2023年2月5日(日)にエメリヤーエンコ・ヒョードルの引退試合がBellator 290にて行われる。対戦相手はBellatorのヘビー級王者であるライアン・ベイダー。つまりヒョードルの引退試合はタイトルマッチとなる。
日本からはU-NEXTにて視聴可能。
※画像URL:https://assets.bellator.com/article_bellator_m_0e1q/original-1668791355.jpg(Bellator公式サイトより)
ヒョードルは、2019年1月のBellator 214において1度ライアン・ベイダーに敗北を喫している。この時はわずか1R開始35秒、ベイダーの左フックをもらってのKO負けとなった。この試合のフル動画は、Bellatorの公式YouTubeで無料で観戦することができる。
今回の引退試合はリベンジマッチということだ。そしてこのリベンジマッチにヒョードルが勝利すれば、ヒョードルはBellatorの王者を戴冠して引退ということになる。”王者のまま引退” というのは皇帝ヒョードルにいかにもふさわしいストーリーだが、ヒョードルの年齢もはや46歳。外見はまだまだ若々しいが、Bellatorの現王者であるライアン・ベイダーを相手に、ヒョードルに勝機はあるのか。
2023年2月1日現在のこの試合のオッズは、ベイダー1.43倍に対してヒョードルは2.90倍。およそ3人に2人はベイダーに賭けるだろう計算になる。このくらいのオッズであれば3試合に1試合はアンダードッグ(倍率が高い方)がアップセット(番狂わせ)を起こすような試合。下馬評としては “ヒョードルが勝ってもなんらおかしくない” というところだ。
気になる点は、ヒョードルが前回あまりにあっけなくベイダーに敗北している点。KOタイムは1Rの35秒だ。
KOのシーンを見てみると、オーソドックスのベイダーが前の手である左フックをあのヒョードルにいとも簡単に当てているように見える。ヒョードルがパンチをもらうシーンと言えば、古くは2003年PRIDE.26における藤田和之戦、2016年Fight Nights Global 50におけるファビオ・マルドナド戦、2017年Bellator NYCにおけるマット・ミトリオン戦などだ。
※下記GIFについてはGoogleの案内するフェアユースを参考のうえ掲載
※抜粋元URL:https://ufcfightpass.com/video/31299/-vs-pride26-reborn(UFC Fight Passより)
※抜粋元URL:https://youtu.be/iJ0GV0zl8YQ(FIGHT NIGHT GLOBAL TV公式YouTubeより)
※抜粋元URL:https://youtu.be/UcZ93ZvjWnM(MMA WeeklyのYouTubeより)
共通点としては、どれもヒョードルが攻撃を仕掛けたときに被弾しているという点。威力のありながらかつヘビー級らしからぬスピードで繰り出される打撃は抜群の攻撃力を有するものの、攻撃中のヒョードルはやや防御が雑になるという特徴がある。
反対に、ヒョードルが距離を取れている場合はヒョードルの打撃のディフェンスはかなりいいものがある。2004年の年末に戦ったアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラとの三戦目では打撃を中心にワンサイドのポイントゲームを組み立て、2005年8月に戦ったミルコ・クロコップ戦ではあのミルコのノーモーションの左をかなり安定して回避している。
ヒョードルがベイダーのパンチをもらってしまった理由は、そのパンチがヒットするシーンからわかる。
※抜粋元URL:https://youtu.be/6y6_RS0Uke8(Bellator公式YouTubeより)
このベイダーのタックルモーションと同じ体制から放たれる左フックは、ベイダーのサンデー・パンチ(得意技)だ。UFCからBellatorに移籍した後によく見せている。これがヒットする大きな理由のひとつに、ベイダーのグラウンドにおけるポジションの優れたキープ力が挙げられる。ベイダーのタックルは、相手にとって最大限警戒しなければならないというのがまずは前提となっている。
つまりベイダーの左フックは相手の反射につけこむ厄介な武器であり、初見でこれに対処するのは極めて困難なもの。一方この手のパンチは秘策として機能するものの、何度も見せると対策されてしまい機能しなくなることも少なくない。さすがにヒョードルに同じパンチは通用しないだろう。前回はベイダーがいいタイミングでいい武器を持っていたと言える。
今回こそヒョードル vs. ベイダーの見ごたえのある試合に期待したい。大まかな構図としては、ヒョードルの打撃 vs. ベイダーのレスリングとなりそうだ。
ヒョードルはクリンチにおいては腰の強さを発揮するが、ダブルレッグなど速度のあるタックルに関してのテイクダウンディフェンスには難がある。一方ベイダーも打撃の対処にはUFC時代より難がある。このマッチアップにおいては、ヒョードルにしろベイダーにしろ、どちらも相手の防御力を突き破る攻撃力を持っている点に注目。
先日2023年1月22日のUFC 283にてマウリシオ・ショーグンも引退した。北米メジャーに出場する元PRIDEファイターは、ヒョードルが最後と言ってもいいだろう。ショーグンもハートを見せたが1RでKO負けを喫した。
ヒョードルはどんな引退試合を見せてくれるだろうか。目が離せない。
※アイキャッチはBellator公式Twitterのツイートより引用