弥益ドミネーター聡志の選手紹介 〜“リングの支配者” のすべて〜

昼間は大企業のサラリーマンとして働きながら、RIZINのトップファイターとして活躍する選手を知っているだろうか?

その名は、弥益ドミネーター聡志。彼は、今熾烈を極めるRIZINフェザー級の中でも異彩を放つ、異色のファイターだ。打撃ではトリッキーな動きで相手を幻惑し、寝技となれば独特の極めで相手を絞め落とす。ファイトスタイルが確立化されつつある現代MMAで、弥益は自分の変幻自在なスタイルを磨き上げ、DEEPフェザー級のベルトを獲得した一流選手だ。

RIZINでも、“路上の伝説”朝倉未来と対戦して話題を呼び、弥益の知名度も一気に上昇。親しみやすい雰囲気ながら、頭の良さがひかる言い回しなどでも人気を集めている。

そんな弥益はいかに格闘技と出会い、今やRIZINの一流ファイターとなったのか? 今回はその全貌を明らかにしていこう。

※https://jp.rizinff.com/(RIZIN公式HPより引用)

弥益ドミネーター聡志のプロフィール

名前     :弥益ドミネーター聡志
生年月日   :1990年1月23日
出身地    :埼玉県さいたま市
身長     :176cm
体重     :66.0kg
戦績     :18戦 12勝(4KO 5本) 6敗
階級     :フェザー級
所属     :teamSOS
獲得タイトル :第9代DEEPフェザー級王者
入場曲    :ねがい(B’s)
バックボーン :総合格闘技
公式HP     :ー
Twitter      :@MMA _pierrot
Instagram   :mma _pierrot
YouTube         : 弥益 ドミネーター 聡
アパレル   :ー
ファンクラブ :ー

今年でまだ32歳と脂の乗っている弥益。前戦では、勢いに乗っていた「悪童」萩原京平を1ラウンドに腕ひしぎ三角固めで沈め、フェザー級トップファイターの意地を見せた。

弥益は、筑波大学大学院卒業という誰もが羨む学歴の持ち主だが、彼はいかにして格闘技と出会い、総合格闘家となったのだろうか?

格闘技経験ゼロから始めたMMA

弥益は、子供の頃から空手や柔道などの格闘技経験があったわけではない。学生時代のスポーツ経験は、中学生の部活でやった卓球だけだ。しかし、そんな中学時代に初めて見たのが深夜のプロレスだった。弥益は、当時海外で大人気だった「WWE(World Wrestling Entertainment)」を見て衝撃を受けたと言う。プロレスの魅力にハマった弥益は、レンタルビデオ店でプロレスのDVDを片っ端から借りていった。プロレスのDVDを全て見尽くしてしまった弥益は、プロレスのDVDの隣にあった「PRIDE」のDVDを見つけ、「これも同じようなものだろう」と思い借り始める。そこから弥益は、プロレスよりもMMAの面白さにどっぷりハマっていった。ちなみに、憧れの選手は川尻達也だったという。

高校卒業後は、1年の浪人を経て国立の難関校、筑波大学に進学。格闘技への気持ちが抑えられなくなった弥益は、大学2年時に格闘技ジムに入門することを決意。ジムの選択肢としては、憧れの川尻達也が所属するT-BLOODジムか、できたてのWIZARD MMA GYMかの2つがあった。当時の弥益は、「自分みたいな初心者が川尻選手のいるジムに行っていいはずがない」と考え、新しいWIZARD MMA GYMに入会。

WIZARD MMA GYMは、まだできたてということもあって自由度が非常に高かった。そのため弥益も、厳しい練習よりかはスパーばかり行い変わった動きや好きな動きをしながら格闘技を学んでいった。弥益は、このWIZARD MMA GYMで格闘技を始めたからこそ、今のトリッキーなスタイルがあると語っている。

そして、ここからが弥益の総合格闘家としての出発点となる。格闘技経験なしから、格闘技を始めた弥益は、アマチュアの大会に出場していくようになりメキメキと実力をつけていった。

格闘技経験ゼロから20歳での格闘技スタートは、格闘家の中でもかなり遅い部類に入るが弥益はここからどのようにしてトップ選手に上り詰めていくのだろうか?

