今やRIZINの台風目となりつつあるボンサイ柔術。クレベル・コイケ、ホベルト・サトシ・ソウザらの背中を追いかけて、一歩、また一歩とスターへの道を突き進む男がいる。
その男の名はアラン”ヒロ”ヤマニハ
重戦車のような強靭な肉体、決して後ろに下がる事のない超攻撃的ファイティングスタイル、リングの上とは裏腹に、試合後インタビュー等で見せる優しく穏やかな素顔。
未だ知名度こそメジャーではないが、彼はこれからの格闘技界を背負う次世代のスターなのは間違いない。
アランの強さと優しさの源は一体何なのだろうか、彼の生きざまを知れば、きっと誰もがアランを応援せずにはいられないだろう。
今回は、そんなボンサイ第4の男アラン”ヒロ”ヤマニハを丸裸にしていこう。
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/03/20/38244e4968c3c61b22a69c1dda5366c5cab52b74_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)
まずはプロフィールからどうぞ。
アラン“ヒロ”ヤマニハのプロフィール
名前: アラン“ヒロ”ヤマニハ Alan“Hiro”Yamaniha
生年月日:1986年4月4日
出身地:ブラジル サンパウロ
身長: 166cm
体重: 61.0kg
戦績 : 33戦 18勝(4KO 4SUB) 4分 1無
階級 : バンダム級
所属: ボンサイ柔術
獲得タイトル : パンクラスバンダム級1位(2021年6月現在)
入場局: Can’t be touched
バックボーン : 柔術
公式HP : ー
Twitter: @AYamaniha
Instagram: hiroyamaniha
YouTube: アランヒロヤマニハ Alan Hiro Yamaniha
アパレル : ー
ファンクラブ : ー
今年で36歳になったアラン“ヒロ”ヤマニハ。彼がどのような生い立ちで、現在に至るのか。まずはアランのアマチュア時代やデビュー前から見ていこう。
下積みや不況を乗り越えプロ格闘家へ
ブラジルサン・パウロで生まれたアラン。血筋的には沖縄からブラジルへ移住した祖父母(母方が具志堅姓、父方は山入端姓)の血を受け継いだ3世という事になる。
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、ヴァンダレイ・シウバや山本”KID”徳郁らにあこがれて総合格闘技を始めたそうで、あの強靭な肉体を見るとそれも納得である。
彼の生い立ちや幼少期の情報は未だネットでは入手しにくいが、ブラジルの高校卒業後、日本に出稼ぎに出るために2004~2005年頃に来日したのではないかと言われている。
当時はコピー機の組み立てや、工場での作業などで生計を立て、リーマンショックで仕事が激減してまった時などは、鳥の糞を堆肥に加工する仕事もしていたという。
下積み時代、不況時代もクレベル・コイケと共にいつか自らの腰に巻くであろうチャンピオンベルトを夢見て乗り越えてきた。
その苦労とクレベルとの絆が彼の優しさと強さの秘密なのではないか。
そしてアランのその勤勉で折れない心と弛まぬ努力が少しずつ実を結んでいくことなる・・・
プロデビュー、そして駆け上がるステージ
Club DEEPからの快進撃
リーマンショックも乗り越え、ついに本格的に格闘技への道を歩み始めたアラン。デビュー戦でのClub DEEP 公武堂ファイト、吉川圭太との一戦を3-0の文句なしの判定で勝利。
その後約1年半で更に4戦し、5戦4勝1分の快進撃!
これまで下積み生活をしつつ培ってきた才能が一気に開花したように見えた。
しかし次戦の清水俊一は清水三兄弟と呼ばれる格闘一家の長男。強敵を前に、三角締めでの一本負けを喫する事となる。
実績を積み上げる毎に対戦相手の壁は厚くなる。なかなか勝ちきれない試合が続く中、PANCRASE.255では元キング・オブ・パンクラス石渡伸太郎からダウンを奪うなど、そのポテンシャルをしっかりと周囲に印象づけ、着実にその評価を上げて行った。
そして勝ち負けを繰り返しつつも地道なトレーニングで培ってきた実力がついに爆発した!
2014年12月21日 HEAT.34でじゅん選手に判定勝ちを収めてから破竹の3連勝! 格闘技界から大きく注目を浴び始めたアランは次戦の相手として、デビューから3勝無敗、さらに全試合KO勝利で大注目の大型新人「一撃必倒の空手王子」瀧澤謙太とのマッチが組まれることとなった!
