大島沙緒里の選手紹介 〜“極めのミクロクイーン“のすべて〜

二児の母親でありながらMMAのリングに立ち、一本勝ちを量産している1人のファイターがいる。

彼女の名は”大嶋沙緒里”。149cmという小柄な体型からは想像もつかないほど強力な寝技と、巧みなグラウンドコントロール能力を武器に、どんな相手でも翻弄してしまう。そんな大島についた異名は”極めのミクロクイーン”。主戦場としている「DEEP JEWEL」では、圧倒的強さで二階級制覇を果たし、まさに”女王”として君臨している。

しかし、大島が今日まで歩んできた道のりは、決して順風満帆ではなかった。度重なる敗北や不調にもがき苦しみ、幾つもの挫折を味わってきた。そんな大島は、どのようにして困難を乗り越え、日本最高峰の舞台まで上り詰めたのだろうか。その答えは、大島のファイターとしての歴史に隠されている。

今回の記事では、大島の生い立ちから、格闘家としての歩み、そして今後の展望について 詳しく紹介する。

画像1: 入場
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2021/10/24/08be675859971fb9c97a5d95b33f5f59851d3c47_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)

まずはプロフィールから見ていこう。

大島沙緒里のプロフィール

名前 : 大島沙緒里

生年月日 : 1994年11月14日

出身地 : 島根県浜田市

身長 : 149cm

体重 : 49kg

戦績 : 12戦 9勝(1KO) 3敗

階級 : ミクロ級、アトム級

所属 : AACC

獲得タイトル : DEEPアトム級王者、DEEPミクロ級王者

入場曲 : Mela!

バックボーン : 柔道

公式HP : −

Twitter : @大島沙緒里(安藤)

Instagram : 大島沙緒里

YouTube : −

アパレル : −

ファンクラブ : −

エリート柔道家から総合格闘家へ

柔道に熱中した学生時代

島根県浜田市で生まれた大島は3歳の頃、親が開いている道場で柔道を習い始めた。同じ道場に通っている兄弟たちに揉まれながら、メキメキと腕を磨いた大島。頭角を表したのは中学2年生の時だ。全国中学校柔道大会に出場すると、見事に準優勝という結果を残し、一躍全国トップクラスの選手に。さらに中学3年では、16歳以下の世界大会に出場。ここでも3位という結果を残し、将来を嘱望される選手にまで成長していた。

高校・大学でも大島の快進撃は止まらない。名門・阿蘇中央高校に進学すると、後に柔道の世界チャンピオンになる梅木真美らとともに切磋琢磨し、全国2位となる。大学進学後の2014年、大島はついに全日本ジュニア体重別選手権で優勝を果たし、初の全国タイトルを獲得した。

大学卒業後は社会人選手として活動。国体などでも優秀な成績を収めていたが、結婚・出産を機に、2016年に競技を離れることを決めた。

転機が訪れたのは24歳の時だ。ある日、東海大学柔道部で同級生だった本野美樹のMMAデビュー戦を観戦しに行った。軽い気持ちで足を運んだ大島だったが、リングで勇ましく戦う同級生の姿に感銘を受け、「羨ましさ」すら感じていた。「私も勝負の世界で戦いたい」そう思った大島は、すぐに総合格闘技への挑戦を決意。そして2019年4月、女子選手育成に定評があるMMAジム「AACC」の門を叩いた。

プロデビューへ

大島は、練習開始から3ヶ月後にアマチュア修斗関東選手権に参戦すると、見事に優勝。その後行われた全日本アマチュア修斗選手権でも、ほとんどの試合で一本勝ちを見せ、圧倒的な強さで優勝。ここまでわずか半年だが、大島の強さは周囲からも認められ始めており、早くもプロ昇格を果たすことになったのだ。

そして2020年1月、プロ試合の経験はまだなかった大島は、アマチュア王者として、修斗初の女性王者を決める「修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメント」へ参戦。「プロデビュー戦が王座決定トーナメント」という話は、まさに異例中の異例。それほど、大島は修斗運営陣からも期待されていたのだ。

1回戦の相手は小生由紀。いざ始まった試合では、大島の投げの強さが光った。大島は組みの展開から小生を投げ倒すと、そのままパウンドを浴びせる。小生は1ラウンドこそ耐え凌いだものの、2ラウンドでは大島のパウンドに打ち返せなくなり、レフェリーが試合をストップ。大島はデビュー戦を見事なTKO勝利で飾り、準決勝への進出を決めた。

大島の次なる相手は、黒部三奈。黒部は、元DEEP JEWELアトム級王者であり、RIZINでも活躍している日本のトップファイター。女王・黒部三奈と全日本アマチュア修斗王者・大島沙緒里の対戦に注目が集まっていた。