平凡ファイターから超覚醒!

弥益のプロデビューは、23歳の時で2013年6月のパンクラス。デビュー戦では、華麗なアームロックを極めて一本勝利をもぎ取っている。その後はDEEPに主戦場を移した弥益だったが、勝ったり負けたりを繰り返し7戦を終えて3勝4敗。ここまではどこにでもいる平凡な選手で、ここからDEEPチャンピオンになるなど誰も思いもしなかっただろう。

弥益に転機が訪れたのは2016年。この年に、筑波大学大学院を卒業した弥益は大手食品メーカーへの就職を機に上京。ジムも、元UFCファイターの清水俊一が主催するteamSOSに移籍。ここから弥益は一気に頭角を表すことになる。

  • 2016年5月 影丸に1ラウンドアームロックで一本勝ち
  • 2016年9月 柴ニャンに1ラウンドパンチ連打でTKO勝利
  • 2017年3月 高塩竜司に1ラウンド洗濯バサミで一本勝利
  • 2017年10月 上山雄大にスタンドパンチで1ラウンドKO勝ち
  • 2017年12月 中村晃司に判定2-0で勝利

弥益は、2016年から2017年にかけて圧巻の5連勝4フィニッシュと一気に覚醒。社会人として働きながら、短時間の練習で直ぐにDEEPのトップ選手に名乗りを上げた。

サラリーマンがDEEP王者に!?

破竹の5連勝で一気に名を上げた弥益は、2018年6月に現役DEEPフェザー級王者、芦田崇宏(当時、20勝9敗)との対戦が決定。この一戦は、ノンタイトル戦であったが、弥益によっては絶好のチャンス。芦田は、レスリングとボクシングをバックボーンにもつオールラウンダーで、スタンドの打撃が強いファイターだ。弥益にとっては、キャリア最大の相手となったが、勝てばタイトルマッチ間違いなしのビッグチャンス。

弥益は、このチャンスを物にできるのか?

試合は1ラウンドから動く。弥益は、パンチで芦田からダウンを奪うとそこから非情なサッカーボールキックを連打。そこから、芦田の腕を取った弥益は、得意のアームロックを極めて一本勝ち!

弥益は、現役王者を圧倒する内容で完勝。怒涛の6連勝を達成した! 弥益の無慈悲なサッカーボールキックは、格闘ファンに大きな衝撃を与え、弥益の名は一気に広まった。

衝撃の一戦から4ヶ月後の2018年10月、弥益と芦田のタイトルをかけた再戦が決定。試合前、弥益は自身のTwitterで「あしだー、サッカーしようぜ! お前またボールな!!」と芦田を挑発した。弥益は、再戦を盛り上げようとつぶやいたというが、予想以上に拡散され「ヤバいやつ」と認知されてしまったという。

試合は、弥益がトリッキーな動きを見せながら打撃戦に持ち込む。芦田がタックルで局面を打開しようとすると、弥益はタックルを切って宣言通りのサッカーボールキックを連発。2ラウンド開始直後には、リングをぐるぐると周りドミネーターワールド全開で試合を進める。そして、打撃でも寝技でも終始、弥益が試合をコントロールしていった。

決着は判定へ。結果は、3-0のフルマークで弥益の勝利! ジャッジ2名は、30-27をつける大差の内容で、弥益は念願の第9代DEEPフェザー級王座を戴冠!

リング上でマイクを握った弥益は、「すいません、あのチャンピオンなんて柄じゃないんですけどすいません。なんかベルト取ったからじゃなくて今自分ができることをずっとできるだけ頑張って、すいません普通のコメントなっちゃって。この後2試合すごくハイレベルな試合が続くと思うのでそっちも皆さんお楽しみください。頭回らない。ありがとうございました!」と涙ながらにコメント。

弥益は、社会人として働きながら、練習時間も十分に確保できない中で王座戴冠の偉業を成し遂げた。28歳のサラリーマン王者となった弥益は、今後どこまでDEEPのベルトを守っていけるのだろうか?

