「93%」。この数字が何を表すものかわかるだろうか?
答えは、“柔術界の鬼神” クレベル・コイケの勝利した試合におけるフィニッシュ率である。大半の試合をサブミッションで制してきた、クレベルとの戦いは、「触れられたら終わり」と言っても過言ではないだろう。
今回は、そんな圧倒的な極め力を持つクレベル・コイケの生い立ちから、プロ格闘家となった現在までを徹底的にひも解いていく。
※引用元URL:https://twitter.com/greco_free/status/1403672322993582084?s=20&t=aUliqcTV9Fe47FgqdqlMfA(撮影者ご本人・保高幸子氏のツイートより引用)
クレベル・コイケのプロフィール
名前 :クレベル・コイケ
生年月日 :1989年10月16日
出身地 :ブラジル サンパウロ
身長 :178cm
体重 :66.0kg
戦績 :36戦 30勝(2KO 26SUB) 6敗 1分
階級 :フェザー級
所属 :ボンサイ柔術
獲得タイトル :Rebel FC フェザー級王者、KSWフェザー級王者
入場曲 :Pregador Luo – Já Posso Suportar [feat. Trazendo A Arca]
バックボーン :ブラジリアン柔術(黒帯)
公式HP :ー
Twitter :@KoikeKleber
Instagram :kleber _koike
YouTube. : Kleber Koike クレベル コイケ
アパレル :ー
ファンクラブ :ー
RIZINでは、抜きん出た極めの強さで並み居る強豪を撃破してきたクレベル。果たして彼の幼少期から格闘家になるまでのストーリーはどのようなものだったのだろうか?
クレベル・コイケの苦しんだ幼少期とプロ格闘家への道
“柔術界の鬼神”と言われるほどの、柔術の達人であるクレベルは、どのように柔術と出会いその技を極めていったのだろうか?
苦しんだ青春と柔術との出会い
クレベルは、1989年にブラジルのサンパウロで生まれた。祖父が日本人のためいわゆる「日系ブラジル人」である。クレベルの父は空手の黒帯で、兄もカンフーをやっていた影響から、4、5歳の頃に柔道を始めたという。幼い頃は、喧嘩をよくしていたようだが、自分から喧嘩を仕掛けることはなく、相手から仕掛けられていたという。
※画像URL:https://cf.bstatic.com/xdata/images/district/max550/47235.webp?k=0d63dc0d7322b6b30bf0b8d33871a8d0986a596775a2c3d76c9664144e0b0611&o=(Booking.comより引用)
14歳の時、両親が出稼ぎのために来日するのをきっかけに、クレベルも来日。母親は工場で働き、父親はトラック運転手の仕事をしていたが、生活は苦しかったようだ。入学した日本の中学校では、同じ日系ブラジル人がいじめられている姿を見て、学校には行かなくなりアルバイトをして生計を立てるようになる。クレベルは、まともに学校にも通えず、苦しい青春時代を過ごすこととなった。
しかし、この地で彼はボンサイ柔術と出会い、練習を重ねるようになる。ボンサイ柔術とは、RIZIN王者のホベルト・サトシ・ソウザの父、アジウソン・ソウザがブラジルで創設したブラジリアン柔術の流派である。アジウソン・ソウザの三人の息子である、マウリシオ、マルコス・ヨシオ、ホベルト・サトシが、静岡に渡り指導者としてボンサイ柔術を教えたいた。ボンサイ柔術の由来は、「盆栽」に由来していて、「一人一人の個性に合わせて育てていく」という意味が込められている。