幕を開けた試合では、両者が持ち味を出し合い、見応えのある展開が続いた。ジャブを突いて右ストレートを狙う黒部に対して、大島も細かくパンチとローを蹴って対抗していく。大島は、得意の投げでテイクダウンを奪いパウンドへ。しかし、黒部はなんとかスタンドに戻って、打撃戦へ持ち込む。その後は、大島のタックルを黒部が切り、さらに黒部がマウントを奪ってヒザを入れ込むなど、黒部が優勢の展開が続く。ついに3ラウンド、黒部が大島の上を取り、ヒジを落としたところで試合がストップ。大島は元DEEP JEWELSアトム級王者の黒部三奈にTKO負けを喫することとなった。しかし、敗れはしたものの、大島はまだデビュー2戦目。むしろこの試合で大きく株を上げ、そのポテンシャルの高さを堂々と見せつける結果となった。

DEEP JEWELSへ

2020年7月、大島はDEEP JEWELSへの参戦を決めた。その初戦の相手は、柔道家・さくら。さくらは大島と同様にMMAのプロ経験がまだ浅く、これが3戦目。ただ、プロデビュー後は2連勝中と、大島にとっても決して侮れないファイターだった。

しかし、大島はこの試合でも大気の片鱗を見せる。開始から再三のタックルを仕掛ける大島は、2ラウンド中盤、グラウンドの攻防でさくらの左腕を完璧に捉える。そのままアームロックを狙い、左腕を曲げ切り、さくらがタップ。DEEP初戦を圧巻の一本勝利で飾った大島は、「これからも勝ち続けられるように練習したい」と今後の意気込みを語って、試合を締めくくった。ここまでプロ3戦ながら、堂々たる戦いぶりを見せていた大島。そして2020年9月、ついにタイトルマッチを迎えることになる。

DEEPミクロ級王座決定戦で大島が戦う相手は、にっせー。にっせーはダイエット目的で格闘技を始めたが、徐々に実力をつけ、DEEPへ参戦。その後、元アトム級王者の”しなし”に1ラウンドTKO勝利を収めるなど、驚異的な成長を見せて、タイトルマッチの舞台まで上り詰めてきた。大島にとっても、にっせーとの対戦は、初タイトルをかけた重要な一戦だ。是が非でも負けられない試合は、意外にも早々と決着を迎えることになる。

試合開始直後、大島は突進を仕掛け、組みついて小内刈りでいきなりテイクダウンを奪う。そこからにっせーの左腕を足で挟み、反撃を許すことなく、右手でのパンチを連打していく。にっせーも必死に逃れようとするが、大島の絞めが強固で脱出できない。そのまま大島はパウンドで攻め抜き、にっせーが限界を迎えたところで試合がストップ。1ラウンド2分9秒での圧巻の勝利だった。

タイトルマッチに勝利し、DEEP JEWELS女子ミクロ級王者に輝いた大島は「育児をしながら格闘技をすることは大変なんですけど、充実した忙しさを送れているので、とてもいい生活をしています。娘たちにもいろんな景色を見せてあげたいので、応援よろしくお願いします」と語り、夫とともに娘2人をリングで抱き上げた。

しかしこの後、大島に試練が訪れることになる。

初めての挫折

2020年12月、ミクロ級王者として迎えたDEEP大会で、パク・シウとの対戦カードが組まれた。パク・シウは元RIZINスーパーアトム級王者ハム・ソヒと同じ「TEAM MAD」に所属し、「ハム・ソヒの妹分」として知られるストライカー。パク・シウは実力が未知数で要警戒な選手であったが、それでも大島は王者だ。下馬評では大島の勝利を予想する声が多かった。

いざ始まった試合では、開始早々から大島が低空タックルを狙い、攻勢に出る。テイクダウンから腕十字を仕掛け、すぐにパク・シウを追い詰めるが、これは極めきれず。パク・シウもなんとか耐えてスタンドに戻ると、そこからは大島のタックルをことごとくシウが潰していく。リズムを掴みきれない大島は、右ミドル、バックブローと放ち、一発を狙う。しかし、パク・シウは大島の攻撃をかわし続け、さらには隙を見てパウンドを浴びせる。徐々にスタミナが切れてきた大島は、タックルする余裕もなくなる。そのまま、シウに打撃をもらい続け、試合は終了。判定は、0-3のフルマークでの大島の完敗だった。

