シビサイ頌真の選手紹介 〜“日本ヘビー級最後の砦”のすべて〜

「日本人ヘビー級は世界に通用しない」こんな言葉をこれまでに何度聞かされて来たことだろう。そもそもヘビー級という恵まれた肉体を持つ人間自体が、国内には一握りしかいないという事もあり、ヘビー級で戦う選手達は練習相手を探すのにも苦労し、試合を組むのにも骨が折れる。

しかしシビサイ頌真は環境のハンディを言い訳にせず、練習相手がいる場所ならどこにでも出稽古に赴き、戦う相手がいるならどんなリングにも上がり力をつけて来た。

鍛え上げられ、均整の取れた肉体、卓越した打撃センスとグラウンド技術。そしてその精悍でクールなルックスと、柔和で実直な人柄は多くのファンの心を掴み、いまや日本ヘビー級の顔と言っても過言ではないだろう。

シビサイがどのようにしてここまで強くなり、RIZINと日本ヘビー級を背負って立つ程の漢になっていったのか、今回は”日本ヘビー級最後の砦” シビサイ頌真を丸裸にしていこう。

画像1: 入場

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2019/10/12/20a2506c300e6c2432397a5f252ec52ff887bbea_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)

シビサイ頌真のプロフィール

名前 :    シビサイ頌真
生年月日 : 1991年3月11日
出身地 :  千葉県
身長 :   191cm
体重 : 115.0Kg
戦績 : 8勝3敗 4KO 4SUB
階級 : ヘビー級
所属 : パラエストラ東京
獲得タイトル : ー
入場曲 : ジャッキー・チェン「英雄故事」
バックボーン : 柔道、ブラジリアン柔術
公式 HP :   ー
Twitter :   ー
Instagram : ー
YouTube :    ー
アパレル :ー
ファンクラブ:   ー

シビサイ頌真。寝技、組み技、打撃ともにすべてをこなすトータルファイター。そんなシビサイがどのようにして格闘技を始め、”日本ヘビー級最後の砦”と呼ばれるまでになったのか、まずは彼のデビュー前から見ていこう。

柔道から総合格闘家へ

1991年3月11日、ラオス人と日本人のハーフとして千葉県で生まれ、中学に入って柔道を始める。高校卒業後に「俺は最強を目指す」と決意し、19歳からパラエストラ東京で柔術を学ぶ。その翌年、柔道をバックボーンを持つシビサイが、まさかのキックボクシング、Krushのリングでデビューする。

福田雄平と3Rバチバチの殴り合いを繰り広げ、結果はドロー。まだ経験が少ないはずの打撃を既に習得し始めている事から、シビサイの飛びぬけた格闘センスが伺える。

2012年4月8日、シビサイはHEATのリングでMMAデビューを果たす。迎えた大場慎之介を1R1:59秒でパウンドの連打によるTKO勝利。

華々しいデビューを飾ったが、次戦のキム・ヘスン戦では1R終了時にタオルが投入されTKO負けを喫する。

そこから約3年間、シビサイはリングから遠ざかる。

復活、そして快進撃

次にシビサイが公の場に姿を見せたのは2015年9月19日、GRACHANのリングだった。森川修二との対戦だったが1Rでローブローがあり無効試合になるが、11月29日に再戦。

わずか40秒でTKOと圧倒的な強さと共に復活の狼煙をあげた。

その後、より強い対戦相手を求め、ZST、DEEPと渡り歩き、それぞれのリングで圧倒的な勝利を収める。

少ない戦績ながらも圧倒的な勝利で名を上げて行くシビサイに、あらゆる格闘技が集い、基本的に無差別級で、本当に強い漢が誰かを決める格闘技イベント”巌流島” からのオファーが飛び込む。

マッチメイクが難しい日本ヘビー級選手にとってこの話は願っても無く、シビサイは当然このオファーに飛びついた。

そして巌流島でシビサイは4戦し、なんと全て一本&KO勝利!