憧れの選手と初防衛戦へ

王座戴冠から約半年後の2019年5月、弥益の初防衛戦が決定。相手は、プロ15年のキャリアを誇るDJ.taiki(当時、19勝12敗)。DJは、DREAMやK-1でも活躍し、元DEEPバンタム級王者の肩書きを持つベテランファイター。しかも、判定以外の黒星がないという頑丈な体を持つ。弥益にとって、DJはDREAMの頃から見ていた選手でもあった。そのため、試合前のインタビューでは「大好きだったDJ選手の記憶に残りたい、そんな気持ちがあります。格闘技ファンだった自分を越えるような試合をしたい」と熱くコメント。

果たして、弥益は“憧れ”を超えることはできるのか? 弥益の初防衛戦が始まる。

試合は1ラウンドから打撃戦の展開に。弥益はいつも通りの変則的な動きで打撃を繰り出す。そして1ラウンド終了間際、DJの左が弥益にヒットし弥益がダウン。DJはすかさずパウンドを放ち、絶体絶命! しかし、ここは終了のゴングに救われ1ラウンドを終える。

2ラウンドが開始。早々にDJが弥益を金網まで詰め打ち合いに持ち込む。弥益を足を止めてDJと打ち合う。金網での激しい打撃戦で、DJの腰が落ちると弥益が一気にラッシュを仕掛け、たまらずレフェリーがストップ!

1ラウンドの大ピンチを凌ぎ弥益の逆転KO勝ち! 弥益は、見事に憧れを超えて見せた。そして、弥益はDJに判定以外の黒星をつけた初めての選手となった!

弥益は、試合後のマイクで「DJ選手は自分が格闘技が好きになった頃から活躍している選手で、自分の手が届くような選手じゃなかったです。これで格闘家の仲間入りしたでしょうか。気が向いたら自分もチェックしてみてください。DJ選手、ありがとうございました。大好きです」とコメント。

弥益は自らの「DJ愛」を語り、8連勝で王座の初防衛に成功した! 弥益は、これからDEEPの絶対王者として活躍していくのだろうか?

屈辱の王座陥落

防衛成功から約1年4ヶ月後の2020年9月、弥益の2度目の防衛戦が決定。挑戦者は、当時5連勝中と波に乗っていた牛久絢太郎(当時、15勝5敗)。牛久は、一発の強さはないものの秀でたテイクダウン能力と無尽蔵のスタミナで攻め続けるファイターだ。今や、第2代RIZINフェザー級王者の牛久だが、この頃はまだまだ無名だった。

このタイトルマッチは、DEEP史に残る死闘となった。試合は1ラウンドに弥益が牛久にテイクダウンされ、牛久優勢で試合が進む。試合が動いたのは2ラウンド。牛久の強烈な左フックが弥益にクリーンヒットし、弥益がダウン。大ピンチとなった弥益だが、ここをなんとかしのぐ。反撃と行きたい弥益は、牛久のタックルを切ってヒザ蹴りを入れる。牛久は意識が飛んだように大の字にダウン。勝負あったかと思われたが、牛久は弥益にしがみつき執念のテイクダウンを奪って盛り返す。

その後、牛久は持ち前のスタミナで攻め続け、弥益もサッカーボールキックを放つなど応戦するが決着つかず判定へ。

ダウンの応酬となったタイトルマッチの結果は、1-4で弥益の判定負け。弥益の2度目の王座防衛はならなかった。試合後、弥益は「最終的に、精神的なスタミナと肉体的なスタミナの両方で自分が上回られた試合だと思います。特に2Rに自分がヒザを当てて、牛久選手は完全に目が飛んでたんですけど、そっから全力でしがみついてきて、そのしがみつきに自分がビビっちゃって……精神的に一回折れてしまったのが敗因だと思います」と力無くコメント。

弥益は、ほぼKOに近いダウンを奪ったものの、牛久の執念のタックルに根負けしてしまった。2016年からの連勝は8で止まったが、国内のフェザー級はあの男を中心に動き始めており、弥益にはとんでもないオファーが舞い込んでくることになる。