しかし、意外なことに当時の白帯、青帯時代のクレベルは、試合で負けまくっていたという。今では、柔術最強のクレベルも最初から才能があって強かったわけではなかった。
クレベルが19歳の2008年には、リーマンショックの影響で両親がブラジルへ帰国する。クレベルは日本に残り、マルコス・ヨシオ、ホベルト・サトシ・ソウザ兄弟と家賃6万円のアパートを借りて共同生活を始めるようになる。RIZINライト級王者として活躍するサトシとクレベルは、この頃からかたい絆で結ばれていたようだ。ただ、この頃の生活は相当苦しく、まともに食事すらできなかったらしい。
両親が帰国した後のクレベルは荒れはじめ、ストリートファイトに明け暮れるようになってしまう。その様子を見かねたサトシの兄マルコス・ヨシオがクレベルを破門にしようとするが、弟のサトシがクレベルにチャンスを与えて欲しいと説得し、クレベルは破門を免れたようだ。その後のクレベルは、柔術に真摯に打ち込むようになりメキメキと実力をつけていった。
※画像URL:https://mymmanews.com/wp-content/uploads/2021/05/Roberto-Satoshi-de-Souza-Kleber-Koike-Erbst.jpg(MyMMANews.comより引用)
アルバイトで貯めたお金を柔術の試合に当てたクレベルは、数々の柔術の大会に出場して結果を出していく。中でも、2012年に行われた世界柔術選手権では金メダルを獲得するなど、その才能を開花させた。非行に走りかけたクレベルは、サトシのおかげで道場に残り、懸命に努力を積んで立派な柔術家となったのである。
では、クレベルは、柔術で結果を出しながら総合格闘技ではどのような成績を残していったのだろうか?
並の総合格闘家からトップファイターへ
クレベルは、リーマンショックの起こった2008年あたりから総合格闘技の練習を始めたようである。
柔術の大会と並行して9レベルは総合格闘技の大会にも出場する。 総合格闘技のプロデビュー戦は2008年のClub DEEP浜松大会。和田まさきと対戦し、1ラウンドで一本勝利を飾っている。
その後も試合を重ね、2009年にISEと対戦するも、判定で敗れプロ初黒星を喫する。その後のDEEPでの再起戦で、RIZINにも出場経験のある、前田吉朗と対戦するも、反則のローブローを放ってしまい反則負けで、2連敗となってしまう。
その後の復帰戦ではKOで勝利するも、次戦の北田俊亮戦では、腕ひしぎ十字固めを決められてしまい、初の一本負けしている。柔術の達人と言われるクレベルでも、総合格闘技で一本負けをしていたが、現在のレコードでは、この負けが最初で最後の一本負けとなっている。ここまでは、プロ成績5勝3敗と平凡な成績のクレベル。
しかし、2010年からは国内外の団体で怒涛の連勝街道を突っ走り2015年まで、負けなしの14連勝を飾っている!
また、2012年には朝倉兄弟のセコンドなども務める「闘う弁護士」こと堀鉄平と対戦しているが、1ラウンドに得意の三角絞めで勝利している。
2015年には、シンガポールを拠点とするRebel FCのフェザー級グランプリに出場し、1回戦で元DEEP王者でRIZINでも活躍する芦田崇宏と対戦し、三角絞めで一本勝利。決勝戦では、元UFCファイターで元WEC世界バンタム級王者のミゲール・トーレスと対戦し、ダースチョークで沈め、グランプリ優勝! Rebel FCフェザー級王者に輝いた!
14連勝のうち12本の一本勝ちという凄まじい戦績を残すクレベルの快進撃は、どこまで続くのだろうか?