格闘技ファン注目の一戦
舞台は2016年1月31日 PANCRASE. 275
そのキレキレかつ破壊力抜群の拳で次々で対戦相手をリングに沈めてきた瀧澤とのスタンディングでの打ち合いは圧倒的にリスクが高い。どうグラウンド勝負に持ち込むかが勝負の決め手かと思われていた。
しかしゴングが鳴ると意外にもアランは瀧澤とスタンディングで真っ向から打ち合い、猛攻する瀧澤に対してその剛腕を振り回して対抗する。
そしてその一発が瀧澤の顔面にヒット。常にフルスイングのアランのパンチは一発でももらうとダメージが大きい。瀧澤の鼻からは血が流れたが、それがどうしたと言わんばかりに瀧澤は笑みを浮かべ、さらなる猛攻をアランにしかける。
前蹴りや右フック、膝など次々と有効打を入れ、やはり瀧澤が優勢に。そのまま1Rを終える。
続く2R、瀧澤の猛攻はさらに激しさを増す。激しいラッシュに耐えかねてアランは足を使って回避しようとするが、瀧澤は蜂のような素早さと瞬発力でアランを追いかけ次々とパンチを入れる。
だがギリギリの所で猛ラッシュを凌ぎ、アランはチャンスをうかがう。どれだけラッシュをかけても倒れないアランに対して瀧澤にはやや疲れが見えてきた。
ラッシュが止まった一瞬の隙を見てアランが渾身のタックル! 完璧なテイクダウンを取り、ここからは完全にアランのターン。
立ち上がろうとする瀧澤に後ろから蛇のように組みつきバックを取るアラン。そしてその剛腕から繰り出される肘とパウンドを受けついには背中が伸びきってレフェリーストップ。
アランの逆転TKO勝利となった!!
コピー機の組み立てから始まったアランが、一気にスターへの道を歩み始めた瞬間・・・のはずだった・・・。
暗雲立ち込める栄光への道
直近で4連勝、更に注目株の瀧澤謙太をノックアウトした事で評価がうなぎ上りのアラン、ついに超実力派のビクター・ヘンリーと試合を組むことに。
さすがに現在UFCでも活躍するヘンリー相手に勝ち切る事は難しく、0-3の判定負けを喫する。それでも次戦では以前一本負けを喫した強敵清水俊一を僅差の判定で破って雪辱を果たすのだが、ここからアランは大きな壁にぶち当たってしまう。
2017年11月12日のPANCRASE. 291では上田将勝に一本を取られ、翌年5月のPANCRASE. 296では藤井伸樹に0-3の判定負けと2連敗。それでもまだPANCRASE界からの期待を受けるアランは、トビー・ミセッチが負傷欠場したという事情も重なり 、”まさかりパンチ”で有名なハードヒッター金太郎と対戦する事になる。
舞台は2018年10月21日 PANCRASE. 300。ゴングが鳴る。やはり生粋のハードヒッター金太郎と真っ向からの打ち合いは避けたいアランはテイクダウンを狙うが、当然そう読んでいる金太郎は簡単には取らせてくれない。
ワンツーをヒットさせるなどして金太郎がアランにダメージを与える。
だが2Rになると金太郎の手数が減り始める。パンチさえ出なければ、ここはアランのターン。度々アランにテイクダウンを取られ、決定打はないもののアラン優勢となる。
そして3R、勢いづいたアランは果敢に攻め再びテイクダウンを取りハーフガードの状態に、それを金太郎は反転してすり抜けようとするが、その隙にアランは金太郎の腕を取る。
これは決まったか!?に見えたが金太郎は力任せに腕を引き抜く、再びスタンディングとなりほんの数秒後、金太郎の強烈なまさかりパンチがアランにもろにヒットする!
たまらず倒れこんだアランに金太郎は容赦ない強烈なパウンドの嵐。たまらずレフェリーがストップをかけ、アランはTKO負けを喫してしまった。
注目の瀧澤謙太との一戦を制し、大きな注目を浴びてからの3連敗。その期待が大きいほど負けた時の心の負荷は大きいはず。その負荷に耐え切れずリングを去る者も少なくはない。しかしアランはその不屈の闘志でこの苦難を乗り越えようと更なるトレーニングに励んだ。そして9か月後の2019年7月21日 PANCRASE. 307でTSUNEをTKOで下してから、怒涛の3連勝! 負けても負けても立ち上がるアラン。マットに這いつくばり、立ち上がるたびに強くなっていくようだ。
そして、盟友クレベルが切り開いてくれた夢の大舞台RIZINへ、下積みを越えて、幾多の敗北と悔しさを越えて、ついに進出する事となる。
大舞台RIZINで浴びる脚光
2021年6月27日RIZIN. 29 夢の大舞台で拳を交える最初の相手は倉本一真。アランと当たるまでに築いた7つの勝ち星のうち5つがKO決着という、ゴリッゴリのパワーファイターだ。彼も前試合でRIZINでの初白星を挙げたばかり。RIZINとしてはルーキー同士の対決だった。
ゴングが鳴ると倉本は持ち前のスピードと切れのあるパンチを武器にグイグイ前に出る。アランはグラウンドに持ち込みたいはずと周囲は考えていたと思うが、意外にもアランは倉本の猛攻に対して的確にカウンターを当てていく。はじめは勢いがあった倉本も、カウンターを警戒して手が出なくなっていく。これはアランの得意な展開、2Rに入るとテイクダウンを数回、飛びつきのチョークスリーパーであわや一本かと言うシーンも見せ、アラン優勢で試合は進む。3Rの終わり際に倉本が調子をとりもどし猛攻を見せるが、逆転するにはやや時間が足りなかった。アランは3-0の判定で見事RIZIN初戦を制した。