夢の舞台 RIZIN参戦へ

RIZINのスーパースター、朝倉未来との「院卒対決」へ

弥益の次戦はまさかの舞台でまさかの相手となった。それは、格闘技が最も盛り上がる大晦日のRIZINで、RIZINの看板選手である朝倉未来との対決だ。朝倉未来は、RIZIN7連勝の実力を持ちながら、登録者数100万人超えのYouTuberとして活躍し日本の格闘技の顔と言える存在だ。しかし、わずか1ヶ月前のRIZIN初代フェザー級タイトルマッチでは、修斗王者の斎藤裕に敗北する波乱を起こしていた。今回は、朝倉の復帰戦として元DEEP王者の弥益が用意される形となった。

12月に行われた対戦発表記者会見で、弥益は「みなさんはじめまして、ドミネーターです。自分はこんな大舞台、みんなが目指している大きな舞台に立つ資格が自分ではあるとは思っていないのですが、対戦相手の朝倉未来選手が今回復帰戦ということで、(朝倉選手が)絶対に落とせないというところで自分みたいな『ただ格闘技を習っているだけの会社員』を対戦相手に選び出していただいたという素晴らしいリスクマネジメント能力によって、ここに座っております。できるだけ頑張りたいと思っております。よろしくお願いいたします。」とコメント。

弥益は、独特の言い回しで朝倉を挑発。この試合は、少年院卒の朝倉と大学院卒の弥益の「院卒対決」として話題を呼び注目のカードとなった。

弥益は、初のRIZINでジャイアントキリングを起こすことができるのか? 今ゴングだ。

2020年大晦日のさいたまスーパーアリーナ、ど真ん中のリングで見つめあう弥益と朝倉。弥益は、憧れの場所であの朝倉未来と向かいあい、思わず笑みが溢れる。試合開始。弥益はいつものステップを踏みながら、頻繁にスイッチし朝倉を惑わせる。朝倉は、斎藤戦の消極的なファイトスタイルではなく、積極的に手を出し弥益の出方を伺う。弥益も変則的なパンチを繰り出しながら試合の主導権争いを演じる。

試合が動いたのは1ラウンド終盤。朝倉の三日月蹴りが弥益の脇腹を捉える。ここで詰めに行った朝倉は、弥益とバッティングし試合は少し中断。再開後、朝倉は左ストレートからの強烈な左ハイキックをお見舞いし、弥益は膝から崩れ落ちる。朝倉が追撃に行くと、レフェリーが留に入り試合終了。弥益のKO負けとなった。

 

試合後、弥益は控室で「こんな無傷で負けるの嫌だ……情けない」と涙を流した。しかし、この試合で弥益の知名度は格段に上がり、RIZINでまた観たいと言う声も強まった。

弥益は、サラリーマンとして働きながらRIZINファイターとして活躍していくことになるのだろうか?

ほろ苦い? RIZIN初勝利

タイトルマッチから2連敗となってしまった弥益だったが、2021年6月のRIZIN.28東京ドーム大会への参戦が決定。対戦相手は、MMAデビュー戦となるキックボクサー、“ブラックパンサー”ベイノアだ。ベイノアは、極真空手の軽量級全日本王者という経歴の持ち主で、RISEでもウェルター級のベルトを獲得している。この試合は、73キロ契約で行われ、弥益にとっては通常体重よりも重い体重での試合となった。

豪華な対戦カードが並んだ東京ドーム大会で、両者の一戦は第1試合に抜擢され期待度の高さをうかがわせた。試合は、序盤から激しい打撃戦に。ベイノアの鋭い蹴りで尻餅をついた弥益は、「猪木アリ」の体勢からベイノアを手を使ってグラウンドに誘うが、ベイノアは「押忍」のポーズで応じずスタンド戦へ。

