UFCを経てRIZIN, Bellatorと主要な団体をまたいで活躍する堀口恭司。堀口はUFC時代に絶対王者デメトリアス・ジョンソンとのタイトルマッチにまでたどり着き、2018年にはRIZIN、Bellatorの2団体同時チャンピオンに輝くなど輝かしい実績を誇っている。
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2021/09/09/4acd624cefa2d58f8a4c56ea05d34706fca0a94f_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)
堀口恭司のプロフィール
名前 : 堀口恭司
生年月日 : 1990年10月12日
出身地 : 群馬県
身長 : 165cm
体重 : 61Kg
戦績 : 31勝5敗(15KO 4SUB)
階級 : フライ級、バンタム級
所属 : アメリカン・トップチーム
入場曲 : Fbolpus「My Time ft. Jeremih」
バックボーン : 伝統派空手
公式 HP : https://horiguchikyoji.bitfan.id/
Twitter : @kyoji1012
Instagram : kyoji1012
Youtube : https://www.youtube.com/@kyojihoriguchi6462
独特のステップから電光石火の如く放たれる堀口のパンチは、数々の猛者たちをリングに沈め、“史上最強のMade In JAPAN“を体現してきた。今回は、そんな日本史上最強の格闘家である堀口恭司を徹底紹介していこう。
“史上最強のMade In JAPAN” はどのようにして生まれたのか
堀口はこれまでどのようなキャリアを歩んできたのだろうか? まずは、堀口のアマチュア時代から振り返っていこう。
日本MMAの最高傑作の誕生〜UFCでの快進撃まで
5歳から伝統派空手を学び格闘技の礎を築いた堀口。高校は、栃木の作新学院高校へ進学しだ。卒業後は、「神の子」山本“KID”徳郁に憧れ、KIDのジムであるKRAZY BEEの門を叩き、MMAを本格的に学び始めた。
2009年に堀口は、第6回東日本アマチュア修斗オープントーナメントフェザー級に出場。決勝まで勝ち進んだ堀口は、佐久間健太を相手に判定勝利を収め優勝。その翌年修斗にて新人王決定トーナメントフェザー級2回戦で、堀口は川名蘭輝を相手にプロデビュー戦を行い判定勝利をあげ、以降修斗を主戦場としていく。
2012年には、上田将勝に判定負けし、堀口はプロ初の黒星を喫したが、翌年には後にRIZINバンタム級JAPANGRAND–PRIX2021覇者となる扇久保博正にリアネイキッドチョークで勝利を収め、第9代修斗世界フェザー級王座を獲得した。
※画像URL:https://number.ismcdn.jp/mwimgs/e/2/-/img_e2d3913aedd77f65bf0b0c26f5b14c01267551.jpg(Number Webより引用)
同年には、VTJ(VALE TUDO JAPAN)で石渡伸太郎と5Rの大激闘の末にKO勝利。その後、世界最高峰の舞台であるUFCとの契約を果たし、世界の猛者たちとしのぎを削っていくこととなった。
UFCで輝く日本の“KARATE KID”
堀口は、2013年10月19日にUFCデビュー。階級はバンタム級で、ダスティン・ぺイグを相手に2R KO勝利と鮮烈なデビュー戦を飾る。その後、階級を最軽量のフライ級に落とし3連勝を収め、フライ級絶対王者デメトリアス・ジョンソンとのUFC世界フライ級のタイトルマッチが決まった。堀口には、日本人初のUFC王座獲得に大きな期待がかかった。しかし、DJにレスリングで圧倒され5R腕ひしぎ十字固めにより試合終了1秒前に敗北。日本人初の王座獲得はならなかった。
※画像URL:https://ufc-video.s3.amazonaws.com/image/186/186Johnson1.jpg(UFC公式HPより引用)
悔しい敗戦後、堀口は練習拠点をKRAZY BEEからATT(アメリカントップチーム)に移した。MMAの最先端であるアメリカで、言葉も満足に通じない中、堀口は世界各地から集結した強豪たちと切磋琢磨して、新たな技術を吸収していった。ちなみに、ATTのオーナーは、ジムで誰よりも練習を行う堀口に敬意を表し、ジム内のリビングルームを「ホリグチホール」と名付けている。
拠点をアメリカに移した堀口は、UFC3連勝をあげて完全復活を果たした。しかし、競争の激しいUFCで年に1、2試合しかできないという状況を危惧した堀口は、2017年にUFCとの契約を終了。その後、フリーエージェントとなった堀口は、2015年にPRIDEの後継団体として旗揚げされたRIZINに電撃移籍。世界を驚かせた。