この試合で、アランはどんなハードヒッターにもひるまない闘志、柔術家でありながらも卓越した打撃センスとパワーをもつ素晴らしい選手だと周囲に印象付けられ、次戦ではいきなりの超ビッグマッチが組まれる事になる。
トップファイター朝倉海に大健闘
2021年9月19日RIZIN . 30 今や格闘技好きでなくともその名を知る者は多い「朝倉兄弟」の弟・朝倉海との対戦だ。
実績で言えば朝倉の方が遥に上回っている。観客もほとんどが海の圧勝を予想していただろう。試合が始まると海は大方の予想通り朝倉が一瞬で勝負を決めようと猛攻をかけて来る。コーナーに詰め寄り、次々とコンボを決める。しかしアランは倒れるどころかダメージを受けているようにすら見えない。そう、この打たれ強さに幾人ものハードヒッターが困惑し、逆転負けを喫してきたのだ。それどころか徐々にアランは海にカウンターを当て始め試合は大方の予想を大きく裏切り接戦となった。
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2021/09/19/a2abf34a2d95fefd1aaeb9fe49a6211ea94769cd_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2021/09/19/d6513bebc4b1c3944f862e7adb8824b3e879c53b_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)
結果は辛くも朝倉が判定で勝利したが彼の表情に笑顔はなかった。
試合後インタビューでは朝倉は「思ったより頑丈でした」とアランを評した。打たれ強いのは知っていたと思うが自分のパンチならKOできるだろうと思っていのかもしれない。だがアランのタフさはその想像の更に上を行っていた。
RIZINのトッププレイヤー朝倉海といい勝負をした事で、黒星ながらもアランの知名度と評価は急上昇!この試合をきっかけにアランのファンになった人も少なくないはずだ。
RIZIN初のフィニッシュ勝利
次戦では7年前に手も足も出ず一本を取られた手塚基伸とRIZINで再戦。幾多の死闘を乗り越え大きく成長したアランは今度は逆に手塚をスタンディングでもグラウンドでも圧倒し完璧な試合運びで一本勝ちを収める。
試合後のインタビューでは「嬉しい、本当に嬉しい」と爽やかに笑みを浮かべながら語った。また「7年前とは全然違う、私がUPしたね」と自身の成長も実感していたようだった。
バンタム級の“番人”と対戦
アランは勢いに乗って翌月のRIZIN. 35へと連闘で出場。対するは元谷友貴。身体能力も技術も高く、何よりも大変クレバーな選手だ。試合でもアランの持ち味を封印するような試合運びで、アランはイメージしたように動けない。これまで闘志と闘志、パワーとパワーでぶつかり合ってきた試合が多いアランにとって元谷はやりづらい相手だったのかもしれない。グラウンド下からの肘打ちで元谷を流血はさせたものの、全体を通して元谷が試合をリードし0-3の判定で敗北を喫した。試合後インタビューでは「完全に相手の作戦勝ちです」と元谷の試合巧者ぶりを称えた。
※画像URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782696/rc/2022/04/17/a0f15b74137712288b8f4990a8795bfb8ce817ab_xlarge.jpg(RIZIN公式HPより引用)
転んでも立ち上がるたびに強くなって戻ってくるヤマニハ。プロデビューが24歳と遅めなだけにまだまだ伸びしろはあるだろう。今後もボンサイ柔術第4の男として、格闘技界を盛り上げてくれることは間違いないだろう。まだまだアランからは目が離せない。
アラン”ヒロ”ヤマニハの知りたいトコ!
アラン”ヒロ”ヤマニハの彼女は?
アランのインスタグラムを見てみるとどうやら大変美人な奥さんとカワイイお子様がいるようだ。
奥さんも格闘技をやっているらしくアランのインスタグラムの投稿で美しい腹筋を披露している。
結婚して13年程たっているようで、結婚したのは2009年頃か。苦楽を共にしたパートナーだけにその絆は何よりも強いものになっているだろう。
朝倉海とは仲良し?
手塚との試合後インタビューで「朝倉海選手とでも(試合をやりたい)?」と聞かれたところ。「友達になっただから、もし試合が決まったらしょうがない、闘う。友達はリスペクトある、試合は違う」と語っているように、対戦する前から交流があったようだ。試合後もYoutubeでコラボするなど、いい関係が続いているようだ。
まとめ
ここまでアラン”ヒロ”ヤマニハのストーリーを見てきていかがだったろうか?
長い下積み時代を耐え抜いて、何度も何度もマットに這いつくばり、立ち上がるたびに強くなって一歩一歩大舞台への道へ向かって進み、格闘技界のスターにもう一歩のところまでやってきたアラン。
これからはただの一戦も易しい戦いなどないだろう。でもアランの後ろではいつもクレベルやホベルト、そして妻と子どもが彼を支えてくれている。多くの困難を乗り越えてきたアランにはもう怖いものはないだろう。
強さと優しさを兼ね備えた新たなヒーローは今後格闘技ファンだけでなくたくさんの大衆の心を掴んでいくことだろう。
今後のヤマニハの活躍をこれからも皆さんと一緒に見守っていきたい。
※アイキャッチはRIZINの公式HPより引用