その後は、ベイノアの極真仕込みの打撃を何度も被弾する弥益。弥益も必死にベイノアに食らいつき、ロープ際で組みの攻防に。その際にベイノアは、何度もリングのロープを掴む反則行為をしてしまいレッドカードを提示される。弥益は、その後もベイノアの鋭い打撃を被弾しながらも必死に組みつき得意のアームロックを狙うも極められず、試合終了となった。

試合は判定へもつれ込んだ。結果は、2-1の僅差で弥益の判定勝ち、泥臭くRIZIN初勝利を掴んだ。RIZINの判定基準である与えたダメージではベイノアが上回ったように見えたが、ロープ掴みのレッドカードが響いた形となった。

試合後、ベイノアは「勝てた、まじで」と悔しさをにじませ、勝った弥益も「全然負けてた」と悔し涙を流しながらリングを降りた。弥益は、ベイノアの強烈な打撃で眼窩底骨折の重傷を負ったことをSNSで報告。弥益はRIZIN初勝利となったものの、納得のいく形とは言えずほろ苦い初勝利となった。

“悪童” 萩原京平と大阪決戦へ

連敗を止めたベイノア戦から約9ヶ月後の2022年3月、弥益の次戦がRIZINで決定。対戦相手は、“アンダーグラウンドエンペラー”の異名を持つ萩原京平(当時、6勝4敗)。地下格出身の萩原は、センス抜群の打撃とアングラ感満載の風貌からRIZINでもトップクラスの人気を誇り、フェザー級で急成長中のファイターだ。

カード発表会見では、萩原が「ドミネーター選手とは一年ほど前に、自分が『試合をしたい』というのを言っていて、今回やっと実現した。今回、地元・大阪の何万人というファンが見ている前で思いっきりぶっ飛ばして、サラリーマン業に専念させてあげようかなと思っています」と挑発。萩原は、弥益が朝倉未来と戦った後から度々対戦要求していた。

一方の弥益もこれまでの萩原の対戦要求について、「ただちょっと振り返ってみると、全体的に通してアピールに誠意が感じられないなと以前から思っていましたので、ちょっとその辺りイラついていた部分もあります」と語り対抗心を燃やした。

地下格で腕を磨いてきた萩原と、院卒エリートサラリーマンの弥益という正反対の道を歩んできた2人が、RIZIN大阪大会のメインイベントで今交わる!

試合開始。先手を取ったのは萩原だった。バックスピンキックを弥益のボディに打ち込むと、弥益がリング際へ吹っ飛ばされる。萩原はすかさず追撃の踏み付けを見舞うが、弥益はクリーンヒットを逃れ萩原に組みつく。萩原の弱点である寝技に持ち込もうとする弥益だったが、ここは萩原に投げられスタンドに戻る。弥益は、萩原のワンツーに合わせてタックルに入る。テイクダウンは奪えなかったものの、弥益は萩原を引き込むように下になりながら寝技に持ち込む。弥益は、萩原の首に足を巻きつけ三角絞めの体勢を作ると、萩原の右腕を極める。萩原は苦悶の表情を浮かべたまらずタップアウト! 弥益の一本勝ちだ。

※https://jp.rizinff.com/(RIZIN公式HPより引用)

弥益はリングサイドに駆け上がり、勝利をアピールするとセコンド陣営と抱き合って勝利を噛み締めた。マイクを握った弥益は、「こういうの苦手なんだよな。弥益と申します。もっと嫌味っぽいこと言わないといけないんですけどキャラ的には、めっちゃくちゃアウェーで自分のファンなんて1人もいないんじゃないかと思いましたが、これで勘違いして格闘技に専念しないように気をつけます。みなさん、本日はありがとうございました」とコメント。

弥益は、初のRIZINメインイベントを最高の形で締めくくり萩原を返り討ちにした。

 

フェザー級に激震! ドミネーター vs. 平本

RIZIN.38の大会中、衝撃のカード発表がなされた。

それは、11月6日、RIZIN LANDMARK vol.4「弥益ドミネーター聡 vs. 平本蓮」だった。

元DEEP王者の弥益と、MMA未だ1勝の平本では、明らかに格差のあるマッチメイクに見え、ネットでは弥益の勝利予想が圧倒的に。しかし、平本は、以前から弥益に対戦要求をしていた。一方の弥益は、自身のYouTubeでオファーが来た時の心境を「なんでやねんだった」と語っている。