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2017/02/20/7bd0ccbbf351fae85fc6e6506879c4a701cc1db3_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)
“J” MMAの再興へ
MMAのメジャーリーグUFCで実績を残した堀口恭司、言わば鳴り物入りでRIZINに逆輸入された形だ。その注目のRIZINデビュー戦の相手は、実力者・元谷友貴となる。
デビューからトーナメント優勝まで
RIZIN移籍に伴いフライ級からバンタム級へと階級を戻した堀口。RIZINの初戦、元DEEPフライ級王者の元谷友貴との試合を振り返る。堀口は国内屈指のトップファイターである元谷友貴を相手に、全局面で圧倒し判定勝利を収めた。その圧倒ぶりは解説席から悲鳴が上がるほど。この一戦は、世界の最高峰で戦ってきた堀口の実力が本物であることを証明するには十分であった。
その後、RIZINバンタム級トーナメントに参戦した堀口は、ベテランの所英男やガブリエル・オリベイラを相手に2試合連続KO勝利! 2017年大晦日に開催されたRIZINバンタム級トーナメント決勝ラウンドでは、準決勝で後に第2代RIZINバンタム級王者となり、UFCに参戦するマネル・ケイプと激突。試合では、ケイプから何度もダウンを奪って圧倒。偶然のバッティングより堀口がダウンするトラブルもあったが、最後は肩固めで鮮やかに一本勝ちした。
同日に行われたトーナメント決勝戦は、かつてVTJで激闘を繰り広げた石渡伸太郎とのリマッチに。4年半越しのリベンジに燃える石渡に対し、堀口は序盤から主導権を奪うと、2Rに右ストレート一撃で石渡を失神KO! 会場を爆発させた堀口は、トーナメント戦をすべてフィニッシュ勝利で勝ち進む圧勝劇で、RIZINバンタム級トーナメントを優勝した。
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翌年2018年には、かつてUFCで堀口から一本勝ちを収めたデメトリアス・ジョンソンと引き分けた実力者イアン・マッコールと対戦。堀口は、マッコール相手に、試合開始わずか9秒でKO勝利を収め会場に大きな衝撃を与えた。
次戦では、修斗でタイトルを争った扇久保博正と再戦。扇久保は、堀口に敗北してから無敗の7連勝を飾っており、UFCへの登竜門であるThe Ultimate Fighterに参戦し準優勝を収めるなどトップファイターへと成長を果たしていた。しかし、試合では堀口が全局面で圧倒し判定勝利を収めた。
キックボクシングの至宝との対戦
あまりの強さになかなか対戦相手が用意できないと状況となった堀口だが、2018年に同じくRIZINに参戦していた“神童“那須川天心と初のキックボクシングルールでの対戦が決定。
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那須川は、日本キックボクシング界における最高傑作と称されるなど、圧倒的な強さを誇る選手。堀口は相手の土俵で戦うという不利な条件の中、キックボクシングではなかなか見られない素早いステップを駆使し、那須川と互角の戦いを繰り広げたが惜しくも判定で敗北した。
試合後に那須川天心は、堀口について「人間と戦っているんじゃない。動物・獣みたいな感じでした。一歩間違えると自分がやられる。そんな試合でした」と回想。堀口は、キックデビュー戦にもかかわらず、キック無敗の “神童” と同等に渡り合う圧巻のパフォーマンスだった。MMA界の最高傑作とキック界の最高傑作が激突したこの一戦は、RIZINのYouTubeで2149万回再生され、最も多い再生数となっている。
二つのベルトを獲得! 日本人初の歴史的快挙へ
2018年の大晦日には、Bellatorバンタム級王者のダリオン・コールドウェルとRIZIN初代バンタム級王座をかけて激突。コールドウェルは当時のBellator世界バンタム級王者であり、堀口のキャリアの中でも指折りの強豪。堀口とは13cmの大きな身長差に加え、強いフィジカルと高いレスリング能力から、ネット上では堀口の敗北を予想する声が多数となった。しかし、試合ではやはり堀口恭司が日本を熱狂させることとなる。
試合序盤は、コールドウェルが高いレスリング能力を武器に堀口を寝かせ優位を作る展開に。しかし、試合が決したのは3R。このラウンドもコールドウェルがタックルに入って膠着。ここで、レフェリーから「アクション」の声が入ると、そこから堀口が一気にギロチンチョークを仕掛け、コールドウェルの首を締め上げる。これには、グラウンドを得意とするコールドウェルでも対処しきれずタップアウト。堀口は、逆転の一本勝ちで現役Bellator王者を撃破し、RIZIN初代バンタム級王者に輝いた。