ビッグタイトル! KSW王者へ
23戦で19勝という好成績を引っ下げ、クレベルは、ヨーロッパ最大級の格闘技団体「KSW」に参戦する。KSWは、のちにUFC王者となるヤン・ブラホビッチを輩出するなど非常にレベルの高い団体だ。
初のKSWタイトルマッチ
Rebel FC フェザー級グランプリを優勝した数ヶ月後、クレベルは、キャリア最大のチャンスであるKSWの初代フェザー級王者決定戦に挑戦する。対戦相手は、フィジカルが強く、パワフルな打撃が持ち味のアルトゥル・ソウィンスキ。クレベルは、ソウィンスキ相手に、寝技で何度も極められそうな場面を作るもうまく対処される。一方のソウィンスキは、的確に打撃を当てていく展開になった。
結果は、0-3でクレベルの判例負け。クレベルは、念願のビッグタイトルを獲得することはできなかった。
しかし、その後もクレベルはタイトル獲得に向け試合を重ねる。2016年の復帰戦では、PANCRASEで今ではRIZINの看板選手である矢地祐介と対戦し、3ラウンドに見事なリアネイキッドチョークで一本勝ち。続く、Rebel FC フェザー級のタイトルマッチでも勝利し、2連勝をあげる。
クレベルは、21勝のうち18の一本と2つのKOでフィニッシュ率95%という戦績をあげ、再びKSWのタイトルマッチに挑戦する。
真価が問われる! 2度目のタイトルマッチへ
タイトルマッチの相手は、クレべルに判定勝ちしたソウィンスキをKOで破って王座を獲得したマルチン・ロゼク(当時、12勝3敗)。この試合は、2017年にロゼクのホームであるポーランドで行われ、58000人が詰めかけるなど、クレベルにとっては完全アウェーの会場となった。
しかし、試合はクレベルがグラウンドで終始ロゼクをコントロールし、3-0で判定勝利。見事、王座を奪取し第3代KSWフェザー級王者に輝いた!完全アウェーの中でも、自分のパフォーマンスを発揮できたクレベルは、精神力の強さも見せつけた。
※画像URL:https://combatpress.com/wp-content/uploads/2018/01/20170527043151_PPP_8933.jpg(COMBATPRESS.comより引用)
また、王座を獲得した際は、ポーランドの空港でサインを求められるなど知名度を上げたが、日本に帰ると空港で職務質問されるてしまうなど、日本での知名度はまだまだのようであった。
クレベルは、初のビッグタイトルを防衛していくことができるのか?
思わぬタイトル剥奪
KSW王者となったクレベルは、約半年後に初防衛戦を行う。対戦相手は、最初のタイトルマッチで判定負けしているソウィンスキ。クレベルにとっては、初防衛+リベンジ戦という負けられない一戦に。
しかし、ここでクレベルはとんでもない失態をしてしまう。それはなんと、クレベルの計量が3ポンドオーバー! クレベルは、タイトルを剥奪され、この試合はノンタイトル戦として行われることに。また、クレベルには罰としてファイトマネーも40%減額と手痛い処分となった。
ノンタイトル戦となったこの一戦で、クレベルは前回の打撃面での敗戦を活かし、ソウィンスキの打撃を上手くかわし、寝技の展開へ。相手のバックを取るとすかさずリアネイキッドチョークを極めて一本勝利。無事にリベンジを果たせたものの、タイトルは剥奪され素直に喜ぶことはできなかっただろう。
KSWでの次戦も一本で勝利を挙げると、3度目のタイトルマッチのチャンスが訪れる。
KSW最後のタイトルマッチへ
2018年に、クレベルの体重超過により空位となったフェザー級王座をめぐって、クレべルと当時のKSWライト級王者マテウス・ガムロットが対戦。マテウス・ガムロットは、堀口恭司と同じATTに所属し、当時14勝無敗の強豪。現在でもUFCのランカーとして活躍している。
試合は、ガムロットがクレベルの寝技には付き合わず、的確に打撃を当てながらバックステップで距離をとる展開に。終始、ガムロットに試合をコントロールされ、0-3でクレベルは判定負け。王座返り咲きとはならなかった。
※画像URL:https://ipla.pluscdn.pl/dituel/cp/iy/iybj3dzfopt9ef8k4s2k9tbday9dhzxp.jpg(polsatsport.plより引用)
これがクレベルのKSW最後の試合に。ここから日本へ戦いの場を移すクレベルは、どのような戦いを見せてくれるのだろうか?
“柔術界の鬼神” RIZIN殴り込みへ
2019年に、国内での復帰戦として、ONE Japan Series Road to Centuryに出場したクレベルは、ベテランの西浦“ウィッキー”聡生(当時14勝7敗)と対戦。クレベルは、1ラウンドにダースチョークを極めて、復帰戦を勝利で飾った!