ただ、試合直前に平本の足の怪我により、契約体重が66キロから70キロに変更。

キャッチウェイとなった元DEEP王者の弥益と、MMA3戦目の平本の一戦。平本の怪我の具合や弥益のコンディション面はどうなのか、さまざまな疑念が湧く中、「格差マッチ」の火蓋が切られた。

覚醒した平本を前にドミネーターは…

1ラウンド、いきなり平本はいつもオーソドックススタイルではなく、サウスポースタイルから入り、ガードも低い。足の怪我からかステップもほとんど踏まない。対する弥益は、オーソドックススタイルで挑む。

そして、開始早々、弥益が平本の右ふくらはぎに強烈なローキックを入れ、平本がマットに手をついてバランスを崩す。チャンスと見た弥益は、平本の距離を詰めるが、すぐに立ち上がった平本が強烈な右ストレートを弥益に叩き込むと、弥益がダウン。

しかし、深追いはしない平本が弥益を立たせ、スタンド戦へ。じわりと弥益が近づきながらローキックで距離を詰めると、平本は待ってましたと言わんばかりに右ストレートで弥益を捉え、弥益は2度目のダウン。ここで一気にパウンドに向かった平本だが、まだ息のある弥益は、平本の足を掴み足関を極めにいく。

画像4: ROUND 1

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/11/06/31f22a96a44a33258931800f6ab168a81283827d.jpg(RIZIN公式HPより引用)

画像6: ROUND 1

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/11/06/31f22a96a44a33258931800f6ab168a81283827d.jpg(RIZIN公式HPより引用)

しかし、平本はなんとか体を回し足関を解除して立ち上がる。弥益は、足を広げ寝技に誘うが、平本はお礼と同時に中指を立てるパフォーマンスみせて付き合わず、弥益も笑顔をみせる。まるで、弥益とベイノアが戦った時と同じような2人のやりとりに会場からは拍手が巻き起こりボルテージが上がる。

解説の石渡伸太郎は、「平本選手、めちゃくちゃスピードありますね。それに(弥益が)面食らってるところもあると思います」とコメント。

なかなか手を出せない弥益は、今度はヘッドムーブで平本のパンチを掻い潜り胴タックルに入る。しかし、手のクラッチを組むことができず、逆に平本が弥益をケージ際に投げ飛ばし左のパンチで弥益から3度目のダウンを奪う。

画像9: ROUND 1

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/11/06/4fcb9be3035515cf9d13dd6ad23c9f3ea97d8116.jpg(RIZIN公式HPより引用)

弥益はスイッチやタックルのフェイントなどで平本を伺い、今度は右ストレートから平本の懐に入る。しかし、平本は右と左の高速コンビネーションで弥益を迎撃し弥益は4度目のダウンを喫する。しかし、平本は弥益を立たせ、アデサニヤも使うロックリーのポーズで挑発し、会場からは歓声が上がる。

1ラウンドは、平本が終始サウスポーで弥益から4度のダウンを奪う圧巻のパフォーマンスを見せた。解説の石渡は、平本について「覚醒してますね。」と舌を巻く。一方の弥益は、打撃で上回れ、テイクダウンを奪えず苦しいラウンドとなった。

鉄壁の平本に立ち尽くす弥益

2ラウンド開始。1ラウンド同様に、平本はサウスポーでケージ中央でどっしりと構える。対する弥益は、ケージを回りながら平本の動きを見る。

弥益は、意表をつく飛びヒザから入るも、命中しない。

寝技で勝機を見出したい弥益は、3度タックルに入るも、全て平本に切られて、グラウンドの展開に持ち込めない。

画像2: ROUND 2

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/11/06/03d66e71be0424d2cf19d0349fd9bb8944f6698d.jpg(RIZIN公式HPより引用)