その中には、巌流島のディフェンディングチャンピオンであり、あのマイティ・モーにも勝利した経験のあるブライアン・ドゥウエスも含まれる。しかも1Rわずか25秒での秒殺である。

圧倒的な強さで快進撃を続けるシビサイの名声は、当然RIZIN関係者の耳にも入り、万を持してシビサイは国内最大のMMAリングRIZINへと降り立つ事となる。

RIZINデビュー

見せつけられた”世界の壁”

シビサイのRIZINデビュー戦は2018年7月29日、RIZIN 11。

相手はモンゴル出身のボルドプレフ・ウヌルジャルガル。あの元横綱、朝青竜が太鼓判を押すという、モンゴル出身の強豪だ。世界の様々なリングで戦って勝利を収めており、フィジカルも高く経験も豊富な選手だ。しかも相手はシビサイよりも20㎏も多い120kgの巨漢である。初戦から強敵を相手に、シビサイはどう戦うのか。

1R、ウヌルジャルガルはその恵まれた体格を武器に、易々とシビサイをテイクダウン。圧倒的な圧力に抑えられ前半は防戦一方。だが決め手に欠け、やや攻め疲れたか、ラウンド終盤、シビサイは一瞬ウヌルジャルガルが気を抜いた隙にエビでリバースして、ウヌルジャルガルをガードポジションに。

ここで一気にシビサイのターン。長いリーチを利用してガードポジションからパウンドを連打。さらにはサイドポジションを取り、ボディに強烈な膝を喰らわせる。ここまでは良かったのだが、このあと膝を高く上げ、明らかに狙ったとわかる顔面への膝をウヌルジャルガルにヒットさせてしまう。

一旦試合はストップし、シビサイにイエローカードが与えられる。

この膝が相当頭に来たのか、ウヌルジャルガルはラウンド終了のゴングが鳴ったにも関わらずシビサイをマットに投げつける。必至に和田レフェリーが止めに入り、試合は大荒れの様相を呈した。

2R、序盤からグラウンドでの攻防になり、中盤ではウヌルジャルガルが一瞬アームロックを極めたかに見えたが、シビサイは何とか回避。だがその後もウヌルジャルガルのプレッシャーは凄まじく、その巨体をピッタリとシビサイに密着させ、動きを完全に封じていく。

ただ乗られているだけでも、ストレスと疲労が溜まっていくであろうというこの状況で、さらにウヌルジャルガルはシビサイの顔面にパウンドや肘を叩きつける。隙を見つけてはアームロックも狙ってくるがシビサイはこれをギリギリで回避。

関節が極まらないと見るとウヌルジャルガルはシビサイの顔面に鉄槌、鉄槌、鉄槌。これには溜まらずうつ伏せになり、カメの様に身を守りながら自分のターンを待つ。

画像3: 両選手にイエローカードが提示される荒れ試合 ウヌルジャルガルがペースを掴んで勝利

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2018/07/29/ed5df9d00e28987605025b91d2195d9421c19491_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)

ラウンド終了間際、シビサイは隙をついてスウィープし、これからという時に無情のゴング。

3R開始直前に、ウヌルジャルガルに対して「コーナーに水を撒いて滑りにくくした」という内容でイエローカードが出される。両者にイエローが出されると言う、ダーティーな印象の試合展開だ。

ラウンドが始まると、シビサイからタックルに行くがこれを抑えられ、再びウヌルジャルガルが上になってのグラウンドの展開。蓄積されたダメージと疲労でまともな反撃が出来ないシビサイ。決め手こそなかったが、執拗にパウンドを落とされ、関節を狙われ、ウヌルジャルガルに終始試合のペースを握られてラウンド終了。

判定は0-3で、シビサイのRIZINでのキャリアは黒星でのスタートとなった。

画像7: 両選手にイエローカードが提示される荒れ試合 ウヌルジャルガルがペースを掴んで勝利

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2018/07/29/eb78416d9174988402e91d7ef93d27323119c915_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)