同門・サトシのマイク
そして、2020年8月にクレベルがRIZINに出場するきっかけとなる出来事が起こる。クレベルは、8月のRIZIN.22に出場した同門のホベルト・サトシ・ソウザのセコンドにつくと、試合に勝利したサトシがクレベルをリングにあげる。サトシはマイクを握ると、
「この細い人、私の弟みたい。RIZIN66kgで強い人いるから」とRIZINファンにクレベルを紹介。
クレベルは、一言求められると「66kgでチャンスください。いつでも、誰でもいいから。私試合やりたい」とコメント。
※https://jp.rizinff.com/(RIZIN公式HPより引用)
クレベルのRIZIN参戦は実現するのか?
ビッグインパクト! RIZINデビュー戦
ファンからもクレベルのRIZIN出場を望む声が強まると、2020年のRIZIN大晦日でクレベルのRIZINデビュー戦が決定する。デビュー戦の相手はカイル・アグォン。アグォンは、総合格闘家の山本美優の旦那で、当時の成績は13勝9敗。クレベルの実力を査定するにはちょうどいい相手となった。
試合は、序盤にクレベルがアグォンのパンチに倒れるも、アグォンは深追いしない。その後、クレベルが変則的な右のオーバーハンドフックでアグォンからダウンを奪うと、すかさず寝技の体制に入り、ダースチョークを極めて一本勝利。RIZINデビュー戦でも、臆することなく寝技の力を見せつけた。
また、アグォンを締め上げる最中に「ポペガー!(決めるぞ)」「アガボー!(終わりだ)」とポルトガル語を絶叫し話題となった。この「ポペガー!」という叫びは、クレベルの「お極まりの」文句となり、クレベルの「勝ち確定演出」とも言われている。
試合後のインタビューでクレベルは、「あ〜、凄い嬉しいです」とコメント。また、今後戦いたい相手は?という質問に対しては「タイトルマッチ、斎藤選手とお願いします。3月に名古屋かな?試合やりたいな」と話し、早くもフェザー級チャンピオンの斎藤裕を標的にした発言をした。
クレベルの発言通り、3月にフェザー級チャンピオン、斎藤裕との試合は組まれるのだろうか?
寝技の頂上決戦、“毛利のグラップラー” 摩島一整と対戦
クレベルの次戦は、発言通り3月のRIZIN.27で組まれた。しかし、その相手は王者の斎藤裕ではなく、フェザー級では日本人屈指のグラップラー摩島一整(当時、14勝2敗)となった。
至極のグラップリング対決が期待されたこの試合。1ラウンドは、摩島が小外刈りでクレベルからテイクダウンを奪うなど優勢に試合を進める。2ラウンドも、タックルで倒されたクレベルだったが、グラウンドで下から三角絞めの体勢に入り、摩島にタップさせ一本勝利を果たした!
試合後のリングでは、同門のアラン・ヒロ・ヤマニハをリングに上げバンタム級での参戦をアピールさせるなど、サトシ同様に仲間思いの一面を見せた。後に、ヤマニハは、この年の日本バンタム級グランプリに出場している。
また、試合後の控室で、クレベルは斎藤裕と朝倉未来を名指しして「2人してYouTubeばっかりで、ファイターじゃないな」と強烈に煽って見せた。
圧倒的な極め力で、RIZINでも頭角を表すクレベルの次戦は、斎藤とのタイトルマッチか、それともRIZINのスター朝倉未来とのワンマッチか?
RIZINのスター、朝倉未来と東京ドームのメインで激突!