試合後、大島は「パク・シウと向かい合った時、相手のことがすごく大きく感じられて。試合中も、それだけで相手の圧力を感じてしまった」と語り、自身の敗因を分析していた。ノンタイトルマッチとはいえ、王者として手痛い一敗を喫した大島。果たして、パク・シウにリベンジを果たすことができるのだろうか。

ミクロ級から階級を上げ、アトム級GPへ挑戦

2021年3月、大島はDEEP JEWELS アトム級グランプリトーナメントへの参戦が決まった。大会の開催に際して行われた記者会見では「トーナメントを優勝したら、何かが変わると思います。そのためにも、今回は勝ちます」と、堂々の優勝宣言をしてみせた。ミクロ級王者の大島としては、アトム級は1ランク上の階級。決して一筋縄ではいかない試合が続くと予想されるが、大島はどんな戦いを見せてくれるのだろうか。

トーナメント1回戦の相手は富松恵美。富松はデビュー15年のベテランファイターで、この大会を集大成の場所として捉え、チャンピオンの座を虎視眈々と狙っていた。

しかし、勝敗はすぐに決まった。開幕したトーナメント1回戦では、いきなり大島がシングルレッグからテイクダウンを奪う。そのまま富松に抵抗の機会を一瞬たりとも与えず、上からキムラロックを極めにいく。富松も意地を見せたいところだったが、堪えきれず、試合がストップ。ここまでわずか45秒。見事な瞬殺劇を見せた大島が、準決勝への進出を決めた。

2021年6月、アトム級グランプリ準決勝での大島の対戦相手は、抽選によりパク・シウに決まった。パク・シウはこの大会の優勝候補の筆頭。1回戦では、にっせーを相手に下馬評通りの強さを見せ、判定勝利している。アトム級の頂点を狙う大島にとっても、パク・シウは必ず倒さなければいけない相手。リベンジを果たすべく、大島の挑戦が幕を開ける。

1ラウンドから、大島は左ジャブ、前蹴りは放つなど、激しい動きでパク・シウに揺さぶりをかける。しかし大島が距離を縮めると、パク・シウはカウンターの左を合わせ反撃。さらに、大島はケージ際で右フックを食らい、一瞬、腰を落とす。その後、パク・シウがすぐにマウントを奪いパウンドを狙ったが、ここで大島が体勢を入れ替え、一気に逆転の腕十字へ。パク・シウは体重をかけてこれを潰しにいくが、大島は執念で絞り上げて、パク・シウがタップ。因縁のパク・シウとの再戦は、大島の1ラウンド一本勝ちで幕を閉じた。

グランプリ決勝戦へ

アトム級王座がかかった決勝戦では、青野ひかるとの対戦が決まった。青野は日本大学レスリング部出身で、全日本社会人レスリング選手権大会優勝などの輝かしい実績を持つ。さらにDEEP参戦後も3連勝を飾るなど、実力は十分。まさに決勝にふさわしい相手だった。

いざ始まった決勝戦では、1ラウンドから青野が、いきなり右フックをヒットさせる。さらに青野は、大島のパンチの隙を突いてタックルに行き、テイクダウン。青野の優勢がこのまま続くと思われた中で、大島も反撃に出る。大島は袈裟固めを仕掛け、さらに青野の腕をアームロックのように固めると、そのままパウンドを落としてく。その後、大島がアンクルホールドを狙えば、青野もヒールフックを狙うなど、一進一退の攻防が続いた。

試合の均衡が破れたのは2ラウンド。徐々に大島がペースを掴み始めた。スタミナが切れていた青野をしっかりグラウンドに抑え込み、コツコツとパウンドを落とす。青野もブリッジしたり脚で大島の腕を挟んだり、果敢な抵抗を見せるが、大島はそれにも怯まない。最後まで大島がしっかりと押さえ込み、攻撃を許さず、試合終了。

判定はジャッジ5人とも大島を支持し、5-0。大島がトーナメントを優勝し、DEEP JEWELSアトム級王座を獲得した。試合後、大島は二人の子どもをケージに招き入れて笑顔を見せた。そしてマイクを持つと、「ベルトを獲ってからがスタートだと思うのでこのベルトを守り切れるように頑張ります」と防衛への決意を語った。

DEEP JEWELSミクロ級、アトム級の2冠王者となった大島。この時、大島のもとにはRIZINからのオファーが届いた。RIZINは言わずと知れた、日本最高峰の団体。大島のRIZINでの活躍は、後に詳しく紹介していく。

