキーがインロー、一瞬マカチェフの体が流れる。これはよい攻撃。

しかしマカチェフは距離を詰めて首相撲へ。仕掛けられたヴォルカノフスキーは笑いながらマカチェフへ何かを話しかけている。挑発だろう。そのままマカチェフはじっくりとテイクダウン。成功するも今回のエスケープも早いヴォルカノフスキー。マカチェフのレスリングがここまで通用しないのはさすがヴォルカノフスキーとしか形容できない。ヴォルカノフスキーが階級も下だ。

プレッシャーを強めるのはヴォルカノフスキー。マカチェフがテイクダウンの失敗でややプランが崩れたか、体力の回復を計っているだろう。これに対してヴォルカノフスキーが距離を詰め、なんとテイクダウン。つんのめるマカチェフ。3R終了。ヴォルカノフスキーがガッツポーズを見せる。

4R

距離の近い両者。ヴォルカノフスキーが自信を持ったか、下がらない。ヴォルカノフスキーのパンチフェイントに対し打ち合いに臨まず距離を取るマカチェフ、警戒を強めているのがわかる。

マカチェフのノーモーションの左ストレート、これはヴォルカノフスキーの顔面を捉える。身長差とオープンスタンスが効いている。勢いのないマカチェフ、弱気と見たかステップインからヴォルカノフスキーがジャブで入る。これに対しなんとマカチェフはレベルチェンジ、鮮やかなタックルでテイクダウンを成功させる。絶妙としか言えないタイミングで最高の攻撃。

流れるようにバックポジションを獲得したマカチェフ。残り時間は2分30秒以上。マカチェフはじっくりと攻め、ポイント、スタミナ、ダメージ面でのアドバンテージを取れる時間。この状況でもなんとヴォルカノフスキーは笑顔を見せ、マカチェフへトラッシュトークであろう声を発し続ける。バックから殴るマカチェフに対し、うっ憤を晴らすようにヴォルカノフスキーが背中の方向へパンチ。

観戦していたアデサニヤもこれには称賛と歓喜の顔を見せる。

5R

激闘と呼ぶにふさわしい試合の最終ラウンド、両者のハグからスタート。

スイッチのフェイントからローを出すヴォルカノフスキーへ、マカチェフが左のカウンター。軽く被弾したヴォルカノフスキーは頷く仕草。なおも接近するヴォルカノフスキーへマカチェフが左右のパンチ。オープンスタンスよろしくマカチェフの左が何度か当たるが、ヴォルカノフスキーの前進は止まらず。

残り3分20秒、じりじりと距離を詰めるマカチェフに対しヴォルカノフスキーがステップインで打って出る。これをマカチェフがまたもやタックルカウンター。非常によい形で入るも、なんとヴォルカノフスキーは耐えてクリンチから脱出。会場から大歓声。

リセットの打撃ですぐに距離を詰めるヴォルカノフスキー、ここでもパンチにタックルを合わせたマカチェフ。失敗があるにも関わらずトライする強靭なメンタル。シングルを取ったマカチェフ、両者膝をついた形になるが、ヴォルカノフスキーはトップからどかずにやはりスタンディングへ。

マカチェフがプレッシャーをかけるなか、ヴォルカノフスキーはサウスポーからの強い左。これがマカチェフの顔面を捉え、マカチェフはバランスを崩す。ここからトップを取るのがヴォルカノフスキー、なんと上の階級のマカチェフに対し、ガードトップから強烈なパウンド。熱狂する観客、この上なくエキサイティングな試合だ。あっという間に5Rが過ぎ、試合は判定へ。拳をつきあげるのは両者ともに。判定はいかに。

判定3-0(48-47, 48-47, 49-46)で勝者はイスラム・マカチェフ

マカチェフは判定を聞くと安堵を示すようによろめいた。それほどの激闘。マイケル・ビスピンのインタビューに対し、平静なマカチェフもいつになく大きな声で激闘を振り返る。ビスピンからは「マカチェフがPFP1位になるだろう」と称賛し、地元の観客へ「これが事実です」と説明した。

圧巻のパフォーマンスを見せた地元の英雄ヴォルカノフスキーにマイクが行くと大歓声。ヴォルカノフスキーはまず王者マカチェフに対して拍手を送るよう観客へと促した。判定を聞いたとき悔しそうな顔を見せたものの、インタビューでは満足げで誇らしい顔を見せたヴォルカノフスキー。マカチェフよりも外傷が少なくも見える。

最後にヴォルカノフスキーはマカチェフやチームを労うと「フェザー級では絶対に負けない」と力強く宣言した。

※アイキャッチはUFC公式サイトより引用