クレベルの次戦は、2021年6月のRIZIN.28 東京ドーム大会に決まった。対戦相手はなんと、RIZINのスーパースターであり、トップYouTuberでもある朝倉未来。この試合は、朝倉が自らクレベルを指名して実現。
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2021/05/04/7f8e8f31c79bf8c8c449300fa4e9170c71914e75_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)
記者会見で朝倉は、「今までで一番追い込んで、良い試合をしたい」、「KOしたいですね」と話すと、クレベルも「サブミッションで一本勝ちしたい」とコメント。勝者が、斎藤の持つフェザー級のベルトの次期挑戦者となることが確実視された試合は、未来のKO勝利か、クレベルの一本勝ちか。フェザー級至高のカードは、18年ぶりとなる東京ドームでの格闘技大会のメインイベントに抜擢された。
試合は、序盤から中央で圧力をかける未来と、ローキックを散らすクレベル。未来に組み付いたクレベルは、強引に寝技へ引き込もうとするが、未来は立ち上がって、寝技には付き合わない。未来は、立ち上がり際にアッパーとミドルを打ち込み、クレベルをぐらつかせるシーンを見せるも、深追いはせずに1ラウンドは終了。
2ラウンドでは、クレベルが未来をコーナーに追い込んで組み付くと強烈な肘を何発も浴びせる。そこから未来を引き込んでグラウンドの状態に。グラウンドの攻防で未来の一瞬の隙を見逃さず、クレベルが「ポペガー!」と絶叫しながら三角絞め。未来はタップこそしなかったものの、完全に失神してしまいレフェリーストップとなった。試合終了後も、興奮が収まらないクレベルは、試合後も未来に向けて言葉を発し、セコンドが制止する場面も。
※https://jp.rizinff.com/(RIZIN公式HPより引用)
試合後のインタビューでクレベルは、「みなさん、今日どうですか?私ほんと嬉しい。メインイベントで自分のドリーム、すごい嬉しい」と勝利を噛み締めた。また、朝倉未来に対しても、「日本のMMAを有名にした彼じゃなければ僕もここまで戦えなかった」と敬意を表した。
次期タイトル挑戦権をかけた試合で勝利したクレベル。次は、いよいよ斎藤とのタイトルマッチが確実視されたが、無事に実現するのか?
まさかの斎藤戦消滅!? その真相とは?
2021年の秋ごろに王者、斎藤裕とのタイトルマッチが有力視されたクレベル。しかし、発表されたタイトルマッチは、「斎藤裕vs.クレベル・コイケ」ではなかった。斎藤の対戦相手は、クレベルではなく、DEEPフェザー級王者の牛久絢太郎だった。
いったい、クレベルに何があったのだろうか?
RIZINの榊原CEOによると、当初10月のRIZIN.31では「斎藤vs.クレベル」を想定していたというが、クレベル側が体重が落ちないという理由で断られたという。そのため、大会を11月にずらすように調整もしたが、今度はクレべルが足の怪我を負ったためにできないとのこと。榊原CEOは、「やる気のない奴にチャンスを与える気はない」とクレベルを批判し、クレべルとRIZINの関係は完全に冷え切ってしまった。
クレベルも正式にコメントを発表し、斎藤や、関係者、ファンに謝罪し、怪我の具合が順調に回復しつつあることも報告した。
斎藤とのタイトルマッチ消滅は、クレベルにとっても痛手だが、クレベルの体重の管理面などに南米人らしいルーズなところが出た結果かもしれない。
今後クレベルは、RIZINと和解し継続参戦することはできるのだろうか?
RIZINとの和解と元UFCファイターと対戦へ!