そして、2ラウンド残り1分半で、弥益が不用意に平本に近づいていくと、平本が左右のフックを弥益に浴びせ、弥益は5度目のダウン。ここを勝機とみたのか平本は、弥益を立たせずパウンドに向かうが、弥益は平本に絡みつき平本の左足を狙う。しかし、平本は難なくエスケープ。

画像5: ROUND 2

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/11/06/3b88920d001cc6d66d89407f41461e0da8a43fdb.jpg(RIZIN公式HPより引用)

2ラウンド終了。平本は、弥益のタックルすべて切って寄せ付けない。一方の弥益は、グラウンドの展開に持ち込めず試合の主導権を平本に握られてしまった。

平本の “奪ダウンショー”

運命の最終ラウンド。鉄壁の平本の前に、手詰まりとなった弥益はいったいどのように戦うのだろうか?

パンチを振って前に出る弥益。弥益の右のパンチが平本に当たるも、平本に効いた様子はない。平本も、珍しく自分からワンツーを出して弥益の出方を伺う。

そして、弥益は平本のパンチを掻い潜り絶妙なタイミングでタックルに入って平本の腰をマットにつけさせるも、平本は即座に立ち上がる。弥益はそのまま平本を金網に押し込み、組技の展開へ。しかし、平本は難なく弥益をはがし、再びスタンドに戻る。

後が無い弥益は果敢にパンチを振り試合を動かしにかかる。弥益が一気に距離を縮めてくると、平本はパンチを出しながら大きく距離を取り、距離感をリセット。

弥益は、パンチを出しながら平本を金網際まで追い込み近い距離で打撃戦を仕掛ける! しかし、ここは平本の最も得意な距離。平本の右のパンチが弥益を捉え、弥益は5度目のダウン。腰をつき、かなり疲れの見える弥益だが、鋭い眼光を平本に向ける。平本は追撃せず、スタンドに戻した。

画像4: ROUND 3

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/11/06/37a24191ae14254238d3c7270891688f08d9cbc2.jpg(RIZIN公式HPより引用)

そして、残り1分半となったところ、右のパンチで飛び込んできた弥益だが、平本が左フック2発を的確に弥益に浴びせ、弥益は6度目のダウン。フィニッシュに近いダウンに見えたが、平本はパウンドに行かず弥益を立たせる。

残り1分、弥益が左フックで入ると、平本は右フックを弥益に叩き込み、弥益は7度目のダウン。弥益は、左目あたりから流血するも、平本と向かい合う。弥益は、立ってはいるが体ふらつきダメージを隠せない。

最後は、弥益が執念のタックルを見せ、平本を金網に押し込んだところでゴングとなった。

画像7: ROUND 3

力を使い果たした弥益は、ケージで大の字になると、勝ちを確信し一瞬両手を広げた平本だったが、すぐに弥益のもとにかけより、お互い膝をついて健闘を称え合った。

新時代の到来、弥益敗れる、勝者は“平本蓮”

判定に委ねられた試合結果は、フルマークの3-0で平本の判定勝ちとなった。平本は右の拳を突き上げ、冷静な表情で勝利者コールを聞いた。弥益は、涙を浮かべながら観客に向け手を合わせながらケージを後にした。

画像8: ROUND 3

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/11/06/699e2e3670fb4221367377af54a334e6a8446637.jpg(RIZIN公式HPより引用)

マイクを握った平本は、

「こんにちは。平本蓮です。僕は今まで対戦相手でもない相手をたくさん侮辱したり、自分とは関係のない選手を巻き込んで悪態ばっかりついてるんですけど、僕は今日この場をお借りして、お詫び……する訳ないでしょ! これからは平本蓮の時代です!」

と、あのUFC2階級制覇王者のコナー・マクレガーをオマージュしたマイクで会場沸かせマイクを投げ捨てた。

画像2: 勝利者マイク

※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/11/06/d54c7914c46cd04ac5d359874c82d9964abcd999.jpg(RIZIN公式HPより引用)

試合後インタビューで平本は、左足の人差し指の基節骨を骨折しており、踏ん張ることができない状態だったと明かした。サウスポースタイルだったことに関しては、小学生の頃からサウスポーを練習しており、テクニックの面ではサウスポーの方が豊富にあるとコメント。

対する弥益は、「正直、想定通りの部分が多かったんですけど、その想定を自分が上回れなかったなというのが率直な感想ですね。」と振り返った。

平本に敗れた弥益は、今後も混沌を極めるRIZINフェザー級でどこまで活躍することができるのか?