試合後インタビューで「負けっぱなしでは終われない」と悔しさを滲ませたシビサイ、

なんとこの試合をきっかけに格闘技一本で生きていく事を決め、フィットネスジムの仕事をやめ、自己の鍛錬に全てを注いだ。

進化を遂げたシビサイ

そして約1年後の2019年10月12日、RIZIN19でキム・チャンヒと対戦する。前試合、ウヌルジャルガルの巨体を前に手も足も出なかったシビサイだが、今回の相手は”韓国版お化けカボチャ”、”韓国版バタービーン”ともあだ名される、更なる超巨体。格闘技に全てをかけて来たシビサイはこの体重差という大きな壁を乗り越える事が出来るのか。

試合が始まり、シビサイが数発の膝を入れると、キムは組みつき、その巨体を利用してシビサイをロープに押し込んでプレッシャーをかける。前回のシビサイならここで防戦一方になっていたかもしれないが、この一年で彼は大きく進化している。

プレッシャーをかけられながらも冷静にキムの右腕を取り、マット中央に倒れこみながら全体中を乗せたアームロックを極める! これには体格に勝るキムもひとたまりもなく、試合開始わずか1:09、キムのタップによりシビサイの一本勝ちとなった。

画像4: ROUND 1

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2019/10/12/97ed7ed3f0931e29d369d73fd9d540b8eea266e7_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)

あまりにもあっさり勝利し、ダメージも無く、戦い足りなかったのか、この試合からわずか2か月後の2019年12月29日。シビサイはRIZINとアメリカ第2のMMA団体「BELLATOR(ベラトール)」の共同主催イベント、ベラトールJAPANに強行スケジュールで出場する。

迎えるのはセルゲイ・シュメトノフ。今回の相手も120㎏級の超重量である。仕事を辞め、必至に研鑽してきた技がここで輝くか?

試合は完全なワンサイドゲームとなった。ゴングと同時に左フックを連打しながら迫ってくるシュメトノフを、シビサイは軽いフットワークでかわし、打ち終わりに鋭いタックルをぶつけてシュメトノフをテイクダウン。

シュメトノフがガードポジションとなったが、シビサイは足で胴体を挟まれながら立ち上がり、真上から激しい稲妻のようなパウンドの連打。堪らず身体を横に回転させたシュメトノフの足を取って、マットに倒れこんで全体中をかけてのアキレス腱固め。シュメトノフは苦痛に顔を歪めながら瞬時にタップし、シビサイの完璧すぎる1本勝利となった。

画像4: ROUND 1

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2019/12/29/eff5fccccd69585207ca31674c0e8d16ca3e5fb4_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)

マイクパフォーマンスでは「毎回毎回の試合自分、負けられないっす。ヘビー級で、日本人で、自分が負けたらもう終わりなんで」と、日本のヘビー級を背負って戦う覚悟を見せ、”

日本ヘビー級最後の砦” としての強い意志を表した。

日本人ヘビー級頂上決戦

日々練習に明け暮れて急成長をとげ、次々と巨漢外国人選手を撃破していき、「日本ヘビー級最強」とシビサイを評する声も大きくなっていく一方で、もう一人、日本ヘビー級最強の座へ急速に迫る者が居た。

その名も「スダリオ剛」。元貴の富士という四股名で十両まで昇進した力士であり、二度の暴力事件で若くして相撲界を去り、MMAにやってきた超大型新人である。これまで3戦全勝、すべて1RKO、前試合では宮本和志がほぼ意識を失っている状態でレフェリーの制止も聞かずに殴り続けるという、狂暴な一面を見せている。

2021年6月13日、この超新星スダリオ剛と、進化を遂げたシビサイがRIZIN28のリングで激突する。前試合から1年半のブランクがあるシビサイはスダリオの勢いを止める事が出来るのか?