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2018/12/31/98cc8333b72ad34235f1855664b0160f002776cb_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)
翌年2019年には、かつて UFCフライ級ランカーのベン・ウェンに1R KO勝利を収めると、Bellatorに乗り込み、Bellator世界バンタム級タイトルマッチでダリオン・コールドウェルと再戦。 RIZINと異なりケージを採用するBellatorではコールドウェルのレスリングがより活きる環境のため、再び堀口の苦戦が予想された。しかし、堀口は過酷な5分5Rを戦い抜き、見事に判定勝利。RIZINに続きBellator世界バンタム級王座をも戴冠。
堀口は、日本人として初めてBellatorの王座を獲得すると共に初の北米メジャー団体でタイトルを獲得する快挙を達成した。
世界に激震! 4年ぶりの敗戦
2019年夏に目下13連勝中の堀口は、後の第3代RIZINバンタム級王者の朝倉海と対戦。今では、言うまでもなくバンタム級トップファイターの朝倉だが、当時の朝倉と堀口ではキャリアに歴然とした差があり、この一戦は格差マッチとして批判が噴出した。試合は、もちろん堀口勝利の声が圧倒的な中で行われた。しかし、この一戦は、「格闘技に絶対はない」という言葉を体現するものとなった。
1R、堀口が得意の踏み込みから右ストレートを放ったその刹那、海の右クロスカウンターが顔面に炸裂し、堀口の腰を落とさせる。この場面に関し、海は「堀口選手ってすごい踏み込みが早いじゃないですか。その分こっちの攻撃も交通事故みたいに早くなるんですよ」と語る。堀口の試合の記憶は、この強烈なカウンターによって失われた。
堀口がバランスを崩し、腰を落とすと、海はすかさずヒザやパンチで絶対王者堀口に襲いかかる。最後は、ロープ際に追い込んだ海が右ストレートからパウンドを打ち込み堀口が失神して試合が終わった。
RIZINとBellatorの王座を同時獲得したばかりの堀口の失神KO負けに、会場では涙を流すファンが続出。この一戦は、日本だけでなく世界のMMAの歴史においても大きな番狂わせの一つであり世界中の格闘技ファンに大きな衝撃を与えた。
キャリア最大の怪我との戦い
その後、2019年大晦日に朝倉との再戦が予定されたが、堀口は、膝十字靱帯断裂、半月板損傷という全治約10ヶ月のキャリア最大の大怪我を負ってしまう。これにより、約1年間試合ができなくなった堀口は、自らRIZINバンタム級のベルトとBellatorのベルトを返上し、両王座が空位となった。
リベンジマッチ、完全復活へ
大手術を終えた堀口は、そこから懸命のリハビリを行い、2020年大晦日に1年4ヶ月ぶりにRIZINのリングに戻ってきた。対戦相手は、同年夏にRIZINバンタム級のベルトを巻いた朝倉海。堀口は、挑戦者として朝倉とのタイトルマッチに挑むこととなった。
試合は、怪我から復帰直後の堀口が圧倒。堀口は駒のように回って強烈なカーフキックを数発、朝倉に浴びせると、朝倉の足は踏ん張りが効かず立つのが精一杯に。そこに、堀口はパンチの連打をまとめ、朝倉海を1RTKOで下した。
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2020/12/31/9bdefa7ac3134ed84e5a3b6314dcf64e4c923cac_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)
堀口の腰には、再びRIZINバンタム級のベルトが巻かれ、堀口恭司が第4代RIZINバンタム級王者となった。
Bellatorへの挑戦
その後、新型コロナウイルスの影響によりアメリカに拠点のある堀口にとって、RIZINでコンスタントに試合をすることが難しい状況となり、RIZIN王座を保持したまま、RIZINと友好な関係にあるBellatorへ本格参戦することとなる。
再び世界へ。Bellator制覇へ始動
2021年12月にBellatorデビュー戦を行った堀口は、かつて堀口自身が保持していたBellatorバンタム級王座をかけて、いきなり王者セルジオ・ペティスと対戦。堀口は、日本の格闘ファンの期待を一身に背負ってケージに上がった。
