軽快なトラッシュトーク、日本のアニメをオマージュしたコミカルなパフォーマンス、そして“ラストスタイルベンダー”の呼び名に相応しい変幻自在なコンビネーション(Styleをbender“曲げる人”=従来のスタイルを壊すという解釈)で世界中のファンを虜にし、現在UFCのPFPランキング2位にまで登り詰めたイスラエル・アデサニヤ。
一見華々しく、輝かしく見える彼の人生だが、実はその背後に、多くの困難や葛藤があった。
イジメや、差別、ファンからの批判、幾つもの壁が彼の前に立ちはだかり、それらと直面するたびに彼は更に強くなろうとトレーニングに打ち込み、ここまで這い上がって来たのだ。
一体彼がこれまでどのような格闘人生を経て、UFCに参戦し、ここまで強くなっていったのか、今回は”ラストスタイルベンダー”イスラエル・アデサニヤ選手を丸裸にしていこう。

イスラエル・アデサニヤのプロフィール
名前 : イスラエル・アデサニヤ
生年月日 : 1989年7月22日
出身地 : ナイジェリア・ラゴス州
身長 : 193cm
体重 : 84Kg
戦績 : 23勝1敗(15KO)
階級 : ミドル級
所属 : シティ・キックボクシング
獲得タイトル : 現UFC世界ミドル級王者 UFCパウンド・フォー・パウンド・ランキング2位。
入場曲 : Big Rulez 「 Hype 2 Hype」
バックボーン : ムエタイ、キックボクシング、ボクシング
公式 HP : https://www.stylebender.com/
Twitter : @stylebender
Instagram : stylebender
Youtube Alexander Volkanovski
アパレル https://www.stylebender.com/shop
ファンクラブ ー
現在33歳のアデサニヤはまだまだ全盛期の真っ只中というところ。ここからはアデサニヤがこれまで乗り越えて来た困難や、その強さの秘密を、彼の幼少の頃まで遡って見ていこう。
生い立ち~UFCデビューまで
イジメを乗り越えるために格闘技の道へ
1989年7月22日、アデサニヤはナイジェリア・ラゴスで生まれた。ラゴスはアフリカで最も人口の多い都市で、約2100万人が住んでいる。ラゴスは、富裕層と貧困層が共存するナイジェリアの都市である。アデサニヤの母親は看護師、父親が企業家であったため、家は経済的にかなり余裕があったそうだ。
両親は、彼に世界に通用するような教育を受けさせたいと考え、ニュージーランドに移住することにした。だが、このニュージーランドへの移住は、アデサニヤにとって決して楽なものではなかった。
イスラエルは「高校時代にはクラスメートに溶け込もうとした時期もあったし、彼らのようになろうとしたり、彼らのように話そうとしたこともあった」と語る。しかし、彼は他の子供たちから執拗ないじめを受けた。学校から帰ってきて、鏡を見て泣くこともあった。そして、その日々を乗り切るために、アデサニヤは護身術を学び、必要なときには自分のために立ち上がるようになったという。

この虐待は、アデサニヤに護身術を学ばせただけでなく、彼の胸にある「BROKEN NATIVE」というタトゥーを入れる動機にもなった。家族が荷物をまとめてナイジェリアを去ることになったとき、彼は自分が生まれ育った土地から切り離されたように感じたのだという。
この頃のアデサニヤの心の支えは実は日本のアニメであり、将来はアニメーターになる事を夢見ていた。今でも選手引退後はアニメ制作会社を立ち上げたいと考える程で、特にお気に入りのアニメは『NARUTO -ナルト-』だそうだ。腹部にはそのアニメに出て来る八卦封印の絵柄のタトゥーを入れている。
アデサニヤが最初に習った格闘技はテコンドーだった。しかし格闘術を覚え始めるとアデサニヤは家庭内で暴れるようになり、これ以上格闘技を続けさせられないと、テコンドーの道場を退会させられる。
プロデビュー、そして格闘史に残る快挙
時が経ち、アデサニヤは18歳の時にキックボクシングとMMAの練習を始め、その才能を開花させ、2010年にプロデビューしたキックボクシングでは、75勝5敗1分と抜群の成績を残している。キング・イン・ザ・リングというニュージーランドのキックボクシングの全国大会に出場し、3度の優勝という大会史上最多勝を記録し、ニュージーランドの格闘史に残る快挙を成し遂げている。
また2012年にはMMAでも戦い始め、デビュー戦をTKO勝利、2015年に行ったMMA3戦目には、後にUFCでも活躍するソン・ケナンをもTKOで勝利している事から、すでにその実力が一流であった事が伺える。
キックボクシング、MMAで快進撃を続ける傍らで、2014年にボクシングのキャリアも開始。短い期間ではあったが、5勝1敗と、好成績を収めた。ここで特筆すべきは、2015年、アデサニヤはなんとMMAで3戦、キックボクシングで7戦、ボクシングでも5戦と休む暇も無く戦い続け、そしてその全てで勝利している!