1R開始直後から距離を詰めていく両者。ローキックを中心とした打撃戦を繰り広げるが、スダリオの意識が打撃に向いている所でシビサイがタックルを狙う。スダリオはグラウンドに付き合わず、スタンディングでの打ち合いが続く。シビサイは徐々にスダリオにプレッシャーをかけながらコーナーに追い詰め、左右のフックでラッシュをかけるが、大きなダメージには繋がらない。

ラウンド終盤にシビサイが、右のローをスダリオの左足に当てると、序盤からのローが効いてきたか、スダリオは構えをオーソドックススタイルからサウスポーにスイッチし、左足を後ろに下げる。ここでラウンド終了。

2R、左足をかばって始めからサウスポーで構えるスダリオ。シビサイはグラウンドに持ち込みたい所だが、ミスをすると強烈な打撃を喰らうリスクがあり、スダリオも下手に前に出ると痛めた左足を狙われる可能性がある。様々な思惑が交錯し、両者ともなかなか前に出られず、試合は膠着状態に。

消極的な試合展開が続く中、レフェリーから両者に注意が与えられる。ラウンド終盤にはスダリオが強烈な左フックからのラッシュをしかけ、ややシビサイが圧倒されるがここでゴング。

最終R、スタンディングでの戦いが続き、スダリオがタックルへの警戒を弱めたところで、シビサイがスダリオのフックを避けながら鋭いタックルを仕掛け、相撲で鍛えた強靭な腰を持つスダリオからついにテイクダウンを取る。数発のパウンドを浴びせ、さすがのスダリオも嫌がって顔をマットに向けた隙にシビサイはバックを取り、そのままひっくり返して仰向けにしスリーパーへ。

どうにか振りほどこうとスダリオも暴れもがくが、シビサイは卓越した体重移動でしっかりコントロールし、スダリオは無念のタップ。シビサイはスダリオの快進撃を断ち切り、RIZIN3連勝と大きな飛躍を見せた。

大晦日の悪夢

勢いに乗るシビサイはついに、格闘家の夢、大晦日スーパーアリーナで行われるRIZIN33への出場権を勝ち取る。

迎えるは、関根”シュレック”秀樹。関根が所属するボンサイ柔術は、朝倉未来を破ったクレベル・コイケや、RIZINライト級王者のホベルト・サトシ・ソウザなど、強豪達を抱えるジムとして、MMA界の台風の目にとなっている。

関根はボンサイ柔術の更なる刺客としてDEEPからRIZINに初参戦。40後半という年齢にも関わらず前2戦を打撃でKO勝ちと、衰えるどころか勢いを増していると言っても過言ではない強敵だ。RIZINで大暴れするボンサイ柔術の勢いを、シビサイは止める事が出来るのか?

1Rの開始ゴングが鳴るとシビサイは積極的に距離を詰めて関根を威圧していく。コーナーまで追い詰めたところで関根がタックルを仕掛けるが、これを余裕を持って切り、関根が勢い余ってマットに転がった所でシビサイが上に乗り、関根のガードポジションへ。

シビサイが細かくパウンドを入れていく中で、関根が強引に立ち上がると、シビサイはその関根の頭を押さえ、助走をつけながら強烈な膝を関根の顔面に叩きつける。

明らかに関根にダメージがあると見て、シビサイは左右のフックの連打、膝、ハイキックと、壮絶なラッシュを畳みかけ、たまらずマットに膝をついた関根に、殺意を込めたサッカーボールキックを放つ、が頭部をかすめるに留まり、その隙に関根はシビサイの足に絡みつく。スクランブルからグラウンドへ展開するが、今度はシビサイの凄絶なパウンドの嵐が関根を襲う。

シビサイの腕ひしぎ十字を回避した隙に、一度は関根が上になり数発のパウンドを当てるが、シビサイは器用に身体を回転させ、再度関根がガードポジションに。

再びシビサイはパウンドやボディへの肘で関根を痛めつける。何とか流れを変えたい関根は、必至で抵抗し、シビサイが立ちあがろうと一瞬背を向けた所で関根がバックからがっしりと組みつく。そして一瞬の隙を見て関根は「ぐあぁぁあ!」という雄たけびを上げながらシビサイの巨体をジャーマンスープレックスでマットに叩きつける! シビサイの動きが一瞬止まる。何が起こったか分かっていないのか? 頭を打って意識が遠のいたか?