今後もサラリーマンファイター弥益に注目だ。

弥益ドミネーター聡志の知りたいトコ!

弥益の白い仮面の意味は?

弥益の入場シーンで象徴的なのが白い仮面である。弥益は、入場の時は決まって白い仮面をつけて入場するが、この仮面は一体何を意味するのだろうか?

弥益によると、白い仮面は自らの「社会性」を意味する。つまり、普段本性を隠して社会人としての仮面を被って生活する自分を表す。そしてリングインの時には白い仮面を外し、決闘の場へ足を踏み入れる。弥益にとってリングは、自分の仮面を外せる唯一の場所であり、真の自分を表現できる場なのである。

※https://jp.rizinff.com/(RIZIN公式HPより引用)

弥益のドミネーターの意味と意外なきっかけとは?

弥益のリングネームに特徴的な「ドミネーター」とはいったい何を意味しているのだろうか?

この「ドミネーター」は、元UFCバンタム級王者、ドミニク・クルーズの異名「ザ・ドミネーター」から取ったものらしく、「支配者」を意味する。しかし、これをつけたのは弥益自身の意思ではなく、マネージャーが悪ふざけでつけたことがきっかけという。

弥益は、今のリングネームの他にも「やますドミネーターさとし」や「弥益クルーズ先輩サトシ」という名前で出場したこともあった。

RIZINの動画で弥益は、自分のリングネームを「恥ずかしいリンングネーム系」と自虐している。しかし、今ではファンから「ドミ」と呼ばれることも多くかなり定着している。

今後もサラリーマンファイターが、フェザー級の強豪たちを「支配」していく戦いに注目したい。

爆笑必至! 弥益のミラクル

奇跡の動画がとられた。その動画とは、RIZINがYouTubeで配信した「SPASHAN presents RIZIN TRIGGER 3rdを100倍楽しむための動画【with 弥益ドミネーター聡】」という動画だ。

この動画で解説として弥益は呼ばれ、RIZINアンバサダーのくるみと共演。順調に試合の見どころや選手の解説をしていく中で事件は起こった。動画の15分30秒あたりで弥益のアップルウォッチが勝手に喋りだすというハプニングである。笑いに包まれた現場だったが、これだけでは終わらなかった。

ハプニングもあり、一旦休憩を挟んだ時だ。弥益とくるみがハプニングについて話しながら水を飲もうとした瞬間、アップルウォッチが再び「すみません・・・」と反応。2人は爆笑し、くるみは含んでいた水を噴き出す事態に。

弥益はミラクルを2回も起こすしたが、今回はアップルウォッチにドミネイトされてしまったようだ。

まとめ

ここまで弥益ドミネーター聡を見てきたが如何だっただろうか?

弥益は、会見では知的な言い回しで相手を挑発し、試合では変幻自在のファイトスタイルを見せる唯一無二のファイターだ。格闘技がただただ好きだった弥益は、格闘技未経験からそのキャリアをスタート。格闘エリートたちとの差を埋めるため、誰も真似できないような動きで変則的なスタイルを磨き、一気に他の選手を追い抜いてチャンピオンとなった。

国内屈指の実力を持ちながら、弥益は今日も社会人の仮面を被って会社に向かい、家に帰ればパパの仮面を被って子供の相手をする。ごく普通のサラリーマンを演じる弥益は、仮面を外す日に向け夜な夜な練習へ向かって汗を流している。

※https://jp.rizinff.com/(RIZIN公式HPより引用)

日本の全サラリーマンに勇気を与える弥益は、激戦区のフェザー級でどのような強豪と渡り合っていくのだろうか? 今後も目が離せない。

※アイキャッチはRIZINの公式HPより引用