チャンピオンとして初めての防衛戦

2022年5月、大島はDEEP JEWELSアトム級タイトルマッチで、挑戦者の須田萌里と対戦が決まった。須田は、アグレッシブな寝技が持ち味の現役高校生。ブラジリアン柔術の世界で実績を積み、MMA参戦後も伸び盛りの成長を見せている。2021年12月には、RIZINにも参戦したストライカー・竹林愛留を腕十字で下し、さらに3月には青野ひかるにも一本勝ち。DEEP 5連勝を飾り、満を持してタイトルマッチへと挑んでくる。大島は今回の試合について「厳しいトーナメントを勝ち抜いて取ったベルトを守り切ります」と、必勝を誓っていた。

いざ始まった防衛戦は、大島が2階級王者の貫禄を見せつける。1ラウンド、スタンドの展開でまず先制を取ったのは須田。顔面に前蹴りをヒットさせたが、これでギアが上がったのか、大島は得意のタックルで組み付き、テイクダウンに成功。大島は上をキープしつつ、須田の左手を取って、一気にアームロックへ。苦しい表情を見せる須田も、大島の極めの強さになすすべなし。須田がレフェリーにストップを訴え、試合が終了。大島が電光石火の一本勝ちを見せ、王座の初防衛に成功した。

ここまで、破竹の勢いで勝利を量産してきた大島。次の章では、大島のRIZINでの活躍を紹介する。DEEPでの絶対王者が、日本最高峰の舞台・RIZINでどのような戦いを見せてくれるのだろうか。

RIZIN参戦後の戦い

RIZIN看板選手、浅倉カンナとの一戦

2021年10月、RIZIN初出場となった大島は、浅倉カンナとの対戦カードが決まった。浅倉は、RIZIN女子のエース的存在の一人。若いながらにRIZINアトム級グランプリでRENAを破り優勝した実績があり、さらなる飛躍が期待されているファイターだ。

浅倉との対戦を前にして大島は、「早く試合したい気持ちですね 私自身、身体が小さいんですけどグラップラーなので、結構前にガンガン距離を詰めて闘っていく姿を見てもらいたい」と、意気込みを語っていた。

1ラウンド、大島はハイキック、ボディを勢いよく放っていく。そこからタックルで組みつき、すぐに大内刈りでテイクダウンを奪う。このまま狙い通り、パウンドで攻め立てようとする大島だったが、やはり一筋縄ではRIZINのエースを攻略できず、浅倉は下から脚を蹴り上げて大島のバランスを崩す。大島はその後、スクランブルへ持ち込み再びトップを奪うと、「今度こそは」と言わんばかりにしっかりと浅倉を押さえ込み、腕十字へ。しかし、ここでタイムアップとなり、1ラウンドが終了した。

2ラウンド、開始早々から大島が小内刈りでテイクダウンを奪う。しかし浅倉は、大島の脇を抜けて立つと、トップからパウンドを落とす。下から足関節を狙う大島は、立て続けに浅倉のパウンドを被弾し、ダメージを負う。しかし、執念を見せたい大島は、下から顔面に蹴りを入れる。ここで2ラウンドが終了。

3ラウンド、大島は右フックやボディストレートなど、打撃を思い切って振っていく。ただでさえ体力は限界に近かったが、RIZIN初勝利を掴むべく、大島は果敢に前に出る。組みの展開になると、大島は飛びつくようにギロチンをかける。さらにスイープを狙ったが、極め切るまでは至らず。最後はパウンドに来る浅倉を、大島が下から固めたまま試合が終了。

激しい接戦の決着は、運命の判定へ。結果、2-1で大島の勝利! 強敵・浅倉を下した大島は試合後、「周りも浅倉カンナ選手が勝つという予想が多かったですし、あんまり正直、勝つイメージがないまま試合を迎えましたが、結果として私の得意な寝技で抑えることが出来て、嬉しいです」と、喜びを口にした。

トップレスラー、山本美優と常夏の沖縄決戦へ

2022年7月、大島の次なる相手は山本美憂に決定した。山本は、レスリング世界選手権優勝を果たすなど、輝かしい実績を持つ選手。MMA参戦後も、RENAや長野美香、浅倉カンナら強豪選手と拳を交え、勝利を収めてきた。

そんな山本との対戦を前にして大島は、「約3年前に総合格闘技を始めて、それまで(山本が)TVで活躍されている姿を見てきた立場なので、本当に戦えることが嬉しい。2階級王者としてしっかり勝ちに行きたい」と、必勝宣言してみせた。

1ラウンドから、大島は柔道仕込みの足技で、積極的にテイクダウンを狙う。しかし、山本は体幹の強さで持ち堪えると、グラウンドに持ち込んで上を取る。そのまま山本はパウンドを入れるが、大島も下からスイープを返して、上を取り返す。その後も、両者上下が入れ替わる激しい攻防が続き、そのまま1ラウンドが終了した。