関根はすぐさまシビサイの上に乗り、雄たけびを上げながらパウンドと肘をシビサイ顔面に浴びせ続ける中でゴングが鳴る。

1Rからの凄絶な攻防に観客からどよめきが上がる中、2Rスタート。限界を迎えようとしているはずの関根だが、大振りの左右のフックを雄たけびを上げながら振り回して前に出て来る。シビサイも反撃に出るが、動きにいつものキレは無く、関根の鬼気迫る気迫にやや押され始める。関根の大振りのフックとアッパーが次々のシビサイにヒットし、”このままではやられる” とシビサイも必至に手を出す。関根はこれに付き合わず、組みついてマットに引き込む。シビサイが上になっているが、関根が無理やりシビサイの身体をひっくり返し、関根がサイドポジションに。

関根は最後の力を振り絞ってシビサイの顔面にパウンドを落とし続ける。シビサイは完全に意識が混濁しているのか、全く抵抗できない。

実はこの時、ジャーマンのダメージが脳にまで到達したのか、シビサイの手足は全く動かなくなってしまったそうだ。

関根はひたすらパウンドを続けるが、スタミナ切れにより、パンチにキレは無い。それでもあの巨体から落とされる拳が顔に当たっただけでも、ダメージは蓄積されるだろう。まったく反撃する素振りも見せないシビサイは、試合続行不可能と見られ、ついにレフェリーストップ。

シビサイは大晦日の大舞台で、まさかの大逆転KO負けを喫してしまった。

試合後インタビューでは、「気迫に勝る部分が相手の方があったのかなという風に思っています」と関根の気迫の凄まじさについて語った。

関根との戦いの中で、一日一日の練習を大切にし、試合に対して取り組む気持ちの大事さを知ったと言うシビサイは、さらに練習に力を入れ、2022年4月17日、RIZIN 35のリングに上がる。

完成された心・技・体

迎えるは、ラトビアの怪人、リハーズ・ギビス。世界各国のキックボクシング大会で優勝を収め、MMAでもKO、一本率が8割に迫ると言う、生粋のストライカーだ。RIZINデビュー戦以来の外国人選手との戦い、”日本ヘビー級最後の砦” として今回は絶対に負けられない。

試合が始まると、ギビスのワンツーを搔い潜ってシビサイがすぐに組みつく。ギビスが自ら引き込むような形でマットに倒れ、ギビスがガードポジションに。ギビスは足を使ってシビサイを遠ざけようとするが、逆にシビサイはその隙を狙って一気に距離を詰め、マウントを取る事に成功。ここからはシビサイが壮絶なパウンドの嵐をギビスに浴びせ、ギビスはひたすら顔面を守るのみ。そのガードの隙間から、シビサイが体重をしっかりのせた重い肘をギビスの顔面に叩き落とすと「UGRH!」とギビスは苦痛のあまりうめき声を上げ、この声を合図にしたようにここでレフェリーストップ。

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/04/17/73f94d2b88d46db1677357088341519d0a9a2980_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)

ギビスに何もさせず、シビサイの圧勝。シビサイは喜びのあまりリングから飛び降りて、そのまま転倒。会場は心配する声と笑い声、そして祝福の拍手に包まれた。

マイクパフォーマンスでは、この日が父の誕生日で、シビサイが所属するジムの会長も4月が誕生日という事でこの二人の為にも絶対に負けられない試合だったと語り、観衆に感動を与えたが、最後は「言いたい事たくさんあったけど忘れちゃいました、すいませんさようなら」と早口でまくしたて、会場の笑いを誘った。