※画像URL:https://fansided.com/files/2021/12/FOX_2042.jpg(fansided.comより引用)
試合は、堀口がスタンドでもグラウンドでも優位に立ち勝利濃厚と思われる中、4Rハイキックをダッキングで避けた直後にペティスのバックハンドブローを貰い逆転のKO負けを喫してしまう。このショッキングな試合展開に、ネット上では「学校に行けない」「仕事休む」などの投稿が相次ぎ、多くのファンが悲しんだ。
ただ、この大会中に堀口のBellatorバンタム級ワールドグランプリへの参戦が発表。堀口は、優勝賞金100万ドルとバンタム級王座への返り咲きをかけて出場することが決まった。また、グランプリ初戦の相手は、RIZINで元谷友貴に一本勝利を収めているパトリック・ミックスに。堀口から勝利を収めたペティスは、反対ブロックでの参戦となり、決勝戦でのリベンジマッチが期待されることとなった。
そして、堀口は、2022年の4月にパトリック・ミックスと対戦。しかし、堀口は、コールドウェルよりさらに大きな体格差をもち、寝業師であるミックスの組みに苦戦する展開となる。一方、スタンドではパンチをヒットさせるなど有利に進めた堀口だが、1、3、5Rにバックから試合をコントロールされ、接戦の末に敗北。グランプリ初戦で姿を消すこととなった。
RIZIN帰還。迎えるはあの“悪童”
Bellator2連敗でキャリア初の連敗を喫し、あとがなくなった堀口。そんな堀口の復活の場は、RIZINで与えられることになった。堀口は、2022年9月に行われるRIZIN.38への出場が発表された。注目の対戦相手は、なんと金太郎。金太郎は、アグレッシブなファイトスタイルが持ち味で、決して下がらない好戦的なファイター。2021年には、RIZINバンタム級トーナメントに出場するも、井上直樹に敗れベスト8に終わっていた。
この「堀口恭司 vs. 金太郎」のカード発表に、ネット上では賛否両論巻き起こったが、堀口が約1年9ヶ月ぶりに日本のリングに降り立つこととなった。
試合は、1Rから見逃せない展開に。いつものステップで蹴りに入った堀口に対し、金太郎がドンピシャで左ストレートを合わせなんと堀口がダウン。会場からはどよめきが起こるが、堀口はダウンした勢いで後ろに一回転すると、金太郎の追撃を防ぎ、すぐに立て直した。そして、金太郎からテイクダウンを奪って、マウントポジションとなったところで1R終了。
続く2R、堀口はリスクを伴う打撃戦に付き合わず、金太郎からタックルでテイクダウンを奪う。堀口は即座に肩固めの体勢に入ると、金太郎を一気に締め上げ、金太郎から貫禄の1本勝ちを収めた。連敗から脱出した堀口、次なる戦いは新たな階級であの男との対戦となる。
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/09/25/71508e508ef2b4fa439bed31063cc47d4df6c006.jpg(RIZIN公式HPより引用)
3度目の戦い! 不屈の男と負けられない対抗戦へ
2022年の大晦日、堀口はRIZIN.40への出場が決定し、「RIZIN×Belltor 全面対抗戦」への参戦が発表された。しかし、堀口はRIZIN側ではなく、Bellator側として出場することとなり、RIZIN代表の扇久保博正とフライ級で激突することが決まった。堀口は、金太郎戦あたりからフライ級に転向することを示唆し、今回の扇久保戦でUFC以来のフライ級で戦うことに。
対戦相手の扇久保は、堀口と過去に修斗とRIZINで2度対戦するも、全敗している。しかし、2021年のRIZINバンタム級グランプリでは、朝倉海と井上直樹を倒し、グランプリ覇者となっている。
堀口は、扇久保相手にどのような戦いを見せるのだろうか?
試合では、堀口が終始圧倒。得意のカーフキックで扇久保の足を破壊すると、パンチでもダウンを奪う展開で試合を支配した。ただ扇久保も持ち前のタフさで堀口の猛攻をしのぎ、フィニッシュまではいかせなかった。結果は堀口の判定勝ち、扇久保にリベンジを許さなかった。
まとめ
以上が堀口のファイトストーリーの振り返りだ。
堀口は、世界最高のUFCでランキング3位まで駆け上がり、絶対王者デメトリアス・ジョンソンとのタイトルマッチまで経験。その後は、RIZINに活躍の場を移すと、怒涛の圧勝劇でファンを沸かせ続け、RIZINを世界有数のMMA団体にまで押し上げた。
30歳を超え、プロキャリアも後半戦にさしかかった堀口だが、そのファイトスタイルは更に円熟味を増し、打・投・極で穴のないパーフェクトファイターに近づきつつある。
今後も、フライ級での“史上最強のMade In Japan”の活躍から目が離せない。
※アイキャッチはRIZINの公式HPより引用