画像6: ROUND 1
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/07/02/0c93f7203aa1403d2ef975af2c6e520f48d54a89.jpg(RIZIN公式HPより引用)

2ラウンドは、1ラウンドとは打って変わり、両者は打撃戦を繰り広げる。山本が左ストレートを放てば、大島はミドル、ローで応酬していく。グラウンド勝負へと持ち込みたい大島だったが、山本はそれを警戒して、タックルには付き合わない。大島は再三の足技でテイクダウンを狙うが、逆に山本に上を取られパウンドを浴びる。山本の優勢が続き、2ラウンドが終了した。

最終3ラウンドも、山本は寝技に付き合わず、フック、ストレートといった打撃を中心に攻撃を組み立てる。大島は蹴りからのバックブローで反撃するが、これはヒットせず。そのまま組み合いで山本に上を取られ、またもパウンドを浴び、ここで試合終了。

画像8: ROUND 3
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/07/02/438a726e3ec21df452120290042017f7162a4d02.jpg(RIZIN公式HPより引用)

大島は内心では負けを確信していたが、判定では2-1で大島の勝利。大島も山本も意外そうな表情を浮かべ、戸惑いを隠せないでいた。後にこの試合は、「MMAのジャッジの難しさ」という観点で物議を醸すことになる。ただ1つ言えることは、「大島の闘いぶりがジャッジの心を掴んだ」ということだ。得意の関節技は極まらなかったが、ところどころで細かく打撃をヒットさせ、目立たずとも、確実にポイントを稼いでいたのだ。

接戦を制した大島は試合後「自分自身、勝ったことに納得できていない。正直負けたかなって自分では思っているので、これから強くなっていきたいと思います」と、本音を口にしつつも、成長を誓った。

大島はDEEPでは絶対王者として君臨しているものの、RIZINでの戦歴はまだ浅く、実績十分とは言えない。ただ、大島が今後のRIZINを背負うファイターであることは断言できる。ここまで、強敵の浅倉、山本を破ってRIZIN2連勝。これからのトーナメント参戦やタイトルマッチ挑戦へ大きな期待がかかっている。

激しい練習に汗を流す大島は、また今日も成⻑の階段を登っている。そんな大島の今後の活躍に目が離せない。

大島沙織里の知りたいトコ!

大島の夫は誰?

大島の夫は、日本でも有数の柔道家・大島優磨だ。柔道の世界大会「グランドスラム」でも優勝経験があり、社会人選手として今でも日本選手権などで活躍している。

また、夫婦の間には双子の娘がおり、大島のSNSでは家族の仲睦まじい様子が投稿されている。家族の存在が、大島夫妻の戦う原動力になっていることは間違いないだろう。

趣味は、ソーキそば巡り!?

大島は2018年に沖縄を訪れた際、6、7件ものソーキそばのお店に足を運んだという。さらには2022年、沖縄で行われた山本戦の直後のインタビューでは「明日は、ソーキそば巡りとかき氷を食べに行きたいです」と語っており、ソーキそばへの深い愛情が見てとれる。

RENAと仲が良い?

大島は、日本の女子格闘技の伝説・RENAとの親交が深い。SNSには、大島とRENAが遊びに出掛けている様子が投稿されている。実際、格闘家同士の旅行は内容も激しく、雪の中で投げ飛ばしたり、温泉で沈めあったりしているという。それも、仲の良さの現れだろう。

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まとめ

大島は幼少期に柔道を始め、大学時代には全国タイトル獲得という結果まで残した。その後、社会人選手とした活躍したが、結婚・出産を機に柔道から引退。しかし勝負師としての炎が再燃し、MMAへの挑戦を決意すると、わずか半年でアマチュア修斗の頂点に立ち、プロデビューを果たした。

その後は柔道仕込みの強力な寝技で一本勝ちを量産し、気づけばDEEP二階級女王に。RIZIN参戦後も、浅倉、山本を相手に2連勝中と、その勢いは止まらない。

大島は、これからの日本女子格闘技界を引っ張っていく選手だ。さらに、母親としての一面を持ちながらも、ファイターとして活躍している姿は、多くの女性ファンに勇気や希望を与えてくれる。勝負に徹する母親のハートの強さは、他のファイターにはない魅力とも言えるだろう。大島の今後の活躍に、目が離せない。

画像10: ROUND 3
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/07/02/9b852e7d3b8617a97efaa49d4711294a6cbb4962.jpg(RIZIN公式HPより引用)

※アイキャッチはRIZINの公式HPより引用