試合後、リング外での転倒について聞かれると「痛いですねちょっとね」と試合以上にダメージが大きい事を明かした。さらにリングから飛び降りた理由を聞かれると「お世話になっている会長が目の前に居て、それしか考えられなくて、飛び越えたら意外に高くて・・」と語り、シビサイの真っ直ぐで義理堅い性格が垣間見えた。

確実にステップアップし、力をつけているシビサイ。彼のひたむきで努力家な人柄からも、まだまだ進化を続ける事は間違いないだろう。スダリオの様に世界に挑戦していくのか、それとも”日本ヘビー級最後の砦” として、日本のヘビー級を守り続けていくのか。どちらにせよ、彼は今後も格闘技界、そしてヘビー級を盛り上げる重要な役割を持っている事は確かだろう。そんなシビサイ頌真からは、まだまだ目が離せない。

シビサイ頌真の知りたいトコ!

シビサイ選手はSNS禁止?

シビサイの情報を調べていた所、ツイッター、インスタグラム、Youtube、どこを探しても彼のアカウントが見つからない。ようやく辿り着いたシビサイを紹介する一つの動画。この中で「前にツイッターやってたんですけど、投稿があまりにもヒドイって、岡見さんに消せって言われて消しました」と語っている。

逆にどんなツイートか見てみたい気もするが、実際の内容は「今日はいい天気だね」等というしょうもない内容だったそうだ笑。ちなみにフォロワーも24人と今のシビサイの知名度からすると信じられないほど少ない。

ちなみに動画内でインスタグラムはやっていると語っていて、シビサイという名のアカウントはあるにはあるが、昆虫や動物をひたすらアップしているだけのアカウントで、本人かどうかは確認が取れていない。

UFCのレジェンドが練習パートナー

前項でシビサイに”SNSアカウントを消せ” と指示した岡見という人間。実はUFCで日本人歴代最多勝利を挙げているレジェンド、岡見勇信選手である。共にアメリカに赴き武者修行するなどして、技を磨き合っている。この偉大な練習パートナーとの濃密な練習があったからこそシビサイはここまでの進化を遂げられたのかもしれない。

シビサイ初の実践は犯人制圧!?

ある日シビサイがマンション1階にある自宅に帰宅すると、なんと台所で、侵入していた泥棒と鉢合わせ! 泥棒は慌てて逃げたが、身体能力でシビサイに敵うわけもなく、あっさりと掴まり、取り押さえられる。この時シビサイが咄嗟に出したのは相手のボディーに膝を当てて制圧する”ニーオンザベリー”という技だったそうだ。温厚で真面目な性格のシビサイは「喧嘩したこと無いから、こういう実践は初めて」、「咄嗟にニーオンザベリーが出た、柔術やっていて良かった」と喧嘩デビュー戦について語った。

まとめ

中学時代に柔道を始め、19歳からパラエストラ東京で柔術を学び、20歳の時にキックボクシングでプロデビュー。国内ヘビー級選手が少ない中、HEAT、巌流島、DEEP、ZEST、GRACHANと、対戦相手を求めて様々な団体を渡り歩き、辿り着いたRIZINのリング。

シビサイの活躍を耳にした海外ヘビー級勢が、今後RIZINに流れ込んでくる可能性も大いにある。だがシビサイの格闘技への純粋で真っ直ぐな想いと情熱は、彼を更なる進化に導き、今後も”ヘビー級日本最後の砦” として、RIZINの、日本の誇りを守り続けてくれるだろう。

画像: 勝利者マイク

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/04/17/179a0c3b24cb1951106b64541554cf9e04b049a0_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)

シビサイが勝ち星を上げるたびにその優しさ、純粋さも世に知られ、名実ともにRIZINの看板選手となる事も夢ではない。

そんなシビサイ頌真をこれからも皆さんと一緒に見守っていきたい。

※アイキャッチはRIZINの公式HPより引用