勝っても負けても試合に出続け、不屈の魂でチャンピオンまで上り詰めた1人のファイターがいる。
彼の名は”大原樹理”。180cmを超える長身から繰り出す打撃を武器に、通算17度のKO勝利を収め、日本のライト級を席巻。現在はRIZINの舞台で、連勝街道をひた走っている。
そんな大原の成功の影には、数えきれないほどの挫折があった。対戦相手に開始30秒で負けたこともあれば、念願のタイトルマッチで2度も敗戦したこともある。ただ1つ言えることは、どんなに負けたとしても試合にだけは出続けた。
では、そんな大原はいかにして、日本のトップファイターにまで辿り着いたのだろうか。大原をここまで強くしたのは、一体何だったのだろうか。その答えは、大原の人生の歴史を紐解いていくことで、自然と見えてくる。
今回の記事では、大原の生い立ちから、格闘家としての活躍、さらに今後の展望まで紹介していく。まずは、プロフィールから見ていこう。
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/03/20/6aad7afde222b99ec1769d445889d59bc3d0f106_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)
大原樹里のプロフィール
名前 : 大原樹理
生年月日 : 1990年11月2日
出身地 : 東京都中野区
身長 : 180cm
体重 : 71.0kg
戦績 : 51戦 31勝(17KO) 17敗2分け
階級 : ライト級
所属 : KIBAマーシャルアーツクラブ
獲得タイトル : 第10代DEEPライト級王者
入場曲 : ホリデイ
バックボーン : −
公式HP : −
Twitter : @juri_rmm
Instagram : juriohara
YouTube : https://www.youtube.com/channel/UCrHqyGKvUPuiz81hOlP2ONw
アパレル : −
ファンクラブ : −
不屈のDEEP王者誕生へ
プロデビューから、期待の新人ファイターへ
東京都中野区で生まれた大原。父親が格闘技団体「PRIDE」のファンだったこともあり、幼少期からテレビでMMAをよく観戦していた。しかし、大原が中学、高校で熱中したスポーツはバスケットボール。大原の身長が高かったことが功を奏し、未経験で入部した中学バスケ部でも、レギュラーとして活躍した。
格闘技との出会いは、高校のバスケ部を引退した後のこと。部活を引退して運動不足になることを嫌った大原は、たまたま家の近くにオープンしたジムに入門。このジムこそが、15年以上もお世話になる「KIBAマーシャルアーツクラブ」だった。その後、帝京大学へと進学した大原は、ジムに足しげく通い続け、プロを目指す生活を送っていた。
そして2009年10月、ついに大原はパンクラスの舞台でデビューを果たす。草柳茂明とのデビュー戦は結局、時間切れの引き分けに終わったが、プロキャリアのスタートを切れたことに大原は心を躍らせていた。
そして2009年12月、大原はDEEPフューチャーキングトーナメント(現在のDEEP新人王決定戦)に参戦。1回戦、準決勝では、圧巻の1ラウンドTKO勝利を収め、順当に決勝へ進出。その決勝では植田豊を相手に打撃の熱戦を繰り広げたが、2ラウンドに腕ひしぎ十字固めを極められ、一本負け。優勝して一気に知名度を上げたかった試合だけに、大きな悔いが残った。しかしこの大会を機に、大原はDEEPを主戦場として選び、その頂点を目指すことを決意したのだ。
その後、1年で5,6試合ずつ戦い、経験を積んだ大原。特に180cmの長身から繰り出される、破壊力のある打撃は高く評価されるようになり、若手のストライカーとして期待が高まっていた。そして、その期待の大きさに呼応するように、DEEPの大会でもメインを務める機会が段々と増えていった。
2011年8月には、金網格闘技団体・ケージフォースや修斗のリングで活躍中の近藤秀人と対戦。チケットは完売、当日券の販売はなしという大盛況の中で行われた試合は、下馬評通り、大原の打撃が近藤を圧倒した。長いリーチから繰り出すストレートやフックの連続で、近藤に主導権を渡さない大原。劣勢の近藤に対し、重みのある右ミドルキックや三日月蹴りをヒットさせ、攻撃の手を緩めない。試合中盤、近藤もロー、パンチを返していくが、ギアを上げた大原の打撃がさらに威力を増す。最後は大原がミドルをヒットさせ、衰弱した近藤のバックについてスリーパー。これが極まり、大原は2ラウンド途中での一本勝利を収めた。
その後も5年以上、毎年コンスタントに試合に出続けた大原は2017年、ついにDEEP王者へと挑戦することになる。
DEEPフェザー級王者への挑戦
2017年3月のDEEP大会で、大原はDEEPフェザー級王者・今成正和との対戦が決まった。今成は40歳にして王座を獲得したベテランのファイター。特に今成の足関節技の技術は、MMAの世界でも群を抜いており、「足関十段」という異名まで彼にはついている。今成が大原の打撃をかいくぐってその足技を極めるのか、それとも大原が鋭い打撃でKOするのか。運命の一戦に注目が集まっていた。
しかし、試合は呆気なく終わりを迎える。1ラウンド、開始早々から大原の元へ飛び込み、足を絡めにいく今成。大原は蹴りで反撃を試みたが、かわされて効果なし。さらに今成はグラウンドの展開に持ち込み、一気に仕留めにかかる。大原は抵抗の時間すら与えられず、そのままヒールホールドを極められ、堪らずタップ。ここまでたったの23秒。まさに”瞬殺”だった。今成の熟練の足関節技の前に、なすすべなく散った大原は、自分の無力さを痛感。この試合を機に、DEEP王者の座がいかに遠いものであるかを改めて知ることになった。
初のDEEPタイトルマッチへ
今成との敗戦以降は、約2年もの間、厳しい鍛錬を積んだ大原。特に体幹トレーニングには力を入れ、基礎力を充実させた。そしてプロデビューから10年が経とうとしていた時期に、大原の努力はついに実を結び始める。2018年12月、DEEPで格上の長倉立尚と対戦すると、開始2分で相手をドクターストップに追い込み、大金星を上げる。さらに2019年3月には、トーナメント優勝経験のある濱村健をTKOで撃破し、一気にタイトル戦線へ食い込んだ。
2019年9月には、岡村幸範との対戦カードが組まれた。この試合は、ライト級王者タイトルマッチへの出場者決定戦を兼ねて開催され、大原としても絶対に負けられない一戦だった。激戦が予想された試合は、蓋を開けてみれば、大原の圧勝だった。1ラウンド序盤から、長いリーチから繰り出されるストレートで岡村に攻撃の隙を与えず、圧倒。たったの1分でスタンドパンチのKO勝利を挙げ、タイトルへの挑戦権を得ることになった。
そして2019年10月、大原はDEEPライト級王者・武田とのタイトルマッチへ挑んだ。武田はレスリングで小・中学校時代に全国優勝を果たし、高校時代にはフリースタイルで三冠、グレコローマンで二冠を達成した生粋のレスリングエリート。プロデビュー後も驚異の8連勝を遂げており、まさに”無敵”のファイターだった。
王者・武田への大原の挑戦が始まると、序盤は武田の投げの強さが光った。再三のように、武田は大原を持ち上げ、さらにリングに叩きつけてテイクダウンを奪う。大原も立ち上がって打撃を狙うが、武田のタックルに攻撃を封じられ、ペースを掴めない。そして2ラウンド、意外な形で試合は幕を閉じることに。武田が得意のタックルで大原をケージ際に追い込み膝蹴りを放つと、これがローブローに。数分間、大原には回復時間が設けられたものの、試合続行可能な状態まで回復せず、ここでレフェリーが試合をストップ。勝敗はテクニカル判定に委ねられたが、ジャッジ5名のうち3名が武田を支持し、大原は敗戦。
不本意な幕切れとなった試合に、勝者・武田の表情に笑顔はなかった。武田は大原に何度も頭を下げ、試合後のインタビューでも「このような結果になってすみませんでした」と観客への謝罪を口にしていた。
完全決着へ、運命のリマッチ
大原、武田の双方にとって納得のいかない試合となった10月のタイトルマッチ。この2ヶ月後の12月、『DEEP 93 IMPACT』の追加対戦カードとして、武田VS大原のタイトルマッチの再戦が決定した。10月の対戦時は、テクニカル判定とはいえ、武田が勝利しているのも事実。実際、武田のレスリング力に大原は圧倒されていた。大原は、前回の反省を活かし、番狂わせを起こすことができるのだろうか。そんな淡い期待の中、リマッチが開幕した。
1ラウンドから、大原は持ち前の打撃力を発揮する。10㎝以上の身長差を活かし、ストレートやミドルを放ち、武田の得意のタックルを封じる。しかし2ラウンド以降、武田は鋭い飛びこみから組み付いて、テイクダウンを奪い始める。グラウンドへ引きずり込まれた大原は、ヘッドロックのような形で押さえつけられるも、抵抗を続け、なんとかスタンドの勝負へ持ち込む。その後は、どちらも引かない一進一退の攻防が続いた。
勝負が着いたのは最終3ラウンド。開始すぐに武田がタックルでテイクダウンを奪うと、そのままパウンドを浴びせる。大原も立ち上がろうとするが、武田の押さえ込む力がそれを上回り、グラウンドの展開が続く。最後は、体力が消耗していた大原の腕を抱えて、武田がアームロックへ。これが完璧に極まってしまい、大原はタップ。念願のタイトル獲得へ向けて挑んだ一戦は、現チャンピオン・武田に軍配が上がった。
惜敗を喫した大原だったが、実際は、大きく成長していることを証明する試合内容でもあった。そして、これを機に大原のもとへ、RIZINからオファーが届くことになる。大原はプロで40戦以上のキャリアを積み、ついに日本最高峰への挑戦権を得たのだ。大原が一体RIZINでどんな活躍を見せてくれるのか。RIZINでの大原の活躍は、後に詳しく紹介する。
再びDEEPの頂点を目指す旅へ
2020年8月、2連敗からの脱出を目指す大原は、DEEPで鈴木琢仁との対戦に挑んだ。鈴木はボンサイ柔術をバックボーンに持つファイターで、パンクラス・ネオブラッドトーナメント2016フェザー級の優勝者。鈴木にとっても大原との対戦は、一気にタイトル戦線へ食い込む、美味しいチャンスでもあった。
しかし大原は結果として、格の違いを見せつけた。オーソドックスに構える鈴木は、左右のフックからテイクダウンを取りに行くが、大原は鈴木の下から蹴り上げて反撃。この蹴りが見事にヒットし、鈴木は前のめりに倒れ、大原はとどめのパウンドを数発入れ込む。ここでレフェリーが割って入り、大原は1ラウンド57秒でのKO勝利を飾った。
続く2021年2月、大原はDEEPで北岡悟との一戦に臨んだ。北岡は2013年にDEEPライト級王座を獲得し、4度の防衛を果たしている国内ライト級のトップファイター。確かな手応えを掴み始めている大原は、この強敵を下し、成長を証明することができるのだろうか。
試合開始から北岡は、勢いのあるタックルで大原を金網に押し込む。しかし大原は、体を回してパンチを連打。スタンドに戻ると、北岡は大原の打撃を封じるべく距離を詰めてくるが、大原もそこを狙ってヒジやストレートを振るう。そして突然、試合が動く。組み付いてきた北岡に対し、大原は左ストレートのカウンターを打ち抜き、北岡がダウン。サッカーボールキック、踏みつけ、パウンド連打を追撃し、すぐさまレフェリーが割って入る。大原は強敵・北岡を相手に1ラウンドでのTKO勝利を挙げ、その実力を証明してみせたのだ。
この試合を機に、「今の大原は誰にも止められない」というファンの声が囁かれるようになる。そしてその声は、実際に正しかった。“誰にも止められない大原の快進撃”がここから始まるのだった。
ついにDEEPの頂点へ
2021年7月、ライト級王者・武田光司が負傷のため、大原と大木良太によってDEEPライト級暫定王座決定戦が行われた。この時の大木はDEEPでは未だに無敗を誇っていた。大原の苦戦も一部では予想されていたが、試合は終始、大原が打撃の猛攻を続ける展開となった。3ラウンドに大原はローブローをもらい、決着はテクニカル判定へと委ねられたが、結果は5-0で大原が完勝。ライト級暫定王座を獲得することになった。
さらに2021年9月には、 ZSTライト級王者の小金翔と対戦。小金もMMAでは9連勝中であり、5年間負けていない強者。ZST王者とDEEP暫定王者によるライト級の頂上決戦は、見込み通り、死闘が繰り広げられた。1ラウンドから大原がハイキック、ジャブ、ストレートを飛ばしてくと、小金はタックルからのチョーク、パウンドで応戦し、お互いに削り合う展開が続く。スタンドでは大原が優勢になるが、グラウンドでは小金が優勢に。最終3ラウンドの終盤は、ファンの期待に応えるかのように両者は打ち合いを演じ、最後は小金がタックルに行ったところで試合が終了。判定へともつれ込んだ激戦は、2-1で大原の勝利! DEEP暫定王者の大原がZST王者を退け、自身の強さを余すところなく見せつけた。
そして2022年3月、DEEP正規王者の武田光司の王座返上が決まり、大原が暫定王者から正規王者に認定されることになる。実は大原は武田に敗北した後、一度も試合で負けていなかったのだ。タイトルマッチでの敗北から見事に復活を遂げ、ついにDEEPの頂点へと上り詰めた。
そして2022年7月、チャンピオンとして迎えるDEEPライト級タイトルマッチで、挑戦者の石塚雄馬と対戦した。初防衛に挑む大原は、試合序盤から打撃力の違いを見せつける。大原は開始1分で右ストレートをクリーンヒットさせ、腰が落ちた石塚の顔面に追撃のサッカーボールキック。豪快なKO勝利を収め、王座の初防衛に成功した。
10年以上もの間、DEEPで不屈の魂を持って戦い続け、ついにはタイトルまで獲得した大原。次の章では、大原のRIZINでの戦いぶりを見ていく。DEEP王者の意地を見せ、RIZINの頂点に立つことができるのだろうか。
RIZIN参戦後の戦い
RIZINデビュー戦へ
2020年9月、大原のRIZINデビュー戦の相手は矢地祐介に決まった。矢地は元修斗環太平洋フェザー級王者で、2016年からRIZINに参戦。デビュー直後は5連勝と波に乗っていたが、それ以降、ルイス・グスタボや朝倉未来に連敗。矢地にとっては、これ以上の敗戦が絶対に許されない状況だ。
そんな矢地との試合を前にして大原は、「これまで50戦近くを戦ってきたが、矢地戦は間違い無く格闘技人生で大きなターニングポイントとなる。自分はスタンドで殴り合う試合ばかりしてきたので、ストライカーの矢地選手が相手なら、会場のお客さんが絶対に面白いと思える試合になる」と語り、意気込みを見せていた。
いざ大原のRIZINデビュー戦が幕を開ける。1ラウンド、まずは矢地が左ミドル、サイドキックを果敢に飛ばしていくが、大原はその隙を突き、右ストレートをヒットさせる。体勢を崩しつつあった矢地に対し、大原はさらに飛びヒザを追撃し、そのままグラウンドの展開へ。大原はマウントポジションからパウンドを浴びせ、攻め立てる。矢地も激しく流血しているが、それでも大原を蹴り上げて反撃を止めない。ここで1ラウンドが終了した。
2ラウンド、徐々に矢地がリズムを掴み始める。大原が踏み込んで打撃を当てに行くと、矢地はピンポイントでカウンターを合わせ、右フックを当てる。鼻から出血した大原に対し、矢地は攻撃の手を緩めず、さらに左フックで大原を倒し、サッカーボールキックを追撃。大原も手で必死のディフェンスを続け、ここで2ラウンドが終了。
3ラウンド、大原と矢地の一進一退の攻防が続く中、さらに試合は熱を帯びていく。矢地が左ストレートを数多く放てば、大原は右ミドルで応戦。さらに大原は飛びヒザの連携技を見せると、矢地はカウンターの左フックを当てる。ラウンド終盤、矢地のタックルでテイクダウンを奪われた大原だったが、下から蹴り上げて、一気にマウントを取る。終了のゴングがなるまで、パウンドを連打し続けたが、KOには至らず、ここで試合が幕を閉じた。
会場を熱狂させた試合は運命の判定へ。結果は2−1で大原の勝利! 試合後、マイクを握った大原は「DEEPから来ました大原樹里です。またすぐ試合すると思うので、応援よろしくお願いします。ありがとうございました!」と語り、喜びを口にした。
世界王者との一戦
2021年11月、大原の次なる相手は渡慶次幸平に決まった。渡慶次はミャンマーの超過激派格闘技「ラウェイ」で名をあげてきたファイター。2018年には、ミャンマーラウェイ75kg級の世界王者にも輝いている。渡慶次にとってMMAの試合は約4年半ぶりであり、その実力も未知数であった。
試合前の会見で大原は「矢地選手に勝って、DEEPでも北岡選手に勝っている。今回の試合でもしっかりバチバチな試合をする。RIZINのベルトも、ゆくゆくは獲りにいきたい」と語り、先を見据えていた。
いざ大原のRIZIN2戦目が始まる。1ラウンド、大原は右ハイ、右ミドルと連続で放ち、渡慶次にペースを渡さない。さらに攻勢に出るべく大原は、まずは長いリーチのストレートをヒット。そのまま連続で左フックを撃ち抜き、渡慶次を一瞬でダウンさせる。大原は間髪入れずに、サッカーボールキックと踏みつけを見舞い、とどめに強烈なパウンドを浴びせて試合終了。1ラウンド1分16秒での瞬殺劇だった。
勝利した大原は試合後のインタビューに応え、「無事になんとかKOをRIZINという舞台で出来たので良かった。ダメージはないので、次すぐ出来るので、年末呼んでもらえたら出たいなと思います」と語り、試合後とはまるで思えない余裕の表情を見せていた。
RIZINでの3戦目
2022年3月のRIZINの大阪大会にて、大原とアキラの対戦カードが組まれた。アキラはバナナをこよなく愛し、超人ハルクのような筋骨隆々の肉体を誇るファイター。五味隆典の一番弟子としてデビューし、修斗やパンクラスで活躍。RIZIN参戦後も2連勝中と、勢いに乗っていた。
試合を前にして大原は「(アキラ選手が)殴り合ってくるのなら、逆に失神させてやりますので。皆さんアキラ選手の失神にご期待ください」と語り、堂々の失神予告を宣言してみせた。
いざ、大原VSアキラの一戦が始まった。1ラウンド、ハイキック主体の攻撃を見せる大原に対し、アキラはフックから組みを仕掛け、グラウンドへ持ち込む。大原も冷静に立ち上がるが、アキラは打撃戦を避けたいのか、再度グラウンドの勝負へ引き戻しにかかる。アキラは大原の頭部にヒザをヒットさせると、さらにパウンドを打ち込み、ここで1ラウンドが終了。
2ラウンドも、1ラウンドと同様の展開が続く。大原は時折、アキラのボディにヒザをヒットさせるが、アキラはやはり組みつきからテイクダウンを仕掛けてくる。スタンドになっても、アキラが大原をコーナーに押し込む展開が続き、2ラウンドが終了。
最終3ラウンド、ついに大原が本領を発揮する。アキラの踏み込みを狙って、大原は右ストレート、ヒザを合わせ、一気にダメージを与える。なんとかディフェンスをしたいアキラは、大原のヒザ蹴りを掴んでテイクダウンするが、大原は難なく抜け出し、立ち上がる。最後は、大原はアキラの背後に回って臀部にヒザを連打し、ここで試合終了のゴング。
3ラウンドで攻勢に出た大原にポイントが集まり、2-1で大原の勝利。難敵・アキラとの接戦を制し、見事にRIZIN 3連勝を遂げたのだ。試合後にマイクを握った大原は「もっとがんばって、もっと勝てるようになっていって、上位戦線に食い込んでいって、ゆくゆくはベルトを賭けて戦いたいですね」と、タイトルマッチへの挑戦を示唆していた。
大原は31歳にしてプロキャリア51試合を誇る、鉄人ファイターだ。プロデビュー後は、なかなか結果が出ず苦しんだものの、年を重ねるにつれて、MMAの技術に磨きがかかり、今でもDEEPの王者にまで輝いた。
RIZINのライト級には、ホベルト・サトシ・ソウザや武田光司、矢地祐介など、並々ならぬ強敵が勢揃いしている。大原が果たして、この強敵たちを撃破しRIZINの頂点に立つ日はやってくるのだろうか。もしかしたら時間はかかるかもしれない。しかし、大原の強みはなんと言っても、その”不屈の魂”だ。10年もの間、DEEP一筋で戦いを続け、王座を獲得したのだ。RIZINのリング上でも同様に、大原は持ち前の気合いと根性で頂点へと駆け上がってくれるだろう。そんな大原の今後の活躍に目が離せない。
大原樹里の知りたいトコ!
趣味は?
大原の趣味は魚釣りだ。大原が運営しているYoutubeチャンネルでは、格闘技関係の動画の投稿はあまり見受けられず、むしろ9割以上が釣りの動画で埋め尽くされている。イカやサビキ、さらにはマグロ釣りにまで挑戦しており、魚釣りへの熱い想いは画面越しにでも伝わってくる。
なんで赤髪なの?
大原のトレードマークといえば、その赤い髪だろう。前髪の一部だけが赤くなっており、印象的だ。大原いわく、「自分のことを覚えてもらうために新人時代から髪色を赤く染めている」という。今後の大原の髪の色にも、目が離せない。
大原樹里? 大原樹理?
大原の選手登録の名前は長年、「大原樹里」だった。しかし、DEEPで王座を獲得した途端、登録名が「大原樹理」へと変更された。実は変更前の「樹里」は、あくまでも「ネットで予測変換すると先に出てくる」という理由から使っていただけだという。「樹理」が正しい表記だが、大原本人は「別にどっちでもいい」と、特にこだわりがないことをインタビューで述べている。
まとめ
日本のライト級の頂点を目指してきた大原は、10年以上もDEEPの舞台で戦い続けてきた。強敵・今成正和と対戦で開始30秒の敗戦を喫したこともあれば、タイトルマッチで2度も敗れたこともある。心が折れてもおかしくはない逆境が続いたとしても、大原は練習を続け、MMAから一切、逃げなかった。
ついに努力が実を結びDEEP王者に輝くと、さらに上位の舞台・RIZINでも躍動を見せる。矢地やアキラといった強敵にも完勝をみせ、今の大原の勢いを一体誰が止められるのだろうか。今後の大原の活躍は注目必至だ。
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/09/25/63bf39fa26f57ba1e2a63718bacc980b2bbceb9c.jpg(RIZIN公式HPより引用)
※アイキャッチはRIZINの公式HPより引用