2021年の大晦日RIZIN.33終了後、榊原CEOは、クレベル・コイケとの完全和解と、来年2月のTRIGGER静岡大会でクレベルが出場することを明らかにした。榊原がクレベルを呼び「無茶苦茶仲良くなりました」と言うと、クレベルも「みなさんごめんなさいです。もう一回チャンスありがとうございました」とコメントし、関係が修復されたことをアピール。無事にRIZINへの継続参戦が約束された。
そして、次戦の相手は、元UFCファイターの“寝技天狗”佐々木憂流迦(当時、23勝9敗)。佐々木は、クレベルと同じグラップラーで、勝利のうち約半分が一本勝利と極めの強さを持つ危険な相手だ。
クレベルは静岡在住で、佐々木も静岡出身と、静岡にゆかりのある2人の対決は、TRIGGERのメインイベントに抜擢された。試合は、1ラウンドに佐々木の右フックがカウンターでクレベルに直撃しダウン。佐々木がすかさず踏みつけを見舞い、クレベルは絶体絶命。なんとか立ち上がったクレベルは、佐々木にくみつくも見せ場を作れず1ラウンドは終了。
2ラウンドに入ると、クレベルがタックルに入ってすかさずバックに回る。佐々木の体を四の字ロックで捉えると、最後はバックチョークを決め切り、佐々木を葬った。
※https://jp.rizinff.com/(RIZIN公式HPより引用)
一時は窮地に追い込まれながらも、並外れた精神力と回復力で乗り切ってみせたクレベルは、まだまだその強さが健在であることをアピールして見せた。
この試合ではいつもの「ポペガー!」は聞けなかったが、試合後のマイクでは「1、2、3ポペガー!」と絶叫し会場を盛り上げた!
※https://jp.rizinff.com/(RIZIN公式HPより引用)
次戦は、いよいよタイトルマッチか。ファンの期待は大いに高まった。
“悪童”萩原京平との一戦で仲間の敵討ちへ
2022年2月のTRIGGERを終えた2ヶ月後、クレベルの次戦は意外な形で発表された。3大タイトルマッチが組まれた4月のRIZIN.35のリングで、榊原CEOが発表したカードは、「クレベルvs.萩原京平(当時、6勝5敗)」だった。あまりの予期せぬ2人のカード発表に、会場はどよめいた。Twitterも「萩原の一発に期待する声」や「実力差がありすぎる」など批判的なものも入り混じり大いに荒れた。榊原CEOは、「クレベルは次8月か9月あたりにタイトルマッチだと思うので、その前に1試合やりたいということで試合します」と今回のクレベルの起用を説明。
クレベルは、萩原が練習仲間の鈴木博昭に勝利してから、萩原をボコボコにしたいと語っており、その思いがかなった形だ。対する萩原も「革命を起こします」豪語し、これまでの負けを払拭できる戦いに息を巻いた。
PPV視聴が主となるRIZIN LANDMARKでの戦いとなった2人の一戦はメインカードに。
試合は、1ラウンド早々に萩原の右ストレートがカウンターでヒットし、クレベルがぐらつきコーナーを背負わされる。完全に萩原ペースの中、クレベルは、カウンターでタックルを仕掛けテイクダウンに成功する。素早く萩原のバックを取ると、右腕を首にまわし、後は萩原がタップをするのを待つだけだった。
※https://jp.rizinff.com/(RIZIN公式HPより引用)
萩原の下剋上を許さず、圧倒的な力の差を見せつけたクレベルが勝利を飾り、これでRIZIN5連勝となった!
試合後のリングインタビューでは、「牛久、かかってこいよ」と斎藤から王座を奪取した牛久絢太郎に堂々の宣戦布告。
去年に思わぬ形で消滅したタイトル戦へ、今年は無事挑戦することはできるのか? 「牛久vs.クレベル」が実現すれば、熱い戦いになることは間違いない。今後も、クレベルの動向から目が離せない。
クレベル・コイケの知りたいトコ!
クレベルの奥さんや子供は?
RIZINで大活躍中のクレベルだが、奥さんや子供はいるのだろうか?
結論から言うと、クレベルには、奥さんと息子1人、娘2人がいるようだ。奥さんの名は、「Hellouisy Mitsumori」さんで、かなりの美人。クレベル自身も、奥さんとのツーショットを頻繁にインスタグラムに投稿しおり、家族愛も非常に強いようだ。
息子さんは現在高校1年生で、娘さんは中学生と小学生のよう。クレべルも、子供の卒業式の写真をインスタにあげており、子供との関係も良好のようだ。
ただ、奥さんと子供は名古屋で生活しているようで、クレベルは両親の住む静岡と名古屋を行ったり来たりするような生活を送っている。
今後も、クレベルは、家族5人を支えるためRIZINの舞台で強豪たちと鎬を削っていくのだろう。
クレベルの愛車は?
RIZINの密着番組「RIZIN PREPARATION」でクレベルが車に乗っている場面が映っていた。握っているハンドルを見ると、高級車レクサスのエンブレム。クレベルの愛車は、レクサスで間違い無いだろう。
動画の中で、日本で「家を買うこと」と、「自分の道場を持つこと」が自分の夢だと語ったクレベル。今後、クレベルの夢がどう実現していくかも注目だ。
クレべルとサトシはどっちが強いのか?
互いにボンサイ柔術で技を磨きあってきたクレベルとサトシ。試合でも、互いのセコンドにつくなど欠かせない存在となっている。
どちらも柔術のスペシャリストで階級も違うが、どちらの方が強いのだろうか? 決してリングで戦うことはないだろうが、格闘ファンなら気になるところだ。
答えは、クレベルのYouTubeにあった。なんと、クレベルは、サトシにボコボコにされると語っている! また、サトシとの練習後は、全身が痛くなるほどで、クレベルが「頑張っても何もできないじゃん」と言うほどに、サトシとクレベルでは実力差があるようだ。
「柔術界の鬼神」と言われるクレベルを、柔術でボコボコにするサトシ。サトシの柔術の技術は末恐ろしい限りである。
TDTの不祥事とクレベルの対応は?
2021年の7月に、クレベルや、多くの格闘家のスポンサーでもあったTHE DICE TEAM(TDT)の代表が架空投資詐欺事件で逮捕されるという事件が起こった。事件内容は、AIを使って仮想通貨を増やすという名目で投資を受けたというもので、被害総額は65億円に上るという。
この事件を受けて、スポンサーをしてもらっていたクレベルとサトシは、そのような金銭を受け取ることは、選手の意思、格闘競技・柔術の精神に反するとして、TDTから受け取っていたスポンサー料を全額日本赤十字社静岡支部に寄付するという対応を見せた。
この2人の誠意ある対応には、多くの格闘ファンからも賞賛の声が上がった。
事件は残念だけど、「ボンサイは流石!」としか言いようがない。
RIZIN本体より先にアクションしてるし、サトシ選手、クレベル選手の人柄が滲み出てる。ボンサイ柔術2選手 TDT代表の逮捕報道でスポンサー料と同額を寄付(デイリースポーツ)#Yahooニュースhttps://t.co/AFpfX6nQEC
— もっ™ (@green_wheel) August 31, 2021
やっぱりボンサイのこの二人は人間的にも素晴らしいね。本当に尊敬出来る人間だね。【RIZIN】サトシとクレベルが、TDT代表の逮捕報道でスポンサー料と同額を日本赤十字社に寄付(ゴング格闘技)#Yahooニュースhttps://t.co/nXnisEOJU3
— くれいじーいぎー (@crazy_iggy88) August 31, 2021
まとめ
ここまで、クレベル・コイケの幼少期から現在に至るまでを振り返ってきたが、いかがだっただろうか?
食べ物もまともに食べられない時期を過ごし、道を踏み外しかけることもありながらも、柔術の腕を磨き続けたクレベル。決して、はじめから才能があったわけではなく、並々ならぬ努力によってその才能が開花したのである。
RIZIN参戦後も、驚異のフィニッシュ力を維持し続け、フェザー級で最強の呼び声高い。ただ、KSWでの体重超過や、斎藤戦の消滅など、どこか南米人らしいルーズな一面もある。しかし、試合になれば本能剥き出しで絶叫しながら、相手を絞めあげる姿はまさに「鬼神」そのもの。インタビュー時の優しげな表情とは別個の「ファイター」になる。
そんな「剛」と「柔」の二面性こそがクレベルの魅力の一つだろう。
※https://jp.rizinff.com/(RIZIN公式HPより引用)
果たして今年中に、念願のRIZINフェザー級のベルトを巻くことはできるのか? 今後のクレベルの活躍に大いに期待したい。
※アイキャッチはRIZINの公式HPより引用