アデサニヤはボクサーとしても大成功する可能性が充分にあったが、2017年からはMMAに的を絞り、
世界最高の総合格闘家への道を歩み始める。
2017年7月28日、MMA一本に絞ってからの最初の一戦。
UFCでも活躍したメルヴィン・ギラードを1R後半に、強烈な右ストレートで金網の端までギラードを吹き飛ばし、組みついてはキャンバスに叩きつけ、パウンド、ボディへの膝、蹴りと、文字通り叩きのめした末にTKO。
既にこの時点でMMA10戦全勝、さらには全試合TKOという驚異的な成績で快進撃を続けていく。さらに次戦ではスチュワート・デラをハイキック一発で仕留めて11連勝。この試合後に、堂々たる成績を引っ提げてUFCとの契約を果たす。
UFCデビュー
圧巻のデビュー戦
アデサニヤは”ラスト・スタイルベンダー”というニックネームと共に、UFC大注目株の新人として、UFCのデビュー戦に臨む。
アデサニヤはこのデビュー戦で派手な打撃戦を見せる意思を明らかにし、9月のデビュー戦で納得のいかない敗戦を喫したオーストラリア人のロブ・ウィルキンソンのUFCのキャリアに、終止符を打つつもりだ。
「この試合の後、彼はクビになるだろうね。デビュー戦のKO負けの後、今度はもっと残酷なKOで負けるだろう。そうなれば、その席を空けざるを得ない」
そこにジムメイトのダン・フッカーが笑いながら付け加える。
「ロブ・ウィルキンソンにとっては最悪の夜になることは間違いない」
その予言通り、2018年2月11日はロブ・ウィルキンソンにとって人生最悪の夜となった。
アデサニヤのカウンターパンチで徐々に体力を削られ、情け容赦ない左右のフック、膝蹴りでの猛攻に、ウィルキンソンは防戦一方。顔面は血で真っ赤に染まり、戦意を喪失してキャンバスに力なく座り込むウィルキンソンを見てレフェリーが試合をストップ。その圧倒的なアデサニヤのファイトに観客は熱狂し、立ち上がって声援を送った。
アデサニヤの宣言通り、ウィルキンソンはこの試合でUFCを放出されるが、その後もローカルリングで連勝を続けている事から、決して弱い選手では無かったことがわかる。
この鮮烈なデビューを受け、なんと新人UFC選手にしてアデサニヤは早くも、ファッションデザイナー、カレン・ウォーカーの広告モデルに起用される。

怒涛の快進撃
UFCデビュー前から脅威的な頻度で試合をこなしてきたアデサニヤは、UFCでもハイペースでの試合を望み、デビューから2か月後の4月14日にマーヴィン・ヴェットーリと対戦。ヴェットーリはKO勝ちこそ少ないが、サブミッションが得意で、非常にタフな選手。アデサニヤの実力が試される試合となる。
「いつだって僕が陽気とは限らない。ある日は暗いかもしれない。しゃべらないかもしれない。ただ冷静なだけかもしれないし、やっぱり陽気になっているかもしれない。みんなに歌と踊りを披露するかもしれない。とにかく、予想外のことを期待してくれよ。ケージの中では常にベストを尽くすよ」
と饒舌に語り、ジムメイトのダン・フッカーは
「アデサニヤはこのスパゲッティ・ボロネーゼを(ヴェットーリがイタリア選手である事から、イタリア人を揶揄した言葉)ボコボコにしてくれるぜ!」
とFacebookに投稿し試合を盛り上げる。
これまで全ての試合をKOで勝利してきたアデサニヤに今回も派手なKO勝利の期待が集まり、圧倒的にアデサニヤ有利との見方が強かったが、試合は予想外の激戦となる。
前半はヴェットーリの卓越したテクニックの前にグラウンドの支配を許し、パウンドで苦しめられるが、立ち上がるとアデサニヤも巧みなフェイントを使いながら得意のカウンターパンチを入れていく。
2Rもヴェットーリにテイクダウンを許すが、アデサニヤはオクタゴン中央で立ち上がると、フェイントと共に重いパンチをヴェットーリにヒットさせ、さらにコンスタントに放っていたローキックがヴェットーリの足の機能を奪っていく。
やや劣勢に立たされたヴェットーリは3Rで攻勢を強め一本を狙っていくが、アデサニヤは何とか回避し、試合終了1分前には激しい打ち合いを見せ、アデサニヤの攻撃が何発かクリーンヒット。ヴェットーリは再度グラウンドを狙うが、ポイントに繋がるような動きは出来ず、試合は終了。試合は判定に持ち込まれた。打撃で圧倒したアデサニヤ、グラウンドを支配したヴェットーリ、判定は非常に拮抗したが2‐1のスプリット判定でアデサニヤが勝利した。
しかし、この苦戦によって、各メディアから「これがアデサニヤの限界か?」とアデサニヤのポテンシャルを疑問視する意見も現れ始めた。
実力の証明
次戦ではUFCで4連勝と絶好調のブラッド・タバレスとのカードが組まれる。
タバレスも非常にタフなファイターで、フルラウンドを戦うスタミナと、打たれ強さを武器にした長期戦を得意とし、判定勝利が非常に多い。
さらに、当時圧倒的なKOマシーンとして認知されていたアデサニヤに対抗するため、あのK-1のレジェンド、レイ・セフォーと最高の環境でキックボクシングのトレーニングを積み、万全の態勢で調整して来た。
6月末にタバレスの骨折疑惑が起こり、一時試合の開催が危ぶまれたが、この報道に対し、タバレス陣営は、医師との意志疎通のミスがあったと発表し、真偽が分からぬまま試合は行われた。
試合では、前半2Rは打撃でタバレスを圧倒し、その後は以前露呈した寝技の技術不足を挽回するように、グラウンドも支配し続ける。3R以降も激しいアデサニヤの打撃とパウンドを喰らい、タフなタバレスはなんとか耐えながらも、顔面を血に染めて明らかに大きなダメージを受けている。
最終ラウンドでは、必死にテイクダウンを狙うタバレスをかわして、予測不能なコンビネーションで更に追い詰め、タバレスを転倒させてギロチンチョークを極めてあわや一本かという所までいったが、ゴングが鳴り勝負は判定に。3-0でアデサニヤが文句無しの勝利となった。
試合後、タバレスは「まだ3戦目、ウォーミングアップの途中だよ」と言い、続けて「まだまだ技があるんだ」と未だ底を見せていない事をアピール。ファンや関係者にさらなる期待を抱かせた。
次戦ではデレク・ブランソンを激しいパウンドと膝で痛めつけTKOで勝利。
世界最高の格闘団体で無傷の4連勝という事で、いよいよタイトルが視野に入り、周囲からも「アデサニヤが次のタイトル候補!」という声が上がり始める。
vs憧れのヒーロー
波に乗るアデサニヤの元に、今こそ真のアデサニヤの実力を試さんと、最強の刺客が送り込まれる。
日本のPRIDEのリングでも大活躍し、UFC参戦後、わずか2戦でミドル級タイトルを獲得し、さらにはそのタイトルを6年間も保持し続けたと言う、紛れもない歴代トップレベルのファイター、アンデウソン・シウバである。これまでの34勝中20KO一本勝利6回と決定力も非常に高い。
全盛期程の勢いは無いとは言え、前試合で自身より9歳も若いデレク・ブランソンに判定勝利している事から、老いてなお強しという所。当然簡単に勝てる相手ではない。
なんと、アデサニヤにとってシウバは、格闘技を始めたきっかけになった憧れの格闘家の一人だという事で、試合前には
「アンデウソン・シウバがUFCで最も長い間チャンピオンであることには理由がある。彼はとても狡猾で、とても頭が良く、試合運びが全く予想できない。だから、知恵比べ、頭脳戦になるだろうし、どっちが相手を出し抜けるか見ものだね」
「感極まって泣きそうだよ。僕は彼のファンだが、ファンだからといって、手を抜いたりはしない。明日は無心になって、試合楽をしむつもりだ」
と、普段は饒舌に相手を挑発するアデサニヤが、試合前から対戦相手に敬意を表し慎重に言葉を選んで語った。
2019年2月10日、注目の一戦が始まる。
いつも以上に用心深く相手の動きを見ていくアデサニヤ。トリッキーな攻撃と多彩なコンビネーションを持つ両者だけに不用意に飛び込む事は出来ず、ラウンド終了間際にアデサニヤがブルース・リーの様な挑発のポーズを取ってラウンド終了。
2Rに入ってもアデサニヤのカウンターを警戒してなかなか前に出てこないシウバ。アデサニヤは頻繁にスイッチして攻撃を誘ったり、フェイントからのカミソリのようなキレのあるハイキックを出すが、見切られてなかなか攻撃の糸口が掴めず、ローキックでコツコツとシウバの機動力を奪っていく。シウバは徐々にアデサニヤの動きを読み始めたか、数発のジャブがアデサニヤの顔を捉える。
最終Rも、大きな展開は無いが。コツコツ当てて来たローが効き始め、シウバがローを嫌がる反応を示す。ラウンド後半では鋭いワンツーをシウバの顔面にヒットさせるがタフなシウバには大きなダメージには繋がらず、その後も多彩な攻撃で攻めていくがシウバはこれを最後まで見切り続けて試合は終了。
判定はローキックで明確なダメージを与えていたアデサニヤが3-0で勝利し、憧れのレジェンドに世代交代の引導を渡した。
勝負が決まった後、両者は静かにキャンバスに正座し深々と礼をする。
シウバが面を上げても、泣きながらひれ伏し続けるアデサニヤに、シウバが方をかけて抱き寄せる。この感動的なシーンに、観客たちは勝敗を抜きにして両者に惜しみの無い声援と拍手を送った。
試合後にシウバは
「私はとても幸せだ。厳しい試合になる事は分かっていた。でも見てくれただろ。これが私の魂、これが私の人生だ」と、まさにレジェンドらしいコメントで会場を沸かせた。
また、アデサニヤは
「マイケルジョーダンと試合をするバスケットボール選手の気持ちだ」と憧れの選手と戦う気持ちを表現し、ベルトを肩にかけて試合を観戦していたケルヴィン・ガステラムに対し、「ロブ(ロバート・ウィテカー)早く回復してくれ。ケルヴィン、さっさとそのベルトを降ろせ」と憤りを表しながらガステラムを非難した。
これには深い事情がある。この日、ガステラムとミドル級のタイトルマッチを行う予定だったウィテカーが腸の病気で手術が必要になり、試合を棄権。よって暫定的にガステラムに渡されたベルトを我が物顔で肩にかけ、オクタゴンのサイドでにやけるガステラムに苛立ったようだ。
タイトルへ王手
シウバとの対戦からわずか2か月後、アデサニヤ自らガステラムを暫定王者の位置から引き下ろすチャンスが回って来た。
だが、ガステラムはアデサニヤにその資格があるとは思っていないようだ。
「彼は僕が経験したような激戦を経験していないと思う。彼は僕ほど質の高い相手と戦っていない」と語り、「明らかに彼は何人かの偉大なファイターと戦ってきた。しかし、本来トップ5の誰かがチャンピオンになる権利があり、彼はまだトップ5以内の選手と戦った事すらないんだ」と続けた。
デビューからシウバとの試合までに、なんとたった1年で5試合も戦ってきたアデサニヤだが、前試合からわずか2か月の間に、7週間の更にハードなトレーニングキャンプをこなした。
ヘッドコーチのユージン・ベアマンは
「2週目から最終週にかけては、かなりハードなトレーニングになる」と語る。
「通常は、前半にかなりハードなトレーニングを行い、キャンプの終わりにかけては徐々にペースを落としていく傾向にある」
だがアデサニヤに対しては特別なトレーニングを施すという事で、
「週が終わるまでに、アデサニヤは血と涙を流すことになるだろう。そうやって大きな勝負に備えなければならないんだ」と語る。
連勝を続けながらも確実にスケールアップしていくアデサニヤを語る上で、アデサニヤの練習拠点「シティ・キックボクシング」の事に言及しない訳にはいかないだろう。
このチームのコーチ、ベアマンは、アデサニヤと同時期にUFCフェザー級で快進撃を続け、後に無敗のフェザー級チャンピオンとなるアレックス・ヴォルカノフスキーも育てている。
アデサニヤとヴォルカノフスキーは互いにリスペクトする親友であり、コーチのベアマン、ヴォルカノフスキーを始め、UFCや各格闘技団体で活躍する選手が多数在籍するこのチームで、固い鉄と鉄がぶつかり合って更に固い鉄が出来るように、その実力を研ぎ澄ませてきたのだ。
そんなアデサニヤは試合前に語る。
「UFCに入る前から、自分が世界最高の選手の一人であることは分かっていたが、それを表現し、より多くの観客に見せる能力を持っていなかった。長い間、自分がベストの一人であることは分かっていた。そして今、時は満ちた。世界はすぐにでも、ずっと前から僕が世界最高の選手だったんだという事を知る事になる」と自信に満ちた表情で語った。
2019年4月13日試合は行われた。
序盤は緊迫感のある打撃戦が繰り広げられる。アデサニヤはローキックを織り交ぜながら顔面とボディにパンチとミドルキックを使い分け、ガステラムはその剛腕を薙刀のように振り回し、一発を狙っていく。3Rまで終始アデサニヤはローキックも織り交ぜたコンビネーションでダメージを蓄積させ、ガステラムはその剛腕でプレッシャーを懸ける。
4Rに入り、ローキックが効いてきて踏み込みが浅くなってきたガステラムを、いよいよ仕留めようと積極的に手を出していく。
ガステラムもそれに合わせさらに手数を増やしていき、ようやく数発のカウンターをアデサニヤがヒット。一発一発がヘビーショットのガステラムのパンチを受けて、アデサニヤの顔面が腫れあがる。パンチに意識を集中させていた所で、ガステラムがここぞというタイミングで左ハイキック。これが見事にヒットし、グラついたアデサニヤに猛ラッシュ。アデサニヤは一気に追い込まれる。
最終ラウンドは死力を尽くした乱打戦。途中でアデサニヤがギロチンチョークを極めかけるが、ガステラムは何とか抜け出す。ガステラムの出した左フックに合わせ、右ストレートからの高速ワンツーラッシュ。これには堪らずガステラムがキャンバスに尻餅をつく。立ち上がったガステラムに更に容赦なく左右のパンチで畳みかけ、再びガステラムはダウン。
アデサニヤは容赦なく全体中を乗せた肘を落とし、背後を取って後ろからパウンドを連打、ガステラムの顔面が見る見る赤く染まっていく。立ち上がって反撃しようとするガステラムにお構いなしに連打を続け、またもやキャンバスに崩れ落ちた所に肘の連打。もうとっくに試合が止まってもおかしくない状況だったが、ここで試合終了のブザー。
結果は誰が見ても明らかなように3-0でアデサニヤが完勝。ウィテカーが返って来るまでのUFCミドル級暫定王者となった。
試合後に
「この試合は、僕よりも男らしい選手がいる」と語り
「僕は長い間、この日を待っていた。君なしでは 今の僕のキャリアはない 」
と熱いファイトを実現させたガステラムへのリスペクトを示した。
さらに
「スコアカードは関係ない1ラウンドだけで充分なんだ。 胸にライオンの心臓の 入れ墨があり、 死ぬ覚悟はできている。 このゲームにすべてを捧げ、解放するつもりだった。彼はメキシカンの戦士だけど、僕にもメキシコ魂があるんだ」
とこの試合に懸けていた想いを語った。
UFCタイトルショットへ
そしてこの試合から約半年後、重い病から復活したウィテカーと、ついに真のタイトルを手に入れるために激突する。
ウィテカーは病気や怪我に悩まされ、それほど試合数が多くないとは言え5年間無敗のUFCミドル級暫定チャンピオン。KOでも一本でも決める能力があり、フルラウンドを戦いきるスタミナとタフさもある。非常に難しい相手になるのは間違いない。
試合前、いつも軽快なトークで相手を挑発していくアデサニヤだが、今回はいつも以上に相手を口撃する。
ニュージーランド生まれでオーストラリア在住のウィテカーが放った、ニュージーランドを代表して戦うというニュアンスの言葉に対して
「アイツは完全にオーストラリア人だ」「アイツはニュージーランドを見放した」「オーストラリアが故郷なのに、政治家のようにニュージーランド人に気に入られようとしている」「アイツをバラバラにしてやる」と、侮辱と挑発を繰り返す。
それに対しウィテカーは
「全く気にならない。もし、個人的なことになるのなら、個人的に対処していただろう。彼はただ試合を盛り上げているだけだし、人間らしく、自分のことをやっている。それは良い事だと思うよ。でも、私は自分以外の人間にはなれない。いつもと同じように試合をするだけだよ。
彼の言うことは面白いし、笑って済ませることができる。彼と戦うのが楽しみだよ。彼はいいファイターだし、彼もそれを望んでいるはずだ」
トラッシュトークでは1歳下のウィテカーに余裕で流されたような形となった。
2019年10月6日。
オクタゴンに入場したアデサニヤは試合直前、左手にノートを持ち、右手にペンを持って何かを書いているという様な動作をする。これは一体何を意味するのだろうか。それは試合後に明らかになる。
Will Yoel Romero be the next name in Israel Adesanya's Death Note at #UFC248? 💀#WorldBookDay2020 pic.twitter.com/Dyl7Fq9QCK
— UFC on TNT Sports (@ufcontnt) March 5, 2020
試合が始まると、闘牛のごとき勢いで、左右の重く早いフックを振り回しながら突進してくるウィテカー。その凄まじい圧力にややアデサニヤは押されているようにも見える。勢いだけではなく、その技術も確かなもので、アデサニヤが出した右フックに即座に反応し、カウンター右フックで一瞬バランスを崩させる。だがアデサニヤも負けてはいない。ラウンド終了間際、飛び込んで左右のフックを出してきたウィテカーの顔面に鋭い左フックが一閃! ウィテカーはキャンバスにダウンしたがここはブザーに救われた。
2Rに入ると、ウィテカーの踏み込みは更に鋭くなり、そのパンチは想定した以上の伸びを見せ、アデサニヤの顔面を幾度も捉える。踏み込みのパワーを削ぐために、アデサニヤはウィテカーの足を狙いローキックで確実にダメージを与えていく。ローが効いてきたところで攻勢を強め、オクタゴン中央で壮絶な打ち合いに。距離を詰めるとそれだけリスクも高まるが、ウィテカーの強烈なフックや、ハイキックをギリギリでかわしながらカウンターを当てていく。最後は互いのパンチが交錯するなかで、鋭いアデサニヤのフックが顎を貫き、ウィテカーは背中からキャンバスに崩れ落ち、さらに追撃を加えたところで試合がストップ。
王者に相応しい、見事なKOでUFCミドル級タイトルをその手で掴み取った。

試合後のインタビューで、試合直前の動作について聞かれたところ、
「死神”を連れているんだ。僕はただ彼の名前を書かなければならなかった。なぜって、彼が長くは持たないことを知っていたからさ。デスノートに彼の名前を書いただけだ。デスノートのルールを知っている人は知っている。デスノートに名前を書いたら、死神に捕まるんだ」
試合直前のあのアクションは、アニメ好きのアデサニヤらしい演出だったのだ。
そして、自らに勝利に酔う暇も与えずに
「次は誰だと思う?」とパウロ・コスタを指名しながら言った。
「この膨らみすぎた風船を俺は手に入れたんだ。このケージに足を踏み入れない方がいいぞ。ここは俺のオクタゴンだ」
批判と落胆
その後、予定していたパウロとの試合は、パウロの怪我により延期され、アデサニヤは別の男を指名した。
その名はヨエル・ロメロ。キューバ出身の選手で、ここ最近連敗してはいるが、あのウィテカーに判定で敗れたものの、大接戦を演じ、大きな爪痕を残しつつ惜しくもスプリット判定負けであったりと、実力は間違いなくUFCミドル級トップレベルだ。
彼の打たれ強さはファイター達の間でも有名で、それがアデサニヤには気に入らないらしい。
「彼は他の選手と同じ人間だというのに、みんな “彼は鋼鉄だ、鋼鉄を蹴っているようだ “とか、”彼を殴っても倒れない “とかいう神話を作りたがる。俺は何度でもヤツを殴る。そのうちに、ヤツはツインタワーのように崩れてしまうんだ」
過激に相手を挑発する事が彼のパフォーマンスとして受け入れられていたとしても、流石にこの発言はマズかった。911のテロ事件を軽率にトラッシュトークで扱ったとしてアデサニヤに批判が集中し、ツイッターで謝罪文を投稿するまでに至った。
— Israel Adesanya (@stylebender) February 24, 2020
「先日投稿したコメントについてですが、2度と亡くなった人をジョークにしたり、911を軽く扱ったりはしません。~中略~ 今後はより発言に気をつけます」
ひと騒動あったが、試合は無事に始まる。しかしこの試合もまた物議を醸してしまう。
開始1分間殆ど手を出さない両者にブーイングが起こり、2分経過頃にレフェリーから注意が入るほどの塩試合。
結果は3-0でアデサニヤの勝利だったが、ディナ・ホワイトに「この試合はやるべきではなかった」と言われる程の有様だった。
オクタゴン内外での激しいバトル
次戦で戦う予定のパウロについては
「もし、ヤツが前に出て来るなら、このクソッタレをやっつける。約束するよ。すぐにでもやろうぜ、ボーイ」
と激しく挑発。
パウロはプロデビュー以来負けなしの13連勝中でそのうち11勝をKOで勝ち取っているバチバチのハードストライカーだ。試合前から両者の間に激しい火花が散る。
UFC参戦前は柔術の選手だったと言うパウロに、アデサニヤは「あいつは柔術のセンスが全くない」と絡み、パウロが「お前は俺の柔術の試合見た事無いだろ」と返し、さらにアデサニヤが「お前の柔術など見る価値はない!」と切り捨てるなど、互いにヒートアップ。
しかし、ホテルの廊下で偶然すれ違った際には意外にも和やかに相手を見定めるかのように対応していたようだ。だが、その後、この時の事を思い返し、「会見の時と態度が違った」とお互いに非難しあうという始末。
これはもう試合で決着をつけるしかない。
この激しい舌戦の効果もあり、デビューから無敗のチャンピオンと同じく無敗の挑戦者が激突するこのタイトルマッチは大きな注目を集める。
2020年9月27日、試合は行われた。
序盤から執拗にカーフを狙うアデサニヤ。パウロのふくらはぎがみるみる赤く腫れあがっていく。パウロはカーフキックに合わせてカウンターを狙うが、器用にこれを避け、アデサニヤを捕まえようと突進するパウロを鮮やかなフットワークであしらう。
2Rに入りパウロも負けじとカーフを狙う。カーフに意識を奪われているパウロに、強烈なハイキック。パウロの右目の上から鮮血が流れる。さらにアデサニヤは執拗にカーフを攻め、パウロの左足は機能を失いかけている。
形勢を変えようと全力でミドルキックを放って来たパウロに対しアデサニヤはボディへのカウンターから強烈なワンツー。それでも勝機を見出すために前にでてパウロが放った左フックに、まさに稲妻の様な右カウンターが炸裂。キャンバスに倒れこむパウロにマウントを取り、追撃を加えた所で試合はストップされ、アデサニヤのTKO勝利。UFCミドル級2度目の防衛に成功した。
試合後アデサニヤは
「やっぱり俺はあいつが嫌いだ。個人的にヤツのことは知らないけど、生きようが死のうがどうでもいい。このゲームは暴力的になると、早く終わらせると言った。それが俺のやったことだ。俺はまだまだやれる、来週末でも、いつでも戦えるよ。まぁ今年はクレイジーな1年だったから、家族と過ごしたいね」と一時の休息を取る意向を語った。
プロ初の敗北
同日、ライトヘビー級で大番狂わせが起きた。空位となっていたライトヘビー級の王座を争ったドミニク・レイエスと、ヤン・ブラボヴィッチ。
ブラボヴィッチは一度負けが込んで終わったと思われていた選手で、これまでに1敗しかしていないレイエスが圧倒的に有利かと思われていた。ところが蓋を開けてみると、ヤンが左フックからのパウンドでレイエスを倒し、大金星を挙げたのだ。
ミドル級で戦う相手が居なくなってきたアデサニヤは次戦、階級を上げてこのブラボヴィッチに白羽の矢を立てる。
ライトヘビー級で5連勝中のグローバー・テイシェラも、ブラボヴィッチとのタイトルマッチを熱望していたが、ディナ・ホワイトはチャンピオンvsチャンピオンというエキサイティングな構図を支持した。
ブラボヴィッチが精神的に成熟し、トラッシュトークにも乗らない事を既に察知し、アデサニヤも今回は穏やかにインタビューに応じ
「彼はパウロのように感情的ではないから、何か言ったところで無駄なエネルギーを使う事になる。彼自身も俺に何も言ってこないしね。でもプレッシャーはかかっているだろう。ライトヘビー級を背負ってるわけだからね。ミドル級のガリガリ君が、ヤン・ブラボヴィッチのケツに鞭を打ちに行くぜ」
といつもよりは控えめに語る。アデサニヤにとっては、このトラッシュトークでさえ試合を有利に進める一つの要素である事が、この事から伺える。
2021年3月6日、UFCで5人目となる2階級制覇を懸けたタイトルマッチが始まる。
1R、緊迫した雰囲気で戦い、両者ともミスを最小限に抑え、プレッシャーをかけあう。ブラホビッチはキックボクシングで培ったハイレベルなパンチとキックを繰り出し続けるが、
アデサニヤも巧みなフェイントで、ブラホビッチを翻弄していく。だがやはり2R以降、ライトヘビー級チャンプの圧力にやや押し負けている間があるか、コンスタントにブラボヴィッチのジャブやフックをもらい始める。
度々タックルをトライしてきたブラボヴィッチだが、4Rでついにアデサニヤを捉えハーフガードに。ライトヘビー級チャンプの重厚なプレッシャーにアデサニヤは身動きが取れない。様々な角度からパウンドをもらい続けたが、ブザーに救われ、ラウンド終了。
最終R、劣勢に立たされたアデサニヤは、いつものカウンター狙うスタイルから、自ら攻撃に出るプランに変更し、果敢に前に出る。立ち技では互角だったが、パンチを掻い潜ってタックルを決められると、巨大な壁の様なブラボヴィッチの身体の前になす術なくパウンドをもらい続け、その態勢のまま試合終了。
試合は判定となったが、有効打数でもグラウンドでもポイントをリードしたブラボヴィッチに0-3で敗れ、アデサニヤはMMAプロキャリア初の黒星を喫した。
試合後、アデサニヤはまたヘビー級に戻ってくると宣言し、また一旦ミドル級でベルトを防衛する意向も語った。そして
「俺はこの黒い鉄の拳で彼らを支配する」とリベンジを誓い「俺は、ビジネスのために一旦ミドル級に戻るよ。ガソリンを補給するためにね。これで俺のファンをやめたいんだったらやめるがいい。だが、残るんだったら、夢を見させてやるよ」
ミドル級復帰、ライバルとの再戦
ミドル級に戻ったアデサニヤは、3年前に拳を交えて、2‐1のスプリット判定で辛くも勝利した、マーヴィン・ヴェットーリを迎えての3度目の防衛戦が決定。ヴェットーリはアデサニヤに敗れて以来無傷の5連勝と波に乗っている。
試合では、序盤ヴェットーリでテイクダウンを許したが、ブラボヴィッチからの敗北後を教訓に、グラウンドディフェンスを強化してきたアデサニヤは、ヴェットーリの強烈な圧力の中立ち上がる事に成功し、以降は終始アデサニヤペースで展開して試合終了。
判定は文句なしの3-0でアデサニヤが勝利し、3度目の防衛を果たした。
もう一人、アデサニヤへの雪辱に燃える男がいる。当時破竹の連勝を続け、ミドル級タイトルに王手をかけたところで、アデサニヤの黒い鉄の拳によって奈落の底に叩き落とされたロバート・ウィテカーである。
ウィテカーはあの敗北に大きなショックを受け、再起は難しいと考えていたが、長い自問自答の末、オクタゴンに戻り、ケヴィン・ガステラム戦を含む強敵を相手に3連勝と、見事に復活を果たして再びミドル級タイトルを奪いにやって来たのだ。
「初戦と比較して、ウィテカーがどれほど変化したかが良く取り上げられていますが、ファイターとして、あなたはどう変わりましたか?」と問われると
「100%、進化しているよ。多くの人がロバートがレベルアップしたとか、あれこれ言うけれど、俺はただ座って親指をグルグルしてたわけじゃない。俺もしっかりトレーニングして、ファイターとして進化した」と、アデサニヤらしいジョークを交えて答えた。
2022年2月12日、両者は2年ぶりに拳を交える。
試合序盤から、アデサニヤが差すような左をウィテカーに炸裂させ、ダウンを奪う。更にアデサニヤは鞭のようにしなるローキックでウィテカーの足を痛めつけ、ウィテカーは前に出てこられない。
だが2Rになると気合を入れ直したウィテカーが猛烈な勢いで踏み込みながら左右のフックを振り回す。1発でもあたれば首が吹っ飛んでいきそうな勢いだ。
その後、ウィテカーはレスリングを織り交ぜながら、時折、グラップリングに持ち込むが、アデサニヤを押さえ込むことはできない。
リーチに勝るアデサニヤは距離を活かし、ローやボディへの稲妻の様なキック、伸びのあるジャブやストレートでウィテカーを攻め立て、ウィテカーは懐に飛び込んでフックを放つという戦法を取らざるを得なかった。
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勝負は判定に持ち込まれ、ウィテカーも善戦したが1Rのダウンのポイントが活きて、3-0でアデサニヤが勝利。4度目のミドル級防衛を果たした。
試合後アデサニヤは
「彼は全てをかけてこの戦いに挑んでくるのは分かっていた。前回の試合で俺が全てを奪ったからね。だが、この俺が王者だ。タイトルを狙う者は、この俺に立ち向かい、勝たなければならない」
と王者の貫禄たっぷりに語った。
一方ウィテカーは
「この敗北は受け入れられないよ。私が勝ったと思ったんだ。確かに1Rはやられたよ、でも残りのラウンドは私がリードしていたはずだ。まぁでも過ぎた事だから仕方ない。よく言われてるように、ジャッジの手に委ねてはいけないんだ。精一杯やり切ったんだけどね」と語った。
2年間アデサニヤを倒すために厳しいトレーニングを積んできたウィテカーのショックは当然大きい。だがこれまでも苦難の道を乗り越えて来た彼の事だ。きっとまたオクタゴンで最高のファイトを見せてくれるだろう。
次戦では40歳手前にして初のUFCタイトルマッチまでこぎ着けた、ジャレッド・キャノニアを3-0の判定で退けると、いよいよ対戦相手が居なくなってきたアデサニヤに、運営は因縁のライバルをぶつけて来た。
その相手は、なんとキックボクシング時代に2度もアデサニヤを破り、GLORYで初の2階級制覇を成し遂げた、キックボクシング界のレジェンド、アレックス・ペレイラである。
まだ試合は行われていないが、この因縁の対決はアデサニヤのリベンジを期待するファン、そしてアデサニヤがKOで倒される姿が見たいアンチ、双方にとって大注目のカードとなっている。
ペレイラはUFCに参戦以来3連勝と、しっかりMMAに適応している事も証明している。
アデサニヤはこの伝説のキックボクサーに正面から打撃で挑むのか、それとも寝技でリードしていくのか、全く打ち合わなければ「逃げた」と言われかねないだけに、ある程度は打撃も付き合う必要があるだろう。
この試練を乗り越えたらいよいよアデサニヤは2階級制覇へ再チャレンジするのか、今後の彼のプランにも大きな期待が集まる。そんな” ラスト・スタイルベンダー” イスラエル・アデサニヤからまだまだ目が離せない。
イスラエル・アデサニヤの知りたいトコ!
タイトル獲得のご褒美にスーパーカー!
世界最高のMMA団体UFCのチャンピオンになり、巨万の富を手に入れたアデサニヤが自分へのご褒美として購入したのは、なんとマクラーレンの720スパイダーというスーパーカー。購入金額は65万$を越えたそうで、日本円にすると現在の勝ちで1億円近い金額にもなる。

さらにこのスーパーカーを、自身の好きなアニメNARUTOーナルトーに出て来る妖狐・鞍馬をモチーフにしてカスタマイズし、そのカスタマイズ費用も含めるとなんと100万$以上もかかったそうだ。
UFCに参戦してたった2年足らずでここまでの富が手に入るとは、UFCはまさにアメリカンドリームそのものだ。
アデサニヤに美人彼女が?
アデサニヤやにはかつて、マーゴッド・ロビーというハリウッド女優と付き合っているのではないかという噂があったが、実はロビーとよく似た女性だった事が後に発覚し、ロッティ・パウドレルという女性と付き合っていた事が発覚した。この交際を公言する事はなかったが、パウロ・コスタとの試合前にパウドレルと一緒にバスタブに入っている写真がSNSでアップされるなど、2人が交際していた事はほぼ間違いないようだ。

しかしその後、一切この女性についての情報が表に出る事は無く、2人が破局したとの見方が今は濃厚のようだ。
カムザット・チマエフのように突然結婚式の動画をアップするようなサプライズがある可能性もあるのでこれからも彼の動向に注目したいところだ。
アデサニヤはダンスの腕前も一流!
アデサニヤは少年時代からダンスの練習にも精を出していたようで、UFCの入場時にパフォーマンスした際には、その高度なダンススキルに、観客たちが熱狂した程だ。
彼はこのダンスの動きも格闘技に取り入れていて、その独特のタイミングやトリッキーな動きに活かされている。
あらゆるモノから、格闘技に活かせる要素を見つけ取り込んでいくその貪欲さとスマートさも彼の強さの秘密なのかもしれない。
まとめ
ここまで”ラスト・スタイルベンダー” イスラエル・アデサニヤのストーリーを見てきたが如何だっただろうか。
ナイジェリアの裕福な家に生まれ、高度な教育を受けるためにニュージーランドに移住するが、イジメの標的にされ、自らを守るために格闘技を習い始め、瞬く間にキックボクシングで輝かしい戦績を残し、ボクシング、MMA選手としても同時に活躍。
MMA一本に絞ってからは、まさに破竹の勢いで連勝を重ね、無敗でミドル級王者に輝き、幾度となく騒動を起したり、批判を浴びながらも、人間としても、選手としても成長し、今やアデサニヤは誰もが認めるUFCのスターであり、多くのファンから愛される存在となっている。
一体どこまで彼がその連勝記録を伸ばしていくのか、ライトヘビー級再挑戦はあるのか?これからも彼への興味は尽きない。
そんな”ラスト・スタイルベンダー” イスラエル・アデサニヤ選手をこれからもみなさんと応援していきたい。
※アイキャッチはUFCの